2021年に海軍基地を訪れた際の女王エリザベス2世。
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- エリザベス女王の葬儀が9月19日、ウェストミンスター寺院で行われた。
- 葬儀には、ロイヤルファミリーのほか、バイデン大統領など各国の要人が参列した。
- 1人の公爵がこの葬儀に関する任務を与えられていた。その準備期間は20年の長きにわたるものだった。
イギリス現代史で最も大きな行事のひとつが、2022年9月19日に行われた。女王エリザベス2世の国葬だ。
9月8日に住居であるスコットランドのバルモラル城で96歳の生涯を静かに終えた女王に敬意を表するため、ウェストミンスター寺院には約2000人の参列者が訪れた。その中には、チャールズ国王、ウィリアム王子、ヘンリー王子などのロイヤルファミリーのほか、アメリカのジョー・バイデン大統領やカナダのジャスティン・トルドー首相などの世界の要人500人がいた。
だが、70年間在位した女王を称えるこの儀式をスムーズに進行することは簡単な仕事ではない。ザ・タイムズによると、その準備はある男が20年かけて、無報酬で行ったという。
議会に関する歴史家であるダニエル・ブリテン(Daniel Brittain)が同紙で紹介したように、女王エリザベス2世の葬儀に関する計画の責任者は、2002年に爵位を継承した第18代ノーフォーク公爵、エドワード・フィッツアラン=ハワード(Edward Fitzalan-Howard)だ。
ブリテンとのインタビューで65歳のフィッツアラン=ハワードは、国葬の準備は「とても怖いもの」だが、乗り越えていこうと思っていると語っていた。
チャールズ3世の即位宣言式での第18代ノーフォーク公爵、エドワード・フィッツアラン=ハワード。
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フィッツアラン=ハワードは王室の式典を取り仕切る血筋を受け継いでいる。ブリテンによると1672年以来、王室の国葬や即位式を準備してきた一族の子孫だ。
彼は父が亡くなったとき、公爵と同時に式典等の計画を担う軍務伯も継承した。ガーディアンによると、これによって彼は議会の開会式や王室による国葬、新しい君主の即位式などを計画する責任者になった。
2002年に就任してから2022年4月までの間に、最初は20人だったチームが280人に増えたとフィッツアラン=ハワードはブリテンに語っている。
彼は、1952年に亡くなったエリザベス女王の父、国王ジョージ6世の国葬が参考になったと述べた。そして「だが、それは70年前のことだ。儀式は時代とともに変化する必要があると、いつも意識している」と付け加えた。
イギリスの王族の葬儀に関するこれまでの200年の伝統は変える必要があったという。わかりやすい変更点が葬儀会場だ。
ジョージ6世と2021年4月に亡くなったフィリップ殿下の葬儀とは異なり、女王エリザベス2世の葬儀は、より多くの参列者に対応するため、ウィンザー城ではなくウェストミンスター寺院で行われた。
そして、葬儀の準備のために費やした長い年月にも関わらず、フィッツアラン=ハワードに対する報酬は支払われていないという。
「私は軍務伯としての仕事に対して国に1ペニーも求めないと決めている」
[原文:The Queen's funeral took 20 years to plan — and the man behind it did it for free]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)