出典:マイクロソフト
マイクロソフトは本日9月21日より、Windows 11の無料最新アップデート「Windows 11 2022 Update」を提供開始した。Window 11ユーザーであれば、これまで通り無料で利用できる。
機能の詳細について、7つのポイントを解説していこう。
なお画像については、ベータ版にあたる「Windows Insider」版から利用しているほか、一部でマイクロソフト提供の画像を使っている。
1.「スタート」メニューがスマホライクに
新しいスタートメニュー。
出典:マイクロソフト
Windows 11では、「スタート」ボタンが画面中央になった。左端から移動したので使い慣れない、という人も多いが、そろそろ慣れた頃だろうか。
今回は、スタートメニューの「中身」が、よりカスタマイズ可能になった。すごく簡単に言えば、スマホの画面のように「アプリを整理しておいてすぐに起動する」用途を目指して改良された。
以前から、スタートメニューにはアプリを「ピンどめ」しておくことができたが、この領域を増やせるようになった。
逆に、アプリをあまり使わないが、過去に使ったファイルをすぐに呼び出したい場合には「おすすめ」として出てくるファイルの量を増やせる。
筆者キャプチャー
下の設定画面を見ると、「スタート」のカスタマイズ項目が追加になっていることがわかる。
筆者キャプチャー
2. フォルダー表示で「タブ」が利用可能に
フォルダー表示で、ブラウザと同じように「タブ」が使えるようになった。複数のフォルダーでファイルをやりとりするときには便利だ。
これまでは別のフォルダーにファイルをコピーする場合に、こんな風に2枚のExplorerを開いて操作していたケースが多かったが……。
筆者キャプチャー
新しいWindows 11ではこのとおり。フォルダー表示では「タブ」による切り替えが使えるようになった。
筆者キャプチャー
3. ウィンドウの整列が簡単に
従来はウィンドウを並べ替える際に、ウィンドウの数が増えると好きな場所に並べるのが多少面倒だった。
最新アップデートでは、画面上部にウィンドウを「ぶつける」ように操作すると、ウィンドウの位置を移動する「スナップ」設定画面が現れる。
ウィンドウを配置したい場所にドラッグ&ドロップすれば整列する。同じことはタッチ操作でも可能なので、タブレットではより使いやすくなるはずだ。
スナップでのウィンドウ整列がやりやすくなった。
筆者キャプチャー
4. ゲーム向けに機能が強化
今、国内でも据え置き機ではなく、PCでゲームをする人が増えている。そんなゲーミング用途向けの機能強化もある。
特に重要なのは、画面の書き換え回数を可変にして、映像体験を良くする「可変リフレッシュレート(VRR)」と「自動HDR」への対応だ。これらの設定をオンにすると、対応ゲームではフレームレートの安定とHDR表示が実現され、ゲームのプレイ品質が上がる(ただし、対応するディスプレイが必要)。
「可変リフレッシュレート(VRR)」と「自動HDR」に対応するようになった。
筆者キャプチャー
また、OS純正のゲーム向け機能を集めた「ゲームバー」も改良された。コンパクト化し、PCに接続したコントローラーからも操作しやすくなっている。
ゲームバーはコントローラーで操作しやすくなった。
筆者キャプチャー
5. ビデオ会議向けの背景ぼかしなどをOSに内蔵
マイクロソフトは従来から、自社のコミュニケーションツール「Microsoft Teams」で、ビデオの「背景ぼかし」や音声からの「ノイズ消去」などの機能を搭載してきた。それらの機能が、Windows 11上に搭載され、「Teams以外のソフト」からも使えるようになる。
これを同社は「Windows Studio Effects」と呼んでいる。
背景ぼかしや音声ノイズ除去に対応する「Windows Studio Effects」。
出典:マイクロソフト
使えるようになる機能は主に4つある。
- 1つ目は「背景ぼかし」
- 2つ目は音声からのノイズ消去を含む「声へのフォーカス」
- 3つ目は、ズレた目線を自動的にカメラ目線に変える「アイコンタクト」
- 4つ目が、自分がいる場所に合わせてフレームを変える「自動フレーミング」
ノートPCのカメラでオンライン会議をしていると左上のように目線が下になるケースが多い。「アイコンタクト」機能では、画像処理によって右下のように目線が合っているかのような加工をしてくれる。
出典:マイクロソフト提供の素材を編集部で加工
ただしこれらの機能は、使っているPCのCPUに「NPU」と呼ばれる機構が搭載されている必要があり、全てのPCで使えるわけではない。NPUとは機械学習処理を高速化するもので、第10世代(2020年発売)以降のインテルCore iシリーズなどが搭載している。比較的最近のPCなら使える、という程度に考えておくと良さそうだ。
6. アプリのセキュリティ強化。ただし条件あり
マルウェアの特徴的な挙動を把握して動作を止める「スマートアプリコントロール」。
出典:マイクロソフト
マイクロソフトによると、Windows 11上で動くマルウェアには特徴があるという。そこでAIの力を使って未知のマルウェアの挙動を把握してブロックする「スマートアプリコントロール」という機能も導入する。
ただしこの機能は「新しくインストールされたWindows」でのみ有効で、アップグレードでは動作しない。Windowsを再インストールするか、「アップグレード版がインストールされた新しいPC」を購入したときのみ動作する。
アップグレードだけでは動作せず、クリーンインストールが必要だ。
筆者キャプチャー
画面は英語版だが、正しく動作できる場合、設定を「オフ」から変更可能できる。
出典:マイクロソフト
7. 音声でのPC操作、音声自動書き出しに対応。(ただし現状英語のみ)
体の不自由なユーザー向けのアクセシビリティ対策として、PC上で再生されるすべての音声に「自動書き起こし(ライブキャプション)」をつける機能が搭載される。
Windows上で再生されるすべての音声を書き起こす「ライブキャプション」機能。ただし現状、英語のみの対応。
出典:マイクロソフト
また、アプリの起動やウィンドウを閉じる操作など、Windows PCの操作そのものを音声で操る機能も追加された。
ただし現状、これらの機能は英語のみで使える。今後の対応予定は公開されていないが、過去の状況を考えると、時間をおいたのちに日本語にも対応する可能性はある。
(文・西田宗千佳)