自分に合ったFPの選び方とは? 事前に確認しておきたい7つのこと

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ファイナンシャルアドバイザーの費用は、何を求めているかによって異なる。

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  • ファイナンシャルアドバイザーは、資金目標を達成できるように資産運用について助言するプロだ。
  • 投資アドバイスやサービスを提供する場合には、州や連邦規制当局に登記しなければならないが、ファイナンシャルアドバイザー自体は規制業種ではない。
  • ファイナンシャルアドバイザーは、ポートフォリオ構築、節税や相続対策、予算作成など多岐にわたるサービスを提供する。

いつの日かリタイアしようと思っているだろうか? 結婚や大学進学はどうだろう? 借金の返済は? これらはどれももっともな夢だし、達成できる資産目標だ。だが多くの人にとって、こうした夢を叶えるためにすべきことは、必ずしも明確ではない。

そんな時こそ、プロの力を借りてみるのが良いだろう。

叶えたい資産目標があるけれども、どうしたら良いか分からないならば、ファイナンシャルアドバイザーは強い味方になってくれる。金融商品や税金のメリット、保険商品など聞かなければ知らなかったようなことを教えてくれるし、資産形成や資産を守る手助けをしてくれるかもしれない。それでは、ファイナンシャルアドバイザーとは何か、どんなサービスを提供してくれるのかを順番に見ていこう。

ファイナンシャルアドバイザーとは何か

ファイナンシャルアドバイザーとは、資産目標や住宅ローン、保険、退職、投資、その他財務管理全般に関する助言を顧客に提供するスペシャリストだ。

ファイナンシャルプランナーと呼ばれることもあり、扱う範囲は極めて広い。さまざまなサービスを提供するファイナンシャルアドバイザーもいるが、多くは投資や資産管理に特化してサービスを行う。

「人生におけるあらゆるお金の面について、顧客の良き相談相手になるためにファイナンシャルアドバイザーになった」と、バーベイタイム・ファイナンシャル(Verbatime Financial)の創業者でインベストメント・アドバイザー・レプリゼンタティブ(IAR)のジョン・ストイ(John Stoj)氏は語る。

これにはもちろん投資も含まれるが、キャリアや事業所有、相続対策、保険、税金などなど、基本的にプランニングが役立つすべての問題に対応する。

ファイナンシャルアドバイザーの種類

今日では、さまざまなファイナンシャルアドバイザーを利用できるが、次の3つが一般的だ。

  • ロボアドバイザー:顧客がシステムに入力した情報を基に、自動で投資推奨を行うプラットフォーム。アルゴリズムと、時に人工知能(AI)を駆使して、顧客のリスク許容度とふさわしい投資商品を判断する。こうしたサービスは通常コストが低いが、サービスの範囲は限られる。
  • オンラインによるファイナンシャルプランニングサービス:ロボアドバイザーから一歩進んで、より幅広い選択肢を提供してくれる。ポートフォリオ構築、目標の設定、報告書の作成に加えて、ファイナンシャルプランや予算の立案も通常は自動でサポートする。
  • 従来のファイナンシャルアドバイザー:認定ファイナンシャルプランナー(CFP)やブローカー、登録投資アドバイザー(RIA)、ウェルスマネージャーがこれに該当する。人生におけるお金の悩みに対して、顧客一人ひとりに合った包括的なアドバイスを提供する。顧客独自の状況や目的に基づいて商品を薦め、顧客に代わって投資を行い、資産状況を絶えず追跡する手助けをする。

ファイナンシャルアドバイザーの役割

ファイナンシャルアドバイザーは幅広いサービスを提供する。投資やポートフォリオの構築/運用に特化する者もいれば、大学進学やリタイアに向けた貯蓄から、税務戦略や予算の立案に至るまであらゆるサービスを包括的に提供する者もいる。

「ファイナンシャルアドバイザーは、顧客の資産全体を捉えて、リタイアまでのプランとその後の人生設計の手伝いをするのが理想的だ」とベンチマーク・インカム・グループ(Benchmark Income Group)の創業者でファイナンシャルアドバイザーのメアリー・ライオンズ(Mary Lyons)氏は言う。

このプロセスには、投資ポートフォリオの運用だけでなく、保険範囲の見直しや顧問弁護士との協力、会計士との相談、住宅ローンの借入支援や予算作成も含まれる。優れたファイナンシャルアドバイザーならば、お金に関する質問になんでも答えられなければならない。

ファイナンシャルアドバイザーを名乗るのに特定の認可や資格は要らないが、大抵ビジネスや経済、会計の学位といったファイナンスに関連する何らかのバックグラウンドを持つ。

投資商品の取引や助言に携わる場合には、米国ならば米証券監督者協会(NASAA)の投資アドバイザー資格試験——通称、シリーズ65試験(the Series 65 exam)——に合格し、州や連邦規制当局に登録しなければならない。保険やその他金融商品を販売したいなら、規制に準拠するためにさらに別の資格が必要だ。

ファイナンシャルアドバイザーを雇いたいと思っているなら、自分の状況に適したサービスを提供してくれる人を探すのが良い。また、ファイナンシャルアドバイザーがどうやって稼いでいるかを調べてみよう。

顧客からの報酬(フィー)だけを収益源とするビジネスモデルのCEPやRIAなどの受託者(fiduciary)の方が好ましいことが多い。

こうしたアドバイザーは顧客に自分が提供するサービスの対価を顧客に直接請求し、他のいかなる手数料(コミッション)も受け取らないからだ。

ヒント:全米個人金融資産運用アドバイザー協会(NAPFA)によると、受託者とは「いつでも顧客の最善の利益を優先しながら、資産や財産の管理を委託されているプロフェッショナル」を指す。

RIAは受託者として活動することが法的に義務付けられている。すべてのCFPはCFPの認定団体であるファイナンシャル・プランニング・スタンダーズ・ボード(FPSB)の倫理規定によって、受託者であることが義務付けられている。

一方、ファイナンシャルアドバイザーは手数料を収益源としても構わない。

キーストーン・ウェルス・パートナーズ(Keystone Wealth Partners)の創業者でマネージングディレクターのジョン・へーゲンセン(John Hagensen)氏は、「ファイナンシャルアドバイザーを名乗る金融プロフェッショナルの多くは、保険会社やブローカー・ディーラーと契約をしており、こうした会社の商品を販売することで手数料を得ている」とう。

この手の手数料は、アドバイザーが薦める商品や推奨する投資行動に影響を与えることがある。

多くの人にはファイナンシャルアドバイザーを雇うメリットがある。ファイナンシャルアドバイザーが提供する一般的なサービスをいくつか挙げてみよう。

1. ポートフォリオの構築

ポートフォリオの構築とは、最小のリスクで効率的に成長する投資資産をバランスよく組み合わせたものに他ならない。ファイナンシャルアドバイザーは、顧客がすでにどういった資産を保有しており、どの追加投資の選択肢があり、その選択をするとどのようなリスクに直面するかを顧客に教えてくれる。

「ファイナンシャルアドバイザーは、日々の残高変動だけでなく、2008年や2020年前半のような異常な事態が発生したときに、どのくらいの資産変動に耐えられるかアドバイスをくれる」とライオンズ氏は言う。

ファイナンシャルアドバイザーならば、最大資産からの最も大きい下落率を表す「最大ドローダウン」や、取っているリスクに対する「期待リターン」といった概念も分かりやすく説明するだろう。

2. 節税対策

節税対策を講じてくれるアドバイザーも多い。これは、確定申告書の作成支援ではないし、会計士のように税法に熟知しているということではない。

むしろ、顧客の投資戦略から生じる納税義務をやりくりし、法律をきちんと守りながら納税負担を下げることで資産構築を後押しするのだ。

どのファイナンシャルアドバイザーもこうしたサービスを提供できるわけでも、その資格があるわけではない。しかし一方で、会計士の資格を持つアドバイザーもいる。

ファイナンシャルアドバイザーは少なくとも顧客の会計士や税理士との協力を惜しまず、顧客の納税負担を最小限に抑え、新たな問題が生じないように努めなければならない。

3. 相続対策

ファイナンシャルアドバイザーは、顧客が死亡したときの相続計画もサポートできる。相続対策に長けたアドバイザーもいれば、顧問弁護士と協力してどのような保険が必要か、相続のためにどんな金融商品が良いか(信託や慈善基金など)、投資をどう処分したら良いかを判断するためにくれるアドバイザーもいる。

「会計士、顧問弁護士、銀行担当者、アドバイザーといったチーム全員が年に一度は話し合うことが重要だ。そうでなければ、正しい方向に向かうどころか、互いにばらばらに動きかねない」とライオンズ氏は言う。

4. 長期および短期のファイナンシャルプランニング

ファイナンシャルアドバイザーは顧客に寄り添い、短期的な目的だけでなく、長期的な目的達成を目指した計画を作成しそれを実践する。例えば、ファイナンシャルアドバイザーが一緒に負債を見直して、今年の返済額を減らす計画を立ててくれるかもしれない。

同時に、生まれたばかりの子どもの大学進学用に預金口座を作りたいと思うかもしれない。

そんなとき、米国ならば「529プラン(学資積み立てのために設けられた米国の公的貯蓄制度)」に貯金しながら負債削減を目指す毎月の予算の作成を、ファイナンシャルアドバイザーがサポートしてくれるだろう。

ヒント:長期的な資産目標を達成するために、生命保険や傷害保険が得策なことがある。保険販売認可を持っているファイナンシャルアドバイザーは多い。その場合はこのサービスを提供できるか、保険が長期的なファイナンシャルプランの改善にどう役立つかを自分のアドバイザーに必ず尋ねること。

契約前にファイナンシャルアドバイザーに聞くべき7つの質問

ファイナンシャルアドバイザーを選ぶ際に聞くべき最も重要な7つの質問を順番に見ていこう。

1. 受託者かどうか?

自分のファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーが、受託者であることを確認するのが第一だ。受託者は顧客の利益を優先することが法律で義務付けられている。

登録受託者でなければ、ファイナンシャルアドバイザーは監督が緩やかな「適合性」基準に従えばよい。この基準では、アドバイザーは顧客の目的、リスク許容度、資産状況に適合している限り、投資やサービスを推奨できる。往々にしてアドバイザーも儲かる商品が薦められることになる。

2. 費用はいくらか?

ファイナンシャルアドバイザーには2種類いる。報酬ベース(フィーベース)と報酬のみ(フィーオンリー)だ。

フィーオンリーのファイナンシャルアドバイザーを選ぶと、定額報酬、時間当たりの報酬、顧客の投資を扱っている場合には総資産の1~3%に相当する資産管理報酬を支払う。

ファイナンシャルプランの作成やアドバイスをもらうために1~2回面談をすると、1時間当たり100~300ドル(約1万〜3万円)程度を支払うことになるだろう。ファイナンシャルプランの実施や管理のために定期的にアドバイザーと話すなら、通常1000~3000ドル(約10万〜30万円)の固定報酬がかかる。

3. 手数料(コミッション)を得ているか?

この質問に「はい」と答えたならば、フィーベースのファイナンシャルアドバイザーとみなされる。フィーベースのファイナンシャルアドバイザーは、顧客が購入する投資商品に基づいた手数料収入を得るうえ、時間当たりの報酬や資産管理報酬も請求することがある。

反対にフィーオンリーのアドバイザーは、顧客が特定のファンドや金融商品に投資をしても、追加的な手数料は受け取らない。アドバイザーの目的は、あくまで健全な財務アドバイスを提供することだ。

だからといって、フィーベースのファイナンシャルアドバイザーが必ずしも顧客の最善の利益に反するとは限らない。単に、自分が手数料を受け取る商品やサービスを勧める傾向があるかもしれないだけだ。そうした商品やサービスが顧客のファイナンシャルプランニングニーズにとって最善の選択肢のこともあれば、そうでないこともある。

4. サービスの範囲は?

優れたファイナンシャルプランナーは、たとえ自分の専門が退職後の人生設計やウェルスマネジメントといった特定分野だとしても、顧客の財務状況のあらゆる側面についてアドバイスを提供できるだろう。初めからどの費用が料金に含まれているか、アドバイザーは特定の分野に時間を割くかどうかを確認しておこう。

通常、投資アドバイザーは投資運用にのみ軸足を置くが、顧客資産の別の側面についてもアドバイスを与えることがある。繰り返しになるが、サービスに何が含まれているのか確認してほしい。

5. どのくらいの頻度でアドバイスをもらえるか?

1回限りでないならば、おそらく定額顧問料が発生する。この定額顧問料に何が含まれるか——例えば、月に1度の対面による面談と電話での相談——を確認して、延長料金がかかるかも聞いておこう。

自分のお金を他人に委ねるのは恐ろしいことなので、率直な対話が欠かせない。緊急時と急を要さない場合の両方について、一番良い連絡方法(チャット、eメール、電話)をファイナンシャルアドバイザーとすり合わせしておくと良いだろう。

6. 代表的な顧客層は?

この質問をすれば、そのファイナンシャルアドバイザーが自分に合っているかどうかを判断できる。富裕層への助言が専門のファイナンシャルプランナーもいれば、事業主や20~30代の初めて投資をする人たちを得意とする者もいる。

代表的な顧客層に合致していれば、ファイナンシャルアドバイザーの戦略や専門知識が役立つ可能性は極めて高い。

7. 投資アプローチは?

投資をお任せで依頼するなら、アドバイザーの投資アプローチが自分のリスク許容度と一致していることを確認しておいた方が良いだろう。例えば、アドバイザーが資産の保全よりも、積極的な成長戦略を選好するかもしれない。それは大抵、アドバイザーが(願わくは)より高いリターンを上げるために、より多くの顧客の資産を危険に晒すことに他ならない。

結局のところ、優れたファイナンシャルアドバイザーは、過度な報酬を回避し、顧客の税負担を削減し、できる限り顧客の損益について透明性を維持しながら、自分の投資と同じように顧客の投資に気を配るべきなのだ。

フィーベースのアドバイザーを選ぶなら、投資戦略にアドバイザーがキックバックを受け取る商品やサービスが含まれる可能性があることを肝に銘じておこう。この場合、開示事項に目を通してもらうよう頼んでおいた方が良い。

まとめ

ファイナンシャルアドバイザーに相談することは、短期的・長期的な目標達成の賢い第一歩だ。自分にはどんな選択肢があるのかを調査し、どういったサービスが受けられて、アドバイザーがどのように報酬を受け取るのかを必ず聞いておこう。

ファイナンシャルアドバイザーを名乗るには教育も経験も必要ないので、お金について相談しようと思っているアドバイザーの経歴を調査するのも良いアイデアだ。

一部のサービスに特化しているアドバイザーもいれば、総合的なプランニングや運用についての選択肢を用意している者もいる。技術進歩により自動ファイナンシャルツールという道も拓けた。自分に最もふさわしいものは何かを調べ、決めるのはあなた次第だ。

(翻訳・中山桂、編集・長田真)

[原文:Understanding what financial advisors do and how they help clients better manage their money

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