エストニアの防衛関連企業、ミルレム・ロボティクスによると、無人地上車両「THeMIS」はウクライナの民間人避難に使用されているという。
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- ロシアのシンクタンクは無人地上車両「THeMIS」の獲得に100万ルーブル(約240万円)の懸賞金をかけている。
- この車両は最近ウクライナに納品され、負傷した民間人を避難させるために使用されているという。
- CASTは、このような車両をロシア軍に供給したいのだとInsiderに語っている。
モスクワを拠点とするシンクタンクで、ロシア軍とつながりの深い「戦略・テクノロジー分析センター(CAST)」は、ウクライナで負傷した民間人の避難を支援するために使用されている最先端のロボット車両を「いかなる手段」を使ってでも獲得した者に懸賞金を提供するという。その額はほとんどの兵士の年収よりも高い。
「THeMIS(Milrem's Tracked Hybrid Modular Infantry System)」と呼ばれるその遠隔操作式無人地上車両は、エストニアの防衛関連企業ミルレム・ロボティクス(Milrem Robotics)が製造している。同社の広報担当者が防衛専門誌Janesに語ったところによると、少なくとも1台はすでにウクライナに納品され、医療支援や負傷した民間人の搬送に使用されているという。
同社によると、最大750キログラムまで運搬可能なこの車両は「運搬から兵器化まで迅速に設定を変える」ことができ、戦闘でも使用可能だという。戦場での負傷者や迫撃砲弾などの武器を輸送する能力の高さをセールスポイントにしている。
ウクライナに戦闘用のTHeMISを提供する意図があるかどうかについて問われたミルレム・ロボティクスは回答を避けた。フランス、ドイツ、アメリカを含む6カ国以上の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が、THeMISを保有している。
ロシアは明らかに取り残されてはいけないと考えているようだ。
THeMISは兵器化して戦闘に使用することもできる。
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「ウクライナ紛争によって、無人車両の普及なくして現代の戦争はありえないことが証明された」とCAST(Centre for Analysis of Strategies and Technologies)のルスラン・プホフ(Ruslan Pukhov)所長はInsiderに宛てたコメントで述べている。
「残念ながら、ロシアは遅れを取っている」
その遅れを取り戻すために、THeMISをほぼ無傷で手に入れて国防省に届けた軍や警察関係者に100万ルーブル(約240万円)を提供すると、CASTは最近のブログで呼び掛けている。ちなみにロシア軍と3年契約を結んだ軍人の年俸は1万3000ドル(約190万円)強、徴集兵の月給は25ドル(約3600円)以下だとワシントン・ポストが報じている。
「外国の発展に関する情報が得られるのなら、どんな手段を使ってでもそれは確実に実行されるべきだ」とプホフは述べている。
「ウクライナに売られたTHeMISは基本的なモデルだが、それを研究するだけでも意味がある」
元CIAのアナリストで、現在は海軍分析センター(CNA)でロシア専門家として働くジェフリー・エドモンズ(Jeffrey Edmonds)がInsiderに語ったところによると、CASTはロシア政府と直接つながりのある部署と見なすべきではないが、その研究者の見解は概ね政府が推し進める路線と一致しているという。
「とはいえ、CASTのトップは軍部と非常に深いつながりがある」
プホフ所長は2007年、ロシア国防省傘下の公的評議会のメンバーに任命された。彼はInsiderの取材に対し、最終的な目標はロシア軍に優れた無人機を供給することであるとし、「戦闘状況下では、敵が使用するシステムや車両を捕獲して研究することが、そのための主要な方法の1つだ」と述べた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
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