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物価上昇に応じた投資で、いかにインフレを回避するか?

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あなたの資金がリターンを得ていない場合、インフレは最終的にその購買力を侵食するだろう。

Inside Creative House/Shutterstock

  • インフレーションは預金や債券の価値を下げる。
  • インフレに備えた投資とは、値上がりが期待できる商品や実物資産、変動利付き商品を選ぶことだ。
  • 株式や米国物価連動国債(TIPS)、金や不動産などの実物資産はインフレに強い投資商品である。

もしも資金が増えていないなら、それは価値が減少していることを意味する。

これは、常に私たちに付きまとうインフレ―ション(物価上昇)の仕業だ。インフレとは、財やサービスの価格が着実に上昇する状況を指す言葉であり、経済のあらゆる側面に影響を与える。

インフレは長期的にお金の購買力を削ぎ、投資リターンを少しずつ削り取っていく。だが、将来を見越して計画を立てることで、資産を守ることは可能だ。

その答えは、足元のインフレ率よりも高いリターンを獲得するか、少なくとも物価に合わせてリターンが上昇する投資商品を選択するなど、インフレに備えた投資を行うことである。物価上昇から身を守る投資方法と、どの投資商品がインフレヘッジ(回避)に最適かを順番に見ていこう。

インフレを理解する

インフレとは、経済全体にわたり財とサービスの価格が一定期間上昇する状況を指す。

物価上昇は「インフレ率(inflation rate)」で測る。インフレ率は、ある年から翌年の物価指数(財とサービスの代表的なサンプル)の変動率として計算される。米国で最も一般的に使われている物価指数は消費者物価指数(CPI)だが、エコノミストは生産者物価指数(PPI)や個人消費支出(PCE)などを使用することもある。

インフレ率が2.3%以下のときは低いと言われる。2.3~3.3%は中程度、3.3~4.9%は高インフレ、4.9%以上になると極めて高いインフレと見なされている。

インフレは必ずしも悪いわけではない。低く安定した物価上昇をエコノミストが良しとするのは、それが、経済状態が健全なことを意味するからだ。企業が生産した財やサービスを消費者が購入し、その結果、企業利益が増え、雇用も賃金もすべて上向く。現在の米連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標は2%だ。

トピックス:2022年7月のCPIは前年から8.5%上昇したが、6月の9.1%という高水準からは低下した。

インフレで購買力が目減りする仕組み

低いインフレ率は経済に良いかもしれないが、わずかな金利しか得られないので財布には痛い。一方、「インフレ率が年率5%になると、今の1ドル(約142円)の価値は来年95セント(約135円)に下がる」と、ボストン大学のクエストロムMBAでファイナンスの講師を務めるマーク・ウイリアムズ(Mark Williams)氏は言う。

また、価値が目減りするのは現金だけではない。

ウイリアムズ氏によると、インフレ期は金利の低い預金口座の資産価値が実質的に低下する。銀行が支払う預金金利では、資産価値の低下を補えないからだ。事実、インフレ期には固定金利のリターンが実質的に目減りする。

つまり、インフレはすべての投資家に影響するのだが、とりわけ収益重視の投資家には打撃となる。

どの資産タイプがインフレに強いか?

いくつかの資産クラスは、特にインフレ時の投資先として向いている。

値上がり指向の資産:収益だけでなく、成長性や値上がりを期待できる資産に投資しよう。株式はその最高の例だ。

実物資産:インフレは、譲渡性預金(CD)や伝統的な債券など本源的価値を持たない名目資産の価値を下げる。こうした資産は、支払われる固定金利に基づいて価格が決まるが、インフレ率が上昇すると固定金利の価値が目減りする。対照的に実物資産とは、本源的価値を持つ有形資産のことであり、その価値はインフレとともに上昇する。

変動利付資産:インフレ環境では、固定利付資産の価値は低下する。変動利付資産はインフレ率の上昇とともに金利が上がるので、インフレに打ち勝つ可能性が高い。

インフレ対策に最適な資産はどれか?

特定の資産は、インフレ率が上昇している時に高いパフォーマンスを上げる。こうした資産の中から選択する場合には、自分の資産目標や、インフレの深刻度合いを勘案する必要がある。


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1. 株式

一般的に、株式のリターンはインフレ率よりも高い。価格が上昇するということは、企業がより多くの利益を上げられるということなので、ひいては株価が上昇する。もちろんその保証はないが、長期的に見ると株式市場は過去、インフレ率を上回るリターンを上げてきた。

パッシブ運用のインデックス(指数)投資は最も簡単な株式投資の方法で、銘柄選定能力を必要としない。リターンが市場全体を上回るハイテク株やその他グロース(成長)株は、インフレに対する最も有効なヘッジ(リスク回避)になる。消費財企業や、生活必需品メーカーなどその他ディフェンシブ業種の銘柄も効果的だ。

2. コモディティ(商品)

「インフレ率が高いときには、コモディティはどちらかといえば大きなリターンを上げてきた」と言うのはデット・リリーフ・カンパニー(Debt Relief Company)のアデム・セリータ(Adem Selita)CEOだ。コモディティとは、穀物、原材料、天然資源といった実物資産の一種だ。コモディティ価格の上昇は、これらを利用して作られる他の製品やサービス価格を押し上げる。

特に、金や銀などの貴金属は長年インフレヘッジと見なされてきた。米ドルやその他通貨とは違い、金も銀も本源的価値が備わっている実物資産だからだ。他に、原油やガスなどのエネルギー関連のコモディティもインフレヘッジとして効果的である。

3. 不動産

不動産は、実物資産であり、値上がり益が期待できる資産でもある。コモディティと同様に、土地や不動産価格もインフレ率と一緒に上昇する傾向がある。まだ実際に不動産を買う心構えができていなくても、不動産投資信託(REIT)を通じて不動産に投資することも可能だ。厳密にいえば証券だが、REITは上場不動産のポートフォリオであり、不動産市場の動向に影響を受ける。

4. オルタナティブ投資

ウイリアムズ氏によると、美術品、クラッシックカー、その他収集品といった有形資産もインフレヘッジとして効果的なことが多い。これらもまた収集家にとって本源的価値のある実物資産だ。これらの資産価格は予想が難しいが、こうした財の価値は長期的に上昇し、インフレ率を上回るリターンを上げることが期待される。

ヒント:ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産も、供給量が制限されているためインフレに強いかもしれない。だが、暗号資産が登場したのは2010年と最近であり、高インフレ期を経験しておらず、どのようなパフォーマンスを示すかは定かではない。

5. 米国物価連動国債(TIPS)

ほとんどの債券はインフレヘッジとして賢い選択肢とは言えない。債券は満期までの間、場合によっては数十年にわたって固定金利が支払われるからだ。流通市場における債券価格は変化することがあるが、一般に利払額は調整されない。

だが、TIPSのように、金利がインフレ率に連動する債券もある。つまり、インフレになると利率が上昇しデフレになると低下するため、インフレ時でも利払額が大きく目減りしない仕組みになっているのだ。

TIPSは米国政府が保証しているため、極めて安全性が高く、保守的な投資家に良い選択肢である。

負債を活用してインフレに対処することも可能

負債は、投資の対極にあるように見えるかもしれない。だが、激しいインフレ時には借金を背負うことも優れた金融戦略の1つになりうる。

固定金利の負債であれば、インフレになると返済する負債の価値が下がるとセリータ氏は言う。インフレで現金の価値が目減りするのと同じように、ローンの価値も低下する。インフレになる前に、融資や住宅ローンを借り入れた個人はこの恩恵にあずかれる。

例えば、1990年の1ドルは今日の2ドル以上に相当するため、30年前に始まった毎月1000ドルの住宅ローンの返済額は、いまでは2000ドルに匹敵する。にもかかわらず、いまでも毎月の返済額は1000ドルだ。つまり、支払額が半分に減ったことと同じであり、実質的に毎月の返済額が以前の半分になる。

借り換えが可能なら、融資や住宅ローンを変動金利ではなく固定金利に変更してみよう。そうするとインフレが有利に働く。

まとめ

資産を守るためには、インフレに備えた投資は欠かせない。

インフレは貯蓄を蝕む可能性がある。だから、もしもの時のために現金をいくらか手元に置いておくのは良いことだが、多く持ちすぎるのは得策ではない。多額の現金を持っていると、その額では以前ほど物が買えないことに気がつくだろう。

[原文:How to hedge against inflation with investments that keep pace with rising prices

(翻訳・中山桂、編集・長田真)

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
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