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昭和のSLよ、甦れ。大井川鐵道がC56形の動態保存で1億円クラファン「消えてしまう前に整備技術の継承を」

C56形135号機の搬出準備。

C56形135号機の搬出準備。

提供:大井川鐵道

蒸気機関車の運行で知られる大井川鐵道(静岡県)が蒸気機関車(SL)の動態化保存・復活運転を目指し、9月20日からクラウドファンディングを開始する。解体される危機に陥っていた蒸気機関車を大井川鐵道が引き取り、2025年度の動態化・復活運転が目標だ。

クラウドファンディングの概要。

クラウドファンディングの概要。

提供:大井川鐵道

復活を目指す蒸気機関車は、太平洋戦争前の1938年に製造されたC56形135号機。九州や山陰地方などで活躍した後、1974年に鹿児島県の吉松機関区で廃車となった。

「C56-135」宮崎機関区(1972年2月24日)

「C56-135」宮崎機関区(1972年2月24日)

提供:RGG


C56形135号機をめぐる歴史。

C56形135号機をめぐる歴史。

提供:大井川鐵道

1975年からは播磨中央公園(兵庫県加東市)で展示されていたが、長年にわたり風雨にさらされたことで荒廃が進み、解体される予定だった。これを大井川鉄道が譲り受けたという。

動態保存を目指すC56形135号機。

動態保存を目指すC56形135号機。

提供:大井川鐵道

C56形135号機の搬出作業。

C56形135号機の搬出作業。

提供:大井川鐵道

C56形135号機搬入作業。

C56形135号機搬入作業。

提供:大井川鐵道

東海汽缶での作業の様子(現工場)

東海汽缶での作業の様子(現工場)

提供:大井川鐵道

ボイラー、足回りの修繕・整備など、全体で想定される概算費用は3億円。このうち、クラウドファンディングで1億円の寄付を目指す。

今回のプロジェクトに携わるクラウドファンディング大手のREADYFORによると「これまでの鉄道関連のクラウドファンディングの中では最高金額になる」としている。

いわゆる「All-in形式」のため目標金額に到達しなかった場合でも自己資金による補填などで動態保存のプロジェクトは実行されるという。

大井川鐵道によると、蒸気機関車をめぐっては全国各地で保有者の高齢化や自治体の財政難などを背景に放置や解体されてしまう車両が多いという。近代日本の鉄道文化の1ページである蒸気機関車の保存・歴史の伝承は全国的な課題だ。

昭和初期に製造されたSLは、ひとつひとつの部品に個体差があり、且つ、長年の走行による摩耗や経年劣化により動態化には繊細な調整が必要でした。大井川鐵道でのSL列車動態化への「技術」とは「手の感触」「勘」「過去の経験」といえます。勘や過去の経験が極小で正確かつ微細な数値を生み出しています。「伝承」とは「口承」であり「過去の記録を伝える」ことなのです。

過去に蒸気機関車と向き合った先人たちがどのような修理方法をとったのか。ベテランから若手への整備技術の伝承にも大井川鐵道では危機感を募らせている。

クラウドファンディング発表記者会見の様子。(2022年9月20日)

クラウドファンディング発表記者会見の様子。(2022年9月20日)

Business Insider Japan/ZOOM画面より

大井川鐵道の鈴木肇社長は9月20日の記者会見で「SLは新造できず、何もしなければ消えていってしまう」とし、昭和の鉄道文化を後世に伝えるためにもSL整備技術の継承も目指したいと語った。

提供:大井川鐵道

大井川鐵道は保存鉄道のパイオニアともされ、1949年の電化前から在籍する技術者と国鉄のSL整備経験者を雇い入れ、SLの動態保存の技術伝承に注力。2001年から2003年にかけても「C11形190号機」の動態化に取り組んだ。今回は20年ぶりの動態保存の取り組みとなる。

同社は2025年に創立100周年を迎える。

(文・吉川慧)

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