27歳のイスラエル・トーバー氏が保有する資産額は、2000万円を超える。
Courtesy of Israel Tovar
- ワシントンDCで教職に就く、イスラエル・トーバー氏は27歳にして、約2160万円の純資産を築いた。
- 彼にとって資産形成のモチベーションは、行き詰まりを感じた仕事を続けずに済むようにすることだった。
- 本記事では7つのステップにわたる、トーバー氏の貯蓄計画を紹介する。
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スタンフォード大学とイェール大学で学んだイスラエル・トーバー(Israel Tovar)氏は、在学中に全額給付型の奨学金を得ていたおかげで、借金を抱えることなく卒業できた。その後、テネシー州ナッシュビルに移って教師として勤務する。
彼にとって、教師になることは長年の夢だった。だが、低所得層の有色人種向けの学校で、ただ1人の同性愛者、さらに有色人種の教師として働くことが、大きな精神的負担をもたらすとは予想していなかったという。
「刑務所のように思える学校で働いて、年収は4万4000ドル(約630万円)だった」と、彼はInsiderに語る。
最終的に、自らの精神衛生を守るため、トーバー氏はその後のあてもなく仕事を辞めた。のちにワシントンDCで年収6万5000ドル(約930 万円)の新たな教職に就く前、もう二度と仕事で嫌な思いをして行き詰まらないように、彼は6桁(10万ドル[約1400万円]以上)の資産を築くための入念な計画を立てた。
1. 投資に目的を持たせた
「まずは、『なぜ投資をするのか』をはっきりさせる必要があった」と、トーバー氏は言う。「移民一世のラテン系教師として、安定した経済基盤を築く。そうすることで、お金を味方につけて、キャリアの選択肢を増やしたいと思った」
2. 投資用語を勉強した
次にトーバー氏は、複利やインデックスファンドといった投資用語について調べた。そのおかげで、株式市場でうまくお金を運用する方法をよく理解できた。
姉であるスネム・トーバー(Sunem Tovar)氏の手引きを受けながら、株式市場の仕組みと、自分の投資期間・目標・リスク許容度に基づいた投資対象の選び方を学んだ。
3. 個人年金制度を最大限に活用した
学校でパーソナルファイナンスを学んだことのある姉に助けられながら、トーバー氏は学校の個人年金口座である403(b)と従来型のIRA口座のオプションを最大限に利用し、主にインデックスファンドに投資した。
「学校が負担する6%のマッチング拠出も利用し、全額受給するために3年間はその学校にとどまる計画を立てた」と、彼は言う。
4. 投資戦略をシンプルにした
家族の反対を押し切り、トーバー氏は23歳にしてナッシュビルに初めての自宅を購入した。資金が足りなかったので、鑑定料の1000ドル(約14万円)は姉から借り、住宅購入者支援制度を利用して、購入手数料をまかなった。
「家を買おうと決めたのは、あのときは財産を築くためには不動産を持つしかないと信じ込んでいたからだ。しかし、金融に関する知識を深め、人生の目標を明確にするにつれて、自分にとってはインデックスファンドへの投資のほうが優れた選択肢だと気づいた」
その物件を買ってから3年、トーバー氏はそれを賃貸に出すことが予想以上に大変だと知った。
「もっと手間のかからない方法で富を築きたいと思った。物件を貸すと、さまざまな手続きに多くの時間を取られる。だが、インデックスファンドへの投資なら、最初に購入してしまえば、その後は何もしなくていい」
まもなく彼は自宅を売却し、利益をそのまま証券会社の口座に入れて、インデックスファンドへの投資を増やした。
5. 支出を抑え、収入アップにも取り組んだ
給与の高い仕事をするためにワシントンDCに移ったトーバー氏は、郊外のシェアアパートで大学時代の友人と住むことにした。
「年収は1万5000ドル(約216万円)も増え、とにかくがんばっていた。単発でできる教師の仕事もあちこちから受けた。『宿題支援センターの仕事でも、放課後支援のあれこれでも、何でもやる』といった感じだ。とにかくお金を稼いで6桁の資産を築くんだ、と心に決めていた」
6. 投資を自動化した
生活防衛資金用の貯蓄口座を作り、仕事も安定したと感じると、トーバー氏は給料が入るたびに、その一部が自動で投資されるようにした。
7. コミュニティ支援をすることからも恩恵があった
トーバー氏の成功は、姉であるスネム氏のサポートがあってこそだった。スネム氏は一家の中で初めて本気で資産運用に取り組んだ人物だ。2人の純資産は合わせて32万5000ドル(約4500万円)に上る。また、2人はドリーム・ティーチャー・プロジェクト(Dream Teacher Project)という事業を立ち上げ、彼と同じ有色人種の教師たちに資産形成の方法を教えている。
「共にドリーム・ティーチャー・プロジェクトを運営することは、我々自身の責任感にもつながった」と、トーバー氏は語る。「クライアントに最高のコーチングを提供したいと思うからこそ、我々自身の資産が正しい状態にあるようにしないといけないからだ」
(翻訳・長尾莉紗/LIBER、編集・長田真)