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- 従業員への報酬を決定する際に、管理職の性別が果たす役割について調査が行われた。
- 女性管理職は、たとえ自分の給与が減ったとしても、従業員に十分な賃金を支払う傾向にあった。
- 経営陣の多様性が重要だという議論が続く中、この研究はそこに新たな一石を投じるものだ。
新たな研究によって、女性管理職は男性管理職よりも、従業員に適切な給与を提供する傾向にあることが分かった。
ドイツのカールスルーエ工科大学の研究者たちは、管理職が従業員の給与をどのように決めるのかについて2つの調査を実施した。その結果、管理職の性別、管理職に従業員が行っている仕事の経験があるか、インセンティブがあるかなど、複数の要因が関連していることが分かった。
調査によると、管理職は男性でも女性でも「一般的に」従業員よりも自分の給与を高くしていた。しかし、男性管理職の方が女性管理職よりも多くの給与を自分に与える傾向が強かった。
女性管理職は、より一貫して従業員に適正な給与を支払うことを選択しており、その選択は、自分自身に多くの給与を確保するというインセンティブに影響されにくいことが明らかになった。一方、男性管理職は、自分の給与と従業員の給与を比較検討する際に、自分自身の利益を優先する傾向にあった。
この調査結果は、経営層における多様性が重要であることを示しており、男女間の賃金格差の縮小や、「職場の雰囲気を醸成する」ことにも関連する可能性があると論文に記されている。
ブルームバーグが2022年に行った調査によると、金融機関で女性がリーダー的役割を果たす割合は、ヨーロッパでは41%で、前年より約2%増加している。一方アメリカでは33%とヨーロッパよりも低い。
「さまざまな研究により、女性は男性よりも無欲で道徳的な決断をすることが観察されている」と、この研究論文の共同執筆者であるノラ・セッシュ(Nora Szech)はプレスリリースで述べている。
「そして我々はその差があまりにも大きいことにショックを受けた。職場の雰囲気が感謝に満ち、賃金格差が抑制されるためには、経営陣の多様性が重要であることを、この研究が示している」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)