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不要不急の出費を回避できるかもしれない、ちょっと変わった2つの戦略

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優れた芸術品を見ると、「自己超越」の境地へ導かれる。

Chalffy/Getty Images

  • 贅沢したくなる度に「だめだ」と自分に言い聞かせていると、ストレスになる可能性もある。
  • しかし、最近の研究から導かれた解決策がある。まず、自分にとって最も有意義な事とは何なのかを考えることである。
  • 素晴らしい芸術品を鑑賞するのも1つの方法だ。極度に集中した「自己超越」の状態になると物質にあまり価値を感じられなくなる。

「なるべく不必要な買い物はせずに、節約すべきだ」と言うだけは簡単だ。しかし一日中「だめだ」と自分に言い聞かせていると、やる気がなくなったり、疲れてくる場合がある。そういうことは、特に高価なチーズやブランド物の靴が欲しい時によくある。

しかし、物欲を抑えて、より安価なものへ目が行くように、自分の気持ちをやんわりと変える方法があるとしたらどうだろうか?『ザ・ジャーナル・オブ・コンシュマー・リサーチ』(The Journal of Consumer Research)では、最新の研究2本が発表されている。どちらも、この物欲の問題に対して、解決の糸口を示しているものだ。

1.自分にとって本当に有意義なものを考える

5月に発表された研究では、被験者が自分にとって「有意義なもの」について考えを巡らせると、圧倒的に安価な商品に引き寄せられるが分かった。この実験では、被験者に意味の追求について考えるよう指示。その後、オンラインでさまざまなアイテムを購入するための一定の資金が与えられ、余った資金はすべて持ち帰ることができるという選択肢が与えられた。

本研究に参加した研究者の1人である、トロントのヨーク大学マーケティング学准教授、ニコル・ミード(Nicole Mead)氏は「『有意義な消費』というと、参加者はハイエンドアイテム(高級品)を選ぶのではないかと、当初研究チームは予想していた」と、Insiderに語った。

しかしながら、何度も真逆の結果が出た。有意義なことを考えると、安いものを買って、その分、お小遣いとして確保しようとする傾向があるという。もっと大切なことのために、他のお金の使い道を考えていた可能性がある。例えば、なかには「子供のことを考えた」「子供のために、何をしてあげたいのか考えた」という参加者もいた。

ミード氏の見解では、高価なものを選ぶことが、必ずしも悪いというわけではない。高品質なものに的を絞って購入すると、結果的に支出を減らし、無駄遣いを防ぐことになる。値が張るが、長く使える、価値あるものである場合は、値札の背景にあるもの、つまり価格では計れない価値を見出してほしいと参加者に言う。

それでも、もし一時の気分を盛り上げるために、不必要な買い物をしてしまうというなら、「それが価値ある買い物なのか、一瞬でも振り返ってもらうと、本当に必要なものを選んで購入できるようになるかもしれない」とミード氏は言う。

自分にとって有意義なものに力を注ぐためには、将来的にどうなりたいのか、長期目標を考えるといいとミード氏は言う。どんな影響を世の中に与えたいのか? 名を残す人になるというやる気は、何をしたら出てくるのか? 自分自身の目的、地域社会、家族、もし何か信仰しているのであれば、宗教について考えてほしい。このような事は、私たちにとって最も有意義なことへ繋がるのである。

2.優れた芸術品を鑑賞する

4月に発表された別の研究では、素晴らしい芸術品を見た後で買い物をした参加者は、芸術品を見なかった参加者に比べて、高価な商品にあまり興味を示さなかったことがわかった。この研究を行うために、研究者たちはまず、そもそも人はなぜ高級品を買うのか、その理由の核心に触れるところからはじめた。

「多くの場合、高級ブランドは、ステータスシンボルとして宣伝されるということだ。高級品やブランド物を欲しがる消費者の欲望とは、ステータスや威力を示したいということに起因する」と、本研究に参加する、ミネソタ大学マーケティング学准教授のアリソン・ジン・シュー(Alison Jing Xu)氏は、メールを通じてInsiderに語った。さらに「安物を買っても、承認欲求は満たされない」とも語る。

簡単に言うと、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のようなインパクトのあるブランドを身に着けると、人はパワフルな気分になる。

しかし、崇高な芸術作品(例えば、モネやゴッホの絵など)を見ると、人は「自己超越」の境地を体験する。この高揚した精神状態というのは、「日常にありふれた通俗的なことに興味がなくなる。あるいは過剰な自意識が軽減される」状態だとジン・シュー氏は述べている。本研究の参加者の場合、作品を鑑賞した後では、高級品に執着する人が少なくなったという。

注意点があるとしたら、もしその芸術品が製品(例えばパッケージングなど)に織り込まれているのであれば、人に与える影響は、また違ってくるということだ。

「芸術品が商業的な製品の一部になれば、その目的は、本来の芸術鑑賞だけではなくなる」とジン・シュー氏は言う。「哲学者であり、美術評論家でもあるヴァルター・ベンヤミンの言葉を借りると、商業目的で複製されてしまえば、アートはオーラを失うことになる」

パッケージングされた芸術作品を見ている人が、高級品への執着を手放す心境になる可能性は低い。

この実験を自分自身の生活に取り入れることはできるのかと、ジン・シュー氏に尋ねたところ、「もし、SNSで美術館やギャラリーをフォローして、(純粋に楽しむという目的で)頻繁に芸術品へ触れることがあれば、自己超越の精神状態になることがより頻繁に起こる。そうなれば、ステータスを誇示するような物を買いたいという衝動が軽減されるかもしれない」と言う。

しかし本研究チームは、芸術品がセルフコントロール対策のために利用できるのかということについては、検証していないので、さらなる調査で結論を出す必要があると彼女は指摘している。

上記の研究は、特に人の役に立つ浪費癖をなくすための対策を導き出すために行われたものではない。芸術品を鑑賞したり、有意義なことについて考えてみると、以前ほど高価な物に執着しなくなるという普遍的な結論を導いた。物欲と戦っている人であれば、これは考えてみる価値のあることだ。自分自身の目的について考えを巡らしながら、芸術品に触れて楽しんでいる人にとっても、同じくこの考えを取り入れてみると、さらに良いことがあるかもしれない。

[原文:2 surprising tactics that may stop you from splurging on stuff you don't need

(翻訳・伊藤麻衣子、編集・長田真)

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