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- 高騰する光熱費のため、イタリア人はコンロの火を消してパスタを茹でるようになっているという。
- パスタは火を止めて茹でると、「とてもまずくなり」、茹ですぎの食感になると話すシェフもいる。
- ヨーロッパは現在、ロシアが大陸へのガス供給を停止しているため、エネルギー危機に直面している。
イタリアでは、高価な光熱費を抑えるために、彼らの大好きなパスタをコンロの火を消して茹で、ガスの使用量を抑えている人もいるという。
通常、パスタと水の入った鍋は、一定の高温に保つために火にかけられているものだ。
イタリアのノーベル物理学賞受賞者、ジョルジョ・パリージ(Giorgio Parisi)は最近フェイスブック(Facebook)に、「鍋の湯が沸騰したら、弱火でパスタを茹でられる」と投稿した。パリージによると、コツは常に鍋にフタをしておくことで、この方法だと少ないガスの消費量でパスタを茹でることができるという。
パリージはさらに、ファイナンシャル・タイムズ(Financial Times)で著名な建築家として紹介されたアレッサンドロ・ブシーリ・ヴィチ(Alessandro Busiri Vici)の投稿を再びシェアし、お湯が沸騰した後には、完全にコンロのスイッチを切ってもいいと述べた。そのコツはパスタは鍋にフタをした状態で茹で、茹で上がりまで1分ほど余計にそのままにしておくことだそうだ。ブシーリ・ヴィチによると、この方法で少なくとも8分間はガスを節約できるという。
食品関連団体のイタリアンフード・ユニオン(Unione Italiane Food)でも、調理中に火を止める「パッシブ・クッキング(passive cooking)」を提案しており、この方法で調理することで、最大47%のエネルギーと二酸化炭素の排出を削減できるとしている。また、湯を沸騰させる際に、鍋にフタをすることや適切な量の水を使うことでも違いが出てくるという。
しかし、イタリアのシェフたちの中には、このアドバイスに納得しない人もいた。
ローマにあるイタリアンレストランのシェフ、ワスフィ・メシーハ(Wasfi Mesieha)は、「火を消してもパスタは茹で続けられるが、『本当にひどい茹で上がり』になってしまう」とユーロニュース(Euronews)の番組で語っている。
シェフのヴィンチェンツォ・フェオーラ(Vincenzo Feola)は、コンロの火をつけずにパスタを茹でると、適度な硬さにならず、粘り気が出てしまい、茹ですぎた時の食感になるとドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)に話している。
ウクライナ紛争による西側の制裁に対抗してロシアがヨーロッパへガスの供給を停止したため、ヨーロッパ諸国はエネルギー危機に直面しており、燃料コストの上昇が起こっている。そのため、ヨーロッパ各国の政府や一部の企業は、冬を控えてエネルギーの消費を抑えようとさまざまな対策を講じている。
ブルームバーグ(Bloomberg)が報じたところによると、イギリス人は光熱費高騰に対抗するため2万9000ドル(約416万円)の年代物のストーブを処分しており、一方ドイツのパン屋では、高騰する請求額に抗議して照明を消しているという。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)
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