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中国の経済減速による勝者はメキシコ? 敗者は?…バンカメが分析

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生の受けて、街角のステーションで検査する人々。2022年9月20日、北京で。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生の受けて、街角で検査する人々。2022年9月20日、北京で。

REUTERS/Thomas Peter

  • バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、中国の経済減速の影響は世界に広がっており、さまざまな形で勝者と敗者を生み出している。
  • 中国が弱体化すれば、ドル高によってアメリカのインフレ率の低下につながるが、サプライチェーンの問題が悪化する可能性もあるという。
  • 一方、ラテンアメリカの一部の輸出国は、中国の経済減速によって打撃を受けている。

中国の経済成長が減速し、その影響は世界経済にもさまざまな形で波及している。

2022年9月16日にバンク・オブ・アメリカ(BofA)が顧客向けに公開したノートによると、中国が逆風に立ち向かう中、アメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカは通貨や市場の動向への対応を調整している。

「(中国における経済減速の)短期的な要因としては、ゼロコロナ政策、不動産市場の根深い問題、脆弱な労働市場(特に若年労働者)などが挙げられる」とBofAのアナリストはノートに記している。

「また一方では、問題のある人口動態と、長年にわたる急速なインフラ開発に見合わない低い投資収益率が、成長に対する構造的な課題を突きつけている」

中国の経済減速がアメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカに与える影響を見てみよう。

アメリカ

中国の経済減速は、アメリカにとってプラス面とマイナス面がある。プラスの面では、連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げと、アメリカ経済が世界の経済を上回るという期待から、中国の人民元が過去1年の間に対ドルで約8%安くなっている。

ドル高が10%進むと、個人消費支出の増加率が約0.4%下がるという調査結果もあり、アメリカにおけるインフレ緩和にもつながるとBofAは述べている。

米ドルに対する中国人民元の変動

米ドルに対する中国人民元の変動

BofA Global Research

だがマイナス面として、中国での新型コロナ感染防止のためのロックダウンによってサプライチェーンが混乱し、それがアメリカ市場の負担になる可能性がある。中国からアメリカへの貨物量は2021年6月以来の最低水準に落ち込んでおり、さらなるサプライチェーンの問題となってアメリカにインフレ圧力をかける可能性があるとBofAは指摘している。

一方、中国の経済減速により、アメリカが地政学的なライバルから距離を置くことにつながる可能性もあり、BofAによると「アメリカでは超党派で中国との関係を断とうとする動きがある」という。

「いくつかの分野では具体的な措置が取られているが、貿易分野全体のデータからは今のところデカップリングの明確な兆候は見られない」

ヨーロッパ

中国は主に輸出需要と一次産品の価格を通じてヨーロッパに影響を与えている。BofAによると、中国でのロックダウンが緩和されれば、ヨーロッパにおけるサプライチェーンの停滞が緩和され、非エネルギー商品の価格に対する圧力が低下する可能性があるという。

しかし、中国はエネルギー危機の悪化により景気後退が予想されるため「リスクバランス予測に対する貢献度は通常よりもかなり低くなるだろう」とBofAは述べている。

「現在の状況では、ヨーロッパはすでに冬のガス不足による生産削減のリスクに直面しているため、中国の経済減速が(中央および東ヨーロッパの)GDPに与える影響は限られると思われる」

ラテンアメリカ

この地域は中国への依存度が高い。輸出総額に占める中国への輸出額の割合がチリでは40%、ブラジルとペルーでは約30%となっている。

ブラジル経済にとっても、中国の経済減速はプラスとマイナスの両面が混在していると、BofAは述べている。

「プラス面では、一次産品の価格下落により、今年のインフレ率はピーク時の約12%から年末には6.5%まで鈍化する見込みとなっている。マイナス面としては、ブラジルの財政状態や貿易収支に影響が出る。つまり、中国の経済減速がブラジルの輸出と成長にマイナスの影響を与えるということだ。ブラジルから中国への輸出額は、総輸出額のほぼ3分の1を占め、同国のGDPの約5%に相当するほどの規模になっている」

だがブラジルの対中輸出は2020年以来、急激に減少していることがデータに示されている。大豆、鉄鉱石、石油、牛肉などに対する中国の需要が低迷する中、輸出の多角化が必要になっている。

ラテンアメリカの対中貿易

ラテンアメリカの対中貿易

BofA Global Research

チリでは銅の輸出額がGDPの18%を占めているが、そのような金属に対する中国の需要が大幅に低下し、苦境を耐え忍ぶ状況に陥っている。

BofAによると「中国はチリの主要貿易相手国であり、チリの輸出の約40%を受け入れている」という。

「中国への純輸出はチリのGDPのほぼ2.5%を占め、この地域では(ペルーに次ぐ)最大のシェアとなっている」

一方、メキシコは中国が失速している間に、アメリカの製造業輸入における市場シェアを拡大し、利益を得ているようだとBofAは指摘している。

[原文:Here are the winners and losers of China's economic slowdown as it ripples though global markets

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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