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- アメリカの労働者の半数は、ここ10年間で「静かな退職」を行っていたことが、最新の調査で分かった。
- そして、ここ2年間で「静かな退職」をする人が増えている。
- 調査によると、マネジメントのまずさが「静かな退職」の大きな要因だという。
最新の調査によると、あなたの同僚のうち半数はここ10年間で「静かな退職(quiet quitting)」をしている可能性がある。
「静かな退職」は、Insiderが「惰性の文化(coasting culture)」についての2022年3月の記事で紹介した後、インターネット上で広がっている職場でのトレンドだ。
この言葉は、オンライン上で激しい論争を巻き起こしている。「静かな退職」を行う従業員は怠けているだけなのか、それとも職務内容の範囲を超えた仕事を断っているだけなのか、聞く人によっても違ってくる。
ブームにはなっているが、職場に関する分析を行うギャラップ(Gallup)の調査員は、このトレンドは新しいものではないと話している。
「静かな退職」をしている人は、仕事のやる気を喪失したり、幻滅したりしている労働者に過ぎないと、6月に1万5000人以上のアメリカ人を対象にした調査を指揮した研究者のジム・ハーター(Jim Harter)は述べている。
その調査によると、2002年以降に「静かな退職」を行なった人はアメリカの労働人口の少なくとも50%を占めており、特にこの2年間で増えている。
「従業員エンゲージメントは10年間で上がってきたが、2021年後半から離職率の急上昇と同時に積極的に仕事を行なっていない従業員が増えている」とハーターはInsiderに語った。
従業員エンゲージメントは、2022年6月までの3カ月間に再び打撃を受けた。
調査によると、アメリカの労働力に占めるエンゲージメントの高い従業員の割合は6年間で最低の 32%に低下し、積極的にエンゲージしていない従業員(この調査では「大声で辞める人」と呼ばれる)の割合は6年間で最高の18%に達した。
ハーターによると、これは人々が仕事に期待することがわからなくなり、雇用者から気にかけてもらえないと感じ、会社の目標と自分の繋がりが薄いと感じるようになったことが原因だという。
全体的に従業員と雇用者の間に断絶が生じつつあり、若い労働者がこの傾向に拍車をかけていると思うと彼は述べた。
「特に35歳未満の若い労働者の間で、従業員エンゲージメントが落ちている」という。
リモートワークと強い労働市場によってもらされた新しい自由が、労働者たちに「仕事と人生の境界線について、もっと大胆に声をあげていい」という気持ちにさせていると彼は語った。
しかし、このようなやる気のない労働者や「静かな退職」者は、長い目で見ると誰にとっても良いことではないという。
「今あるほとんどの仕事は、顧客のニーズに応えるために協力したりする特別な努力を必要とするので、これは組織にとって問題だ。一方で、仕事に積極的に参加することや仕事への情熱は成功するための基礎となるので個人にとっても問題だ」と彼は述べた。
「仕事を不快に思うことは、心理的にも生理学的にも良いことではない」
だが、この従業員と雇用主の断絶を解決することは、働き過ぎの文化に貢献することではない。ハーターは現代の労働環境における管理職の役割の進化に問題があると考えている。
「管理職の仕事は、目標や優先事項の設定、継続的な対話、説明責任など、基本的なことに対処するためにシンプルにする必要がある」
管理職は、少なくとも週に1度は従業員と意味のある対話を行い、目標についての話し合ったり、良かった仕事を認めたりしつつ、その人の長所やワークライフの状況、好きなことなどを知ることが重要だとハーターは述べている。
上司が正しいことに集中するように学ぶことができたら、「静かな退職」はなくなる可能性があると彼は話している。
[原文:'Quiet quitting' is nothing new — and bad managers are to blame, a new survey finds]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)