3000超のプランがあるシェアダイン。離乳食、生活習慣病、筋トレなどのカテゴリーも。
出典:シェアダイン HPから編集部が抜粋
9月21日、出張シェフサービスのシェアダインが資金調達を行ったと発表した。調達金額は、第三者割当増資で約5億4000万円。2020年6月の約2億2000万円の調達と合わせて、シリーズAでの調達金額は合計約7億6000万円となる。
今回の第三者割当増資は、日本政策投資銀行100%出資のVCであるDBJキャピタルをリード投資家として、Coral Capitalや三井住友海上キャピタル、オールアバウト、個人間通販サイトBUYMAを運営するエニグモらが引き受けた。
当初は6月中に着金するスケジュールで進めていたが、
「マーケット環境悪化の影響がアーリーステージのスタートアップにも出始めていて、想定より時間がかかりました。
私たちとしてはきちんとした金額を集めたかったので、粘って希望の金額を集めることにこだわりました」
そう語るのは、シェアダイン共同代表の井出有希さんだ。
シェフのキャリア支援強化へ
シェアダインの2022年7月までの登録シェフ数の推移(左)と共同代表の井出有希さん(右)。
提供:シェアダイン
シェダインはレストランのシェフや管理栄養士などの料理のプロとユーザーを結ぶマッチングプラットフォームを提供している。家事代行や出張料理サービスはレッドオーシャンのように見えるが、厳しい調達環境の中で一体何が投資家に評価されたのか。
「家事サービスではなく、シェフのキャリア支援プラットフォームという『人』を軸にした部分が評価されました。私たちが目指すのは『弁護士ドットコム』の料理人版です」(井出さん)
弁護士ドットコムといえば、言わずと知れた弁護士のキャリアマーケティングプラットフォームだ。
最近では美容師や自動車整備士とユーザーをつなぐマッチングプラットフォームもあり、専門的な人材に焦点を当てたプラットフォームが人気を集めている。
シェアダインに登録するシェフは現在2000人超。コロナ禍におけるレストランの閉鎖などを機に登録数が急増したが、コロナが落ち着いた今でも新規登録のペースは落ちていない。
「“店の味”に縛られず目の前の顧客に合わせた料理を提供したい」「店舗での過酷な労働より、自分で働くペースを選びたい」などのニーズが依然として強いからだ。
出張シェフで年収1000万円を目指す
シェアダインに登録する料理人たちのニーズ。サステナブルな働き方を模索する声が多い。
提供:シェアダイン
現在は副業としてシェアダインを利用するシェフも多いが、3割は本業だ。今後はシェダインだけで「稼げる」よう、新たに調達した資金でシェフのキャリア支援のサポートを強化する。
ユーザーに選んでもらうには料理の腕だけでなく、それを伝えるスキルが重要だ。シェアダインではシェフのマーケティング支援を行う専門チームを新たに編成。料理写真やプロフィール写真の撮影方法、また得意分野や単発ではなく定期の客を見つける方法をアドバイスする。
加えて過去の取り引きのデータをもとに、ユーザーのパーソナライゼーション機能を拡張。3000種類超のプランから、より自分にあったものがリコメンドされるようになるという。
「シェアダインを通じて、『年収1000万円を目指せるシェフ』などシェフの新たなロールモデル作りを行っていきます。他に競合がいない、独自のサービスを提供できると確信しています」(井出さん)
料理人のキャリアも個人の食のニーズも多様化する現在。シェアダインは両者をつなぐCtoCプラットフォームとして存在感を示せるか。
(文・竹下郁子)