東京の新しい顔「HARUMI FLAG」。建築家が見た、都市住まいの可能性

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HARUMI FLAGには2018年10月のオフィシャルサイト開設以降、公式サイトなどを通じて6万件を超えるエントリーがあった(2022年7月時点)。

提供:HARUMI FLAG

東京の“どまんなか”に誕生する最先端の街「HARUMI FLAG」(東京都中央区晴海)。2022年7月の販売では408戸を供給し平均倍率は13.8倍を記録、これまでの供給戸数は2300戸を超え、分譲街区板状棟2690戸のうち8割以上の供給が進んでいる。

多くの人を魅了する人気の秘密は何か。今回は東京湾の海辺に隣接した街区「SEA VILLAGE」にスポットを当て、建築デサインを担当した建築家2人に、これからの都市の住まいについて話を聞いた。

HARUMI FLAGに感じたポテンシャルとは?

「広大なHARUMI FLAGの中でもSEA VILLAGEは水辺に面していて、風の通りがよく、光も入りやすい立地。人工的につくられた都心の街ですが、自然に近い環境を感じられるという特徴を最大限に活かしたいと考えました」(奥村氏)

SEA VILLAGEの建築デザインを担当したケミカルデザインの奥村俊慈氏は、建設前の予定地を初めて訪れた際の印象をこのように振り返る。

奥村氏

ケミカルデザインの奥村俊慈(おくむら・しゅんじ)氏。プラット・インスティチュート建築学部大学院、ハーバード大学デザイン学部大学院卒業。2007年よりケミカルデザイン一級建築事務所を立ち上げ。主な実績に、パナソニックセンター有明スタジオ、グリーン南平台ビル、諏訪東京理科大学など。

SEA VILLAGEは5棟からなる分譲街区で、全長は約450メートル。5棟すべてが東京湾に面しており、海との間には豊かな緑地が広がっている。建築デサインを担当したもう一人の建築家、光井純&アソシエーツ建築設計事務所の上光健介氏は、ロケーションの魅力をこう語る。

「SEA VILLAGEのバルコニー側には建物がないので、部屋から見える空が広い。

また、東京湾の対岸の街や行き交う車に船、飛行機からもよく見える立地です。住む方が眺望を楽しむと同時に、外から見た際の“顔”になるという意味でも稀有な場所ではないでしょうか」(上光氏)

時間とともに表情が変わる「波」を表現

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光井純&アソシエーツ建築設計事務所の上光健介(じょうこう・けんすけ)氏。2001年に光井純&アソシエーツ建築設計事務所に入社。プロジェクトディレクターとしてプロジェクトを主導。主な実績に、ヒルトン沖縄北谷リゾート、藻岩山ロープウェイ施設、パークシティ浜田山などがある。

HARUMI FLAG は、全体のデザインを統括したマスターアーキテクト、光井純氏(光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所 代表取締役)を中心に、全体で25人のデザイナーが共創した巨大プロジェクトだ。その中でSEA VILLAGEは奥村氏、上光氏の2人が合同でデザインを担当し、双方の強みを生かしたコラボレーションを実現した。

奥村氏は、海外作品も手掛ける国際的感覚にあふれた建築家だ。上光氏は景観要素など敷地のポテンシャルを引き出し、ホスピタリティーあふれるデザインに定評がある。

個性ある2人の息が合わないと統一感のない街区になりかねないが、それぞれが最初に持ち寄ったデザインモチーフは、奇しくも「波」で一致した。

「目の前に広がる海から直感的に感じ取ったモチーフです。エモーショナルでまるで動いているような抑揚感を出すには、“波”だと」(奥村氏)


「水のさわやかなイメージを全面に押し出して、青色一色に(外装を)塗る選択肢もあったのかもしれません。ただ、海に近づくと波の動きがわかるように、住む方が近くから建物を見上げると、風や光の当たり方で表情が変わっていくような住まいをつくりたいと思ったんです」 (上光氏)

ただ、ひとくちに波といっても、大きなうねりもあれば、小さなさざ波や、水しぶきがあがる激しい波もある。波が織りなす豊かな表情を、住む人に味わってもらいたい──。協議を重ねてさらに磨いていった結果、SEA VILLAGEのデザインコンセプトは「波の綾織(あやおり)」に決まった。

見どころは「他の棟とのデザインリレー」

緑道公園の写真

海から望むSEA VILLAGEと緑道公園。

提供:HARUMI FLAG

では「波の綾織」のコンセプトをどのように表現していったのか。

まず目を引くのが、5棟の上部をつなぐスカイラインだ。変化のあるダイナミックシンメトリーを形成しており、遠くから眺めるとまさに大きな波のうねりを感じさせる。

「2人で5棟のデザインを分担しましたが、1棟ずつ完結すると波らしくない。上部のスカイラインだけでなく、バルコニーの局面や色味を5棟全体で工夫して、デザインリレーを行うイメージでつくっていきました」(上光氏)

また、隣接する街区「PORT VILLAGE」とも「連帯感のあるデザインが実現できた」と上光氏が話すように、街全体との調和も意識して作られた。

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日本の伝統的な建築に見られる、シンメトリーな構図にくずしを入 れた「ダイナミックシンメトリー」を取り入れた。

提供:HARUMI FLAG

バルコニー側には緑道公園が広がり、海、緑、建物がゆるやかにつながっている。反対の沿道側はどうか。海には直接面していないが、実はここにも波が配されている。廊下側の手すりを横波、エレベーターの通り道や屋外階段を縦波に見立てたファサードは、まさに「波の綾織」である。

波の表情を楽しめるのは外観だけではない。曲面のバルコニーは奥行きに差が生まれるが、「広いところにテーブルを置いて、柔らかく包まれたスペースで食事をしてもおもしろい」(奥村氏)と、直線的なバルコニーとは違った住み方の可能性が広がる。

ちなみに隣のバルコニーとの隔て壁には、部屋に対して直角ではなく真南の方向に配置された「エアサンテイクフィン」が採用されている。波のデザインと親和性が高いだけでなく、海に対して開けているので、太陽光が住環境に差し込み、南南西の風が吹き込む利点もある。避難用の隔て壁はネガティブな存在として見られがちだが、光と風を誘導する積極的な存在へと進化させた点もユニークだ。

「日常の中の非日常」を味わってほしい

シービレッジの写真

提供:HARUMI FLAG

海と緑、そして光や風をうまく取り込んだSEA VILLAGE。都心でありながら自然を感じる環境で、どのような暮らしが実現できるのか。2人のデザイナーは最後に思いを語った。

「SEA VILLAGEは、屋外はもちろんのこと、住戸内でも風や光を体感できるようにデザインしました。日常生活の中で、自然とともに暮らす醍醐味をぜひ味わっていただきたいですね。

また、他の街区とも連携していて、それぞれにデザインの意義があります。HARUMI FLAGはウォーキングディスタンス(徒歩圏内)で日常と非日常を体験できる街。毎日の発見や自分らしい暮らしを楽しんでもらえたら嬉しいです」(奥村氏)


「近年、社会状況の変化で人々の働き方や暮らしに求めることが変わりました。おそらく今後もものすごいスピード感で社会は変容し続けるでしょう。

スケールが大きく、共用施設や交通インフラもつくられるHARUMI FLAGは、これまでにない柔軟な住み方を受け入れられる器を持っています。

これからも、時代に合わせて暮らし方などのソフト面を変化させながら、街として進化していくことを期待しています」(上光氏)

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HARUMI FLAGについて、詳しくはこちら。

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