7月12日、増上寺で営まれた安倍晋三元首相の葬儀。
REUTERS
松野博一官房長官は9月6日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬に関わる費用について総額で約16億6000万円程度になるとの概算を明らかにした。
これまで政府は国葬の会場設営費などで2億4900万円を予備費から充てると示していたが、全体の概算額については明らかにしていなかった。
会見する松野官房長官(2022年9月6日)
首相官邸
政府は「接遇が必要な海外要人の数が不確定であるため、確たることを申し上げることは困難」「これまで国が関与した葬儀で、規定経費で支出する警備・接遇費を切り出して示したことはない」(松野官房長官)として、国葬後に精査して公表するとしていた。
一方、国会の閉会中審査を前に野党側は概算を提示するよう求めていた。
松野官房長官は6日の会見で、「190以上の代表団が参列のうち、特に接遇が必要な首脳級の代表団が50程度と見込まれる」として警備・接遇の規模を仮定。「丁寧な説明な尽くすという観点」から「あえて現時点での経費の見込みを示す」とした。警備・接遇費はすでに成立している今年度予算(限定予算)から対応する。
国葬では友人代表として菅義偉前首相が追悼の辞を述べる。
松野官房長官が明らかにした、安倍元首相の国葬費用の概算内訳は以下の通り。
「安倍晋三元首相の国葬儀に関する費用の見込みについて」
内閣府資料(※立憲民主党・西村智奈美氏が公表)
■会場設営費やバス借り上げ料など:約2億4900億円(予備費より)
■警備費用:約8億円
<内訳>
・道府県警察からの派遣旅費など部隊活動費、超過勤務手当:約5億円
・車両など装備、資機材、待機所の借り上げなどの装備費:約3億円
■海外要人の接遇費用:約6億円
<内訳>
・海外要人の滞在中の車両手配、空港での受け入れ体制の構築など:約5億円
・接遇要員として一時帰国させる在外公館の職員の出張旅費:約1億円
■自衛隊の儀仗隊などの車両借り上げ費:約1000万円
(文・吉川慧)