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- グラスドアのエコノミストによると、今はまだ新しい仕事を探すのに最適な時期だという。
- だが雇用市場は落ち着きつつあるようで、転職の際には「よく考えてリスクを取ることが重要」という。
- アメリカの8月の非農業部門雇用者数は31万5000人増となり、7月の求人件数は1120万件だった。
あるエコノミストによると、アメリカの雇用市場は依然として好調だが、転職を考えている人は退職の前によく調べて検討すべきだという。
アメリカ労働省労働統計局(BLS)が2022年9月2日に発表した雇用統計で、8月の雇用者数は31万5000人増と、7月の52万6000人増より低下したことがわかった。だが求人件数は依然として高いままで、7月は1120万件と雇用市場は引き続き「とても熱い」とグラスドア(Glassdoor)のリード・エコノミストを務めるダニエル・ザオ(Daniel Zhao)がInsiderに語っている。
「インフレが賃金上昇を食い潰しており、雇用市場は落ち着きつつあるが、依然として転職には最適な時期だ」とザオは述べた。
「インフレに対抗して給料を上げる方法の一つは転職することだ。転職は労働者が最も力を発揮できるときだ」
だが、今から仕事を辞めて新しい仕事に就くことを考えている労働者は慎重になる必要があるかもしれない。
「私がアドバイスしたいのは、よく考えてリスクをとることが重要ということだ」とザオは語った。
「なぜなら、雇用市場が好調だが、落ち着いてきているようにも見える。だからこそ労働者は自分が行く会社が経営的に安定しているか、業界が成長し続けるか、よく調べることが重要になる」
例えば、テック企業の中には従業員を解雇したところもあるが、フォード(Ford)やセブンイレブン(7-Eleven)などの例のように、解雇を発表している企業すべてがテック企業とは限らない。以前Insiderで報じたように、雇用ペースを落としたり、中止したりしている企業もあり、転職はより難しくなってきている可能性がある。
グラスドアのキャリアトレンド・エキスパートであるアリソン・サリバン(Alison Sullivan)は7月、Insiderへのコメントで、退職前に「次のステップについて慎重に検討することが重要」と述べていた。
「退職して後悔したい人など誰もいない」とサリバンは言う。
「新しい仕事や企業が期待したものではなかったときにはそうなる可能性がある。だから、キャリアに関して決断する時はよく調べることが重要になる」
過去1年間、数多くの人々が給料などを理由に仕事を辞め、「大退職」に加わった。そして、一部には大退職を後悔している人もいるかもしれないが、この流れは一部の労働者にとって良い影響を与えている。
「大退職は長い目で見れば、労働者が自分たちに影響力があることを思い起こす出来事だったと思う」とザオは語った。
「離職によってよりよいチャンスを探し、昇給についての交渉もできる。だから、アメリカの労働者の自信を高めるものとして、大退職は長期的にはよい影響を与える可能性があると思う」
現在雇用されている従業員でも、仕事において影響力があるので退職願を手にする必要がないとCNBCは報じた。これには昇格や昇給を求めることが含まれる。
インディード雇用研究所(Indeed Hiring Lab)のエコノミスト、アンエリザベス・コンネル(AnnElizabeth Konkel)は、先日のBLSによる雇用統計の発表後、「労働者の需要があることがわかった。労働者には引き続き選択肢があるだろう」とInsiderに語った。
コンネルは雇用市場はいまだに労働者にとって売り手市場なのだと説明した。
「労働市場は全体的に見て、依然として健全だ」とザオも語っている。
「求人はわずかに落ち着いてきているが、経済全体の減速と同程度のようだ」
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)