2010年のスティーブ・ジョブズ(右)とティム・クック(左)。
Kimberly White/Reuters
- アップルのティム・クックCEOは、スティーブ・ジョブズとの最大の議論はiPhoneの販売に関することだったと語った。
- 2人はiPhoneの販売方法について「補助金モデル」を取るか、あるいはジョブズが望んだ「レベニューシェア戦略」を取るか、発売の何年も前から議論していた。
- アップルは当初ジョブズの案を採用したが、その後クックの案に変更し、iPhoneを成功に導いた。
アップル(Apple)のティム・クック(Tim Cook)CEOにとって、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)との最大の議論は、iPhoneの販売方法に関するものだったと語った。
クックは2022年9月7日に開催された年次会議「コード・カンファレンス」に、伝説的デザイナーのジョニー・アイヴ(Jony Ive)、ジョブズの妻であるローリーン・パウエル・ジョブス(Laurene Powell Jobs)、ジャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher)とともに出席し、アップルの未来を見据えていたジョブズについて語った。
ジョブズとの最大の論争は何だったのかとスウィッシャーに尋ねられたクックは、2007年のiPhone発売に先立つ販売戦略に関することだったと答えた。
クックは、AT&Tなどの携帯電話会社がアップルにiPhoneの代金の一部を先払いする「補助金モデル」を取りたいと考えていたという。この場合、携帯電話会社はその分をユーザーの月々の利用料で回収することになる。一方、ジョブズは携帯電話会社の月々の収入の一部を受け取る「レベニューシェア」という当時の業界のスタンダードではなかった方式を望んだ。
「彼のやり方はより創造的で、より変わったものだった」とクックはカンファレンスで述べている。
「私のやり方の方がより早くスケールアップできるはずだと、少なくとも私は強く感じていた。そのため我々はこのことについて、しばらくの間、かなり議論を重ねた」
その議論は数年にわたって続いたという。
iPhoneによってアップルは携帯電話業界の破壊者とみなされるようになった。そしてiPhoneはアップルの成功の原動力となる製品として定着した。
アップルは当初、ジョブズの「レベニューシェア」のアイデアを採用していたが、最終的にはクックのモデルを採用し、それがiPhoneをスターダムに押し上げるカギになったとAxiosが報じている。
カンファレンスでは、クックと他のパネリストは、アンドロイドからのメッセージの取り扱いに関する批判にアップルがどのように対処しているのか、現在の極端な政治情勢についてジョブズであればどう思うかなど、さまざまなトピックについて話し合った。
また、パウエル・ジョブズは、亡くなった夫が細部にまでこだわりを持っていたため、自宅に置くソファを決めるだけで8年もかかったとこぼれ話を語っていた。
[原文:Tim Cook reveals his biggest dispute with Steve Jobs — and how it ended]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)