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「宗教団体と明かさず偽装も…」旧統一教会の勧誘例を鈴木エイト氏らが証言 現役信者・2世の救済も訴え

国対ヒアリングに出席した鈴木エイト氏と藤倉善郎氏。

国対ヒアリングに出席した鈴木エイト氏と藤倉善郎氏。

YouTube/西村ちなみ

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる、いわゆる「霊感商法」などの問題に関する野党国対ヒアリングが9月7日、国会内で開かれた。ヒアリングには旧統一教会の動向に詳しい鈴木エイト氏と藤倉善郎氏が出席した。ともにニュースサイト「やや日刊カルト新聞」などで宗教問題に関する記事を執筆しているジャーナリストだ。

鈴木氏と藤倉氏は過去の取材や執筆記事をもとに、宗教であることや団体名を隠したり、ダミーの団体名で勧誘する「偽装勧誘」の例などを紹介。一方で、宗教2世の救済や現役信者への人権侵害問題への対策も訴えた。

「旧統一教会問題」に関する国対ヒアリング。

YouTube/立憲民主党 国会情報

コンプライアンス宣言は「事実と反している」

旧統一教会をめぐっては、霊感商法などの献金問題で元信者らによる裁判が提起されてきた。裁判所が旧統一教会の行為を違法と認めた判例もある。

「先祖の因縁」などと不安に陥れ、高額のつぼなどを買わせる手法は1980年代から「霊感商法」と批判されてきたが、判決でも教団の「高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」と認定した。その後、13年の民事訴訟の札幌高裁判決(確定)では「宗教団体であることを秘して勧誘し、不安をあおり困惑させる」「財産に比して不当に高額を献金させる」ことなどを違法性の判断基準とした。
毎日新聞・2022年8月16日

世界平和統一家庭連合の田中富広会長は、安倍晋三元首相の射殺事件を受けて開いた7月11日の記者会見(※)で「過去の献金に関して、トラブルがあった」としつつ、2009年にコンプライアンス宣言をしたことで「末端に至るまで、コンプライアンスの徹底を進めてまいりました」「2009年以降の案件で、そういった(献金に関する)トラブルはありません」と発言していた。

これに対し、鈴木氏は「コンプライアンス宣言でもなんでもない」とし、2009年以降も宗教活動を名目に「祈願書」などを購入させる手法が続いていると話した。

鈴木氏は「それまでのような、物品の引き換えにお金を払う『霊感商法』のような消費者契約ではない形をとっている」とし、「教団側が『コンプライアンス宣言以降ちゃんとやってる』というのとは、全く事実と反している状況が続いている」と指摘する。

(※編注)記者会見をめぐっては、全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見内容に虚偽があると批判。世界平和統一家庭連合の田中会長は会見から6日後の7月17日、コンプライアンス宣言後にトラブルはないとした発言について「信徒たちのコンプライアンス遵守の結果が大きく表れているという趣旨で行った」「それまでのようなトラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません」と発言内容を訂正する声明を出した。

「勧誘時には教団名を言わなかったり、ダミー団体を名乗ったり……」

藤倉氏は、2009年以降に「やや日刊カルト新聞」などで鈴木氏が伝えてきた旧統一教会による勧誘手法について紹介した。それによると、宗教団体であることや旧統一教会であることを隠した「偽装勧誘」という手法で信者の勧誘がなされてきた実態があるという。

「勧誘時には『統一協会』とは言わなかったり、一瞬『家庭連合』とちょっと言ったりはする」

「ダミー団体の名前を名乗り、アンケートをすると連れられていくと、そこはダミーの施設。結局はビデオを見せられて統一原理につながるような教えを入信前からされていく。よく言われている旧統一教会の偽装勧誘のシステムにつながっていく」

「僕自身も何年か前、渋谷の街頭で『家庭連合です』と勧誘を受けたことがあった。『家庭連合、ご存知ですか』と言われたので、『霊感商法で有名な統一協会ですよね」というふうに言ってみたところ『あ、そうなんです。それです、それです』と言うのでびっくりしちゃった。けれども、その後に続くのが『霊感商法といってマスコミに叩かれたのは、一部の信徒たちが勝手にやったこと。うちは関係ない』という説明で正当化するようなトークだった」
(藤倉氏)

「被害救済と被害防止の仕組みをセットで必要」

一連の勧誘手法について、藤倉氏は「勧誘された側には旧統一教会だとわからない」と問題点を指摘。鈴木氏も、実際に勧誘された人に確認すると「教団名を聞いていないし、宗教の勧誘だとは聞いてないことがほぼ全てだった」と証言する。

一方で藤倉氏は、2020年には路上での勧誘時に「国から認められている団体です」と勧誘していた事例もあったと紹介した。

藤倉氏は「宗教法人格を持っていることが、さも団体がまっとうな団体であるかのように勘違いで誤解させる道具に使われている」「普通に考えると、彼らの実態や行為が国から認められてると考えにくい。当然、宗教法人として認証されていることを指しているのだろう。宗教法人として認証されているということは、その質についても国が認めているんだという勧誘トークをしていた」と話した。

また、藤倉氏は宗教法人格が取り消され解散しても、別の団体名を名乗って活動を継続しているカルト団体の事例があると指摘。「被害の救済と防止の仕組みは常にセットで考えないと問題はいつまでも続く」と懸念を示した。

「恐怖を植え付けたり騙したりしながら、誘導し、常軌逸したお金を取るとか、そういったその行為の部分に特化していかないと偽装勧誘的なやり口はカバーできない」

「入口で騙してから、何年もかけて恐怖を植え込んだり、教祖の教えを教え込んだりして、もはや脅さなくても言えばお金を出すぐらいの人間に変えてしまうというプロセスの積み重ねが非常に問題」
(藤倉氏)

宗教2世と現役信者への人権侵害も問題

旧統一教会をめぐる問題で、鈴木氏と藤倉氏が献金などの問題と並行して政治に取り組んでほしいと訴えたのが宗教2世(信者の両親のもとに生まれた子ども)と現役信者の救済だ。

「さしあたって、生きる死ぬの状態にある生活に困窮していたり、虐待状態にある2世を脱出させるための制度や法律が早急に必要ではないか」

「宗教や家庭内のしつけの問題ということで児童相談所が尻込みしたりすることがないよう『理由が宗教であっても、虐待は虐待。子どもの人権を守らなければいけない』という考え方で児童相談所がちゃんと動きましょうというガイドラインがあるだけで、大部違うのではないか」
(藤倉氏)

鈴木氏は、いわゆる「カルト団体」の中にいる人全員が「基本的に人権侵害を受けている」と懸念する。

「人権侵害を受けていると気づいていない人も当然多く、ある程度納得して教団の中にいる人に対しても偏見などを言ってしまいかねない状況にある。そういうところは気をつけてほしい」

「現役信者は『自分で選んでいるからいいんじゃないか』というような言説もあるが、決してそうではない。入り口では偽装勧誘であるとか、自由な意思決定を侵害されてそこにいる人たち」

「ただ、現実問題としてまず救済すべきはそこで今苦しんでいる人、助けを求めてる人に手を伸ばすべき。でも、そこにいることを選んでいる人に対しても、決して偏見なり、社会から排除しようみたいなそういう動きにならないような気遣い心遣いが必要かなと思う」
(鈴木氏)

藤倉氏も「統一教会をいかに批判しようとも、個々の信者の人たちを差別したりとかは絶対しちゃいけない。その当然のことを、はっきりメッセージとして発信していかないとわからない人もいる。ネット上で2世に直接暴言をぶつけるような人もいたりする」と現役信者や宗教2世への誹謗中傷を問題視する。

一方で、「加害性と被害性がやっぱり混在はするので、地位のある人ほど加害者性も強くなる」「若い2世たちも、今の状況のまま年齢を経て(教団内での地位が上がると)いくと、どんどん加害者性が強くなってしまう。また、辞めた時に一般社会に出ていくことがより一層困難になっていく」とも指摘した。

「アンケートに協力を」「国際社会に貢献」“カルト宗教”勧誘の手口

9月に入って新しい学期が始まっている大学もあるが、大学構内ではサークル活動を装った「カルト団体」の勧誘などが問題視されている。各大学では勧誘の手口の具体例を紹介し、学生に注意を呼びかけている。以下、その一部を紹介する。

ボランティアや国際交流のサークルを名乗って、電話番号を聞かれたり、アンケートに個人情報を記入させたりと、巧妙に加入を迫ってきます。

本学でも、キリスト教系と称するカルト宗教に入ってしまい、脱会したときには学業を続けられない精神状態に陥っており、退学せざるを得なかったという例が報告されています。(法政大学


サークルを装って勧誘したり、「就職や留学のための勉強会に参加しませんか?」などと声を掛けたりして、連絡先を聞き出し、親しくなってからカルト集団や政治セクトへの入会を勧めるケースがあります。最近ではSNSを使った勧誘もあるようです。(早稲田大学


「友情を深め」、「人生を考え」、「環境問題を考え」、「地域社会や国際社会に貢献する」など表面的には大変立派な活動を行っているように見えますが、その実態は特定のリーダーへの一方的な従属を基礎にした「反社会的な破壊的カルト」です。

勧誘の手口は巧妙で、知らず知らずのうちにマインドコントロールされ、恐怖感と罪悪感を植え付けられ、いつのまにかこの組織の思うがままにされてしまいます。そして、精神的にも、肉体的にも、経済的にも蝕まれ、皆さんの貴重な青春を失ってしまうことになります。

これらの団体は、サークルへの勧誘以外にも、「アンケートに協力してください」、「履修指導の説明会をします」、「人生を考えるセミナーに参加しませんか」と言って近づいてくる場合もあります。(大阪大学


「宗教」「教会」等の内容を明かさずに、フレンドリーに音楽・スポーツ・ボランティア等の「サークル活動」に勧誘し、機会をみて、事務所等に連れて行き、マインド・コントロールを行うものもあります。(亜細亜大学)


「今度一緒に食事しませんか」

「一緒にスポーツ(テニス・サッカー・バスケットボール等)をしませんか」

「パーティーに参加しませんか、他大学や社会人の友達ができます」

「ボランティア活動に興味はありませんか」

などと、音楽やスポーツ、ボランティアなどのサークルを装って勧誘し、知らず知らずの内にマインドコントロールされてしまうものがあります。(新潟大学


最近では「ゴスペルコンサート」や「スポーツ系インカレサークル(バレーボール,フットサルなど)」、「料理教室」や「食事会」などに誘う例が増えています。

昼休みにラウンジなどで食事をしている時、キャンパス内の掲示板を確認している時や外濠校舎の学生ラウンジで授業の準備をしている時など、一人でいる時に声をかけてくるのが彼らの手口です。無届けの教室でゴスペルコンサートを企画し、誘ってくるという例もありました。(法政大学)

政府は旧統一教会による霊感商法などへの対策相談窓口を9月5日〜30日にかけて開設している。電話番号は0120-090-590。平日の午前9時半〜午後5時まで。

(文・吉川慧)

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