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売り上げ3桁億円規模も期待。「高血圧を治療するアプリ」の価値

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CureApp社が開発した治療用アプリ、ニコチン依存症患者の治療用アプリ「CureApp SC」と、高血圧患者の治療用アプリ「Cure App HT」。

撮影:小林優多郎

デジタル機器やIoTを活用して治療する ——。医療業界では「デジタルセラピューティクス(DTx)」と呼ばれる、新しい治療方法が日本でも広がりつつある。

9月1日、日本のDTx開発のさきがけであるCureApp社は、高血圧を治療する治療用アプリ「CureApp HT高血圧治療補助アプリ」(以下、CureApp HT)の販売開始を発表した。アプリに加えて、血圧測定、専門の医師による生活習慣指導を組み合わせた6カ月にわたる一連のプログラムが、保険適用の治療方法として患者に処方できるようになる。

CureApp社は、2020年12月に保険適用が開始されたニコチン依存症患者用の治療用アプリ「CureApp SC」を開発したことでも知られている。CureApp SCは禁煙治療領域では世界初のDTx。国内ではDTx領域のサービスとして初の事例だった。

今回発表した高血圧用の治療用アプリは、同社として2例目の「保険適用」のアプリにあたる。また、高血圧用の治療用アプリとして、世界で初めて保険適用となったサービスだ。

患者の自立をサポートする治療用アプリ

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画像:Cure App提供

日本では、潜在的には約4000万人もの高血圧患者がいると言われている。このうち、実際に医療機関に治療に通っているのは、約800万人程度だ。

高血圧のような生活習慣病を治療する上では、「降圧薬」のような薬の処方による治療だけではなく、根本的な生活習慣の改善が大前提だ。しかし、医師が一度の診察で生活習慣を指導できるのはせいぜい数分程度。短い診察の中では、個々の患者に適した指導ができないという課題があった。

また、医師による生活習慣の指導を受けたとしても、必ずしも全ての人が自立して生活習慣の改善に取り組めるわけでもない。

CureApp社が開発する医療用アプリは、こういったジレンマを解消する上で、患者の伴走役となりうる存在だ。

9月1日の記者会見で、CureApp社の佐竹晃太代表は「患者さんの考え方や精神的な面をしっかり指導・治療介入することを通じて病気を治すことが治療用アプリの特徴です」とその特徴を語った。

塩分のとりすぎや、睡眠不足、お酒やストレス、運動不足など、血圧を上げる要因はさまざま。アプリでは血圧の測定データや、食事(塩分摂取量)などのデータをもとに、人それぞれ異なる生活習慣に対して血圧を上げている要因を分析し、生活習慣の改善のための助言をしてくれるという。

「最初の2週間から1カ月は知識の習得をメインとしています。その後、1〜2カ月かけて、学んだ知識を実践してもらうために、アプリが毎日細かくフォローアップします。最後、身につけた生活習慣を定着化させるところも含めてアプリの機能として搭載しています」(佐竹代表)

アプリ利用で、脳心血管病・心不全リスク「低下」を示唆

Cure App社の佐竹晃太代表。

Cure App社の佐竹晃太代表。

記者会見のスクリーンショットをキャプチャ

昨今、個人の健康にフォーカスした「ヘルスケアアプリ」が増えている。

ただ、CureAppが開発しているアプリは、よくあるヘルスケアアプリとは異なり、治療用アプリに搭載されているメッセージや動画、細かいアルゴリズムに至るまで、一つ一つが学会のガイドラインや論文など、医学的な妥当性が高いものを採用。保険を適用するために「治験」を通じて、規制官庁から医学的な有効性が担保されている点が大きく異なる。

CureApp HTのエビデンスを蓄積するために国内で実施された治験の最終段階である第3相試験では、複数の施設で一般的な高血圧の治療(医師による生活指導)を受けるグループと、CureAppを導入した治療プログラムを受けるグループをランダムに分けて比較する試験を実施している(多施設共同無作為化比較試験)。6カ月(24週)におよぶ治験の中で、後半の3カ月では医師の判断によって薬物療法も組み合わせた有効性を評価した。

その結果、治療アプリを利用したグループの方が、統計的に見ても明らかに血圧が低かった。また、12週目段階でも、将来の脳心血管病のリスクが約11%減、心不全リスクにいたっては54%低下することを示唆する結果が得られたという。

App StoreやGoogle Play 経由で、アプリそのものは誰でもダウンロードできるが、利用するには医療機関を受診した後に処方される「処方コード」の入力が必要だ。アプリの利用、血圧測定、医師による指導の三要素が組み合わさった一連のプログラムにかかる医療費は、患者の負担額(3割負担)で月額2490円(初月のみ2910円)。実際にはこれに加えて、初診・再診料などの診察費用も上乗せされる。

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