2021年秋に従業員のみのソフトオープンしたFacebook Japan(Meta日本法人)のオフィスが、ついに公開された。
撮影:小林優多郎
「オフィスの価値は、人と人がオープンに会話して、そこから生まれるクリエイティブ(創造)やイノベーティブ(革新)にある」
9月9日、まだ新築の匂いのする新オフィスで、大手プラットフォーマーMetaの日本法人・Facebook Japan代表の味澤将宏氏は、コロナ禍のオフィスの価値をそう定義した。
日本の新オフィスの引っ越しは2021年内には終わっていたが、同社は日本を含めたグローバルで「原則テレワーク」が続いていた(現在はハイブリッド体制)。
同社は2021年秋に従業員向けにオフィスを開け、今回初めて報道機関向けにその内部を披露した形だ。
味澤氏が話す「創造」と「革新」はどのような環境で生まれるのか。同社が公開した「アフター/ウィズコロナのオフィス」を解説しよう。
厳しいセキュリティーチェックとコロナのワクチン接種の確認を経て、最初に飛び込んでくるのは「Kumo(雲)」のインスタレーション(芸術的な造形物)だ。
撮影:小林優多郎
このKumoは、1万8000本ものチューブでできており、窓の外の天気が良いとかなり“映える”絵が撮れる。デザインを担当したのは、Studio Swine。
撮影:小林優多郎
奥に進むとFacebookではお馴染み、来訪者が自由にメッセージを残せる「Facebook Wall」がある。日本広報いわく「(日本では)会社名を書く人が多い」。
撮影:小林優多郎
同じエリアには「Densha(電車)」という別のインスタレーションがある。Instagram風の赤っぽいグラデーションが印象的。窓はディスプレイになっているので時間経過で風景も少し変わる。
撮影:小林優多郎
椅子に座って雑談や撮影できるスポットだが、個人的には「吊り革」のリアルさが気になった。
撮影:小林優多郎
同じ階には日本オフィス初のカフェテリア「Bento(弁当)」がある。
撮影:小林優多郎
広々とした空間で他のエリアと同じく天井は配線などが剥き出しだが、電灯などは和紙と木をイメージした温かみのあるものになっている。
撮影:小林優多郎
Facebook Japanのオフィスは虎ノ門の高層ビル36階〜34階にある。カフェテリアは36階にあるため、窓際の席では霞ヶ関のビル群を見下ろせる。
撮影:小林優多郎
カフェテリアでは社員向けに朝食と昼食が無料で振る舞われている。ビュッフェ形式を想定した作りになっているが、現在は感染拡大防止策として弁当形式になっている。
撮影:小林優多郎
弁当を受け取る場所のライトが「醤油差し(魚たれびん)」になっているなど、ローカライズの芸が細かい。
撮影:小林優多郎
36階の最も印象的だった場所は、なんといってもこの屋外スペースだ。見学時はあいにくの天気だったが、開放的で食事やカンタンなミーティングが行えるようになっている。
撮影:小林優多郎
36階は比較的ゲストを意識したものが多かったが、35階〜34階は会議室や執務スペースが多く占めている。もちろんお菓子などが食べられる簡易キッチンもある。
撮影:小林優多郎
通路にはMetaの商品が並ぶ。VRヘッドマウントディスプレイ「Quest」シリーズはもちろん、日本未発売のスマートディスプレイ「Portal」もあった。
撮影:小林優多郎
どの国のMetaのオフィスにもあるという、社員証をかざせばITサプライが出てくる自動販売機。
撮影:小林優多郎
IT企業と言えど仕事には必要な文房具も自由にピックアップできる。
撮影:小林優多郎
社員が息抜きに使うのか、定番のビリヤードの他に、バンダイナムコのガンシューティングゲーム「タイムクライシス4」のアーケード筐体もあった。
撮影:小林優多郎
執務エリアはフリーアドレスで、なるべく敷居を低くするため、囲いを極力無くした形。写真内に味澤氏が普段仕事をする席もあるという。
撮影:小林優多郎
会議室は70室以上あるそうだが、1人用のWeb会議向けスペースもある。
撮影:小林優多郎
中には入れなかったが、授乳室もある。
撮影:小林優多郎
こちらはゆったりと集中できるスペース。これもどの国のMetaのオフィスにもあるという。
撮影:小林優多郎
オフィス内には独特な部屋も存在する。こちらはVRゴーグルQuestを使うための部屋。真ん中にソファがあり空間的に余裕のある配置になっている。
撮影:小林優多郎
こちらは動画を配信・収録するための部屋。いつでも動画で発信できるスペースというのも、パンデミックで必要性の上がったスペースだと言える。
撮影:小林優多郎
オフィスの価値は「バランス」が鍵を握る
オフィス内にはさまざまな場所に複数人で自由に使える机や椅子が置かれている。
撮影:小林優多郎
Metaに限らず、外資系大手プラットフォーマーのオフィスは派手なオブジェクトや娯楽道具、充実した飲食機能が豊富だった。
それはパンデミック後であっても、方向性としては大きく変わらないように見える。
当然、ゲストのワクチン接種の有無は必ず実施していることや、各所で手指の消毒や握手の禁止などの注意を促す看板があるなど、違いはある。
ただ、やはり「オフィスの快適さ」はオフィスに来る理由、価値に直結する。
Facebook Japan 代表の味澤将宏氏。
撮影:小林優多郎
味澤氏は、新オフィスを作るにあたって解決したい課題として「リモートの効率性とオフィスに人が来て働くことのベネフィットとバランス」をあげている。
だからこそ、新設のカフェテリアや交流が生まれるインスタレーションなど「複数人が交わる場所」に加えて、Web会議専用スペースや集中エリアなど「個人が使う場所」の両方に注力する必要があるのだろう。
味澤氏は今後のオフィスの展開として、Metaが総力を上げて推しているメタバース(VR/AR関連)技術が体験できる「Metaverse eXperience Center」を9月中に設置すると予告している。
オフィス内ということで、一般公開というより招待されたゲスト向けであることが予想されるが、それもまた現実世界にある「オフィスの価値」に寄与するものと言えそうだ。
(文、撮影・小林優多郎)