写真左からITジャーナリストの石野純也さん、Business Insider Japan編集長の伊藤有。
撮影:小林優多郎
“変化の兆し”を捉えて動き出している人や企業にスポットを当てるオンライン番組「BEYOND」。
第15回は、ITジャーナリスト石野純也さんが登場し、9月16日に発売された「iPhone 14」「iPhone 14 Pro/14 Pro Max」の実機に触れつつ、その特長や進化点を語った。
聞き手は編集長の伊藤有が担当。9月15日(木)に放映した番組の抄録を、一部編集して掲載する。
当日の配信はYouTubeでご確認いただけます。
撮影:Business Insider Japan
──「iPhone 14/14 Pro」シリーズの進化ポイントで、個人的に分かりやすかったのは「アクションモード」でした。石野さんはどう考えますか?
石野純也さん(以下、石野):アクションモードもですが、シネマティックモードで「4K/24Hz撮影」が可能になったことも大きいです。
他には「Pro」シリーズのみですが、背面カメラの機能向上や常時表示ディスプレイ、Dynamic Islandの導入も大きな進化だったと思います。
「iPhone 14 Pro」シリーズ、「iPhone 14」シリーズの進化ポイントを語る石野純也さん。
画像:番組よりキャプチャ
── アクションモードを実際に触ってみてどうでしたか?
石野:手ブレ補正がしっかりと効いていますね。実用的だと思います。
アップルが発表時に「ジンバルいらず」と言ったことに半信半疑でしたが、実際に使ってみるとガタガタ感がなく、まさにブレなくスーッと撮影している感じですね。
── シネマティックモードはいかがでしょうか。
石野:iPhone 13のときは人が多くいると自分の考えていた場所にうまくフォーカスされず、実用的ではないこともありました。
今回はそういったこともなく、機能としてアリだと思います。
暗い場所で効果大のカメラと「常時点灯ディスプレイ」
── Proシリーズのカメラについて。iPhone13 Proと比較するとサイズも1〜2mm程度大きくなりましたよね。
石野:メインカメラが4800万画素になったため、それに見合うレンズをつけるとセンサーも大きくなった形です。
その分、一回り大きくなった感じがしますね。
レンズの大きさ比較。「14 Pro」(左)と「13 Pro」(右)。
画像:番組よりキャプチャ
── 4800万画素で実際に撮って、これまでとの違いを感じられましたか?
石野:暗い場所で人の肌を撮ると差が顕著です。
グラデーションがうまく表現できず、塗り絵のようになりがちですが、今回は階調が豊かになり、変化を感じました。
クアッドピクセルセンサーによって、光を多く取り込めるようになっているので、明るい場所よりも暗い場所で撮ると、特に効果を感じられると思います。
── 常時点灯ディスプレイの使用感はいかがでしょう。
石野:思ったほど画面が暗くならず、最初は違和感があるかもしれません。
常時点灯ディスプレイの明るさを実機で確認。
画像:番組よりキャプチャ
── メリットは何でしょうか。
石野:画面を確認するために、わざわざiPhoneをオン/オフする必要がないところです。
ウィジェットを常時表示できるので、当然「置き時計」風にも使えますし、「ライブアクティビティ」の機能も見られます。
例えば、「Uber Eats」の配達状況をiPhoneに触らず確認ができたりします。
── 通知の確認でダブルタップをしなくていいことも良さそうですね。
石野:そうですね。常時点灯ディスプレイは視線移動だけで完結するので、便利な機能だと思います。
UIにうまく取り込まれた「Dynamic Island」
── Dynamic Island(ダナミックアイランド)は、おもしろいと感じました。「パンチホール」(画面上に空いたカメラ用の穴)をうまく活用してUIに取り込んだというか。
石野:発表会現地でもグニョっと伸びるとUI(ユーザーインターフェイス)で笑いをとりつつも、意外と便利じゃんと思わせてきました。
ソフトウェアとハードウェアを一体でつくっているアップルならではの強みだと思いましたね。
── 機能としての使いやすさはどうですか?
石野:通話中や再生中の音楽の状態などをより細かく確認できるようになりましたね。Dynamic Islandをタップすれば、更に情報も出てきますし。
他にも、例えばマップと音楽を同時に起動したときに、それぞれがバックグラウンドで動いていることも可視化されるので、分かりやすくなったと思います。
Dynamic Islandでの表示。マップ(左)、音楽(右)を同時に確認できる。
画像:番組よりキャプチャ
ダイナミックアイランドの動作例。
撮影:西田宗千佳、編集:Business Insider Japan
── わざわざパンチホールに変更した意味があったのか疑問に思う部分もあります。Face IDも今回小さくなっているので、ノッチをその分小さくすれば、少なくとも画面を阻害する面積を今より抑えられたように思います。
石野:確かに、写真表示をしたときなどパンチホールに掛かる部分もあります。
ですが、画面いっぱいまで表示されるので、画面を阻害する面積は結果的にこれまでより少なくなっていると思います。
センサーとインカメラの間を切り離したほうが良かったということはあったかもしれませんが。
画像を表示したときの様子。
画像:番組よりキャプチャ
── Dynamic Islandは石野さん的に「アリ」でしょうか。
石野:アリです。これを試したいがためだけにProにしましたから(笑)。
3〜4年の買い替えサイクルに合わせた製品設計か
──「iPhone 14」シリーズは、(13との差分が少なくて)メディア界隈ではレビューが難しいとも聞きますが、正直どうでしょうか。
石野:進化点はあるものの、iPhone 13のシリーズからあまり変わっていません。私も最初に注目したのは色でした(笑)。
── ベンチマークソフトで性能を測ってやっと違いが分かるものもありましたね。
石野:そうですね。更にiPhone 13が併売されるので、iPhone 13を買ってしまう人も出てきそうですね。
── どの世代からなら、「iPhone 14」シリーズに買い替えやすいと考えますか?
石野:やはり、iPhone 13からでは代わり映えがしないため、iPhone 12以前だと思います。
iPhone 11からだとディスプレイが有機ELになり、ノッチも小さく、カメラのスペックも良くなっているため、新しい端末を買った感が出ます。iPhone 12からでもカメラの仕上がりが全然違いますね。
1年で買い替えている方には向かず、3〜4年と平均的な買い替えサイクルに乗っている方には悪くないと思います。
── 端末を買い換えるサイクルが伸びていますよね。その周期に合わせてアップルも製品設計の戦略を変えたと思いました。
石野:そうですね。一方で、サイクルばかり重視すると革新性がないと指摘されるからか、Proで大きく変えてくる部分もあると考えます。
10月に「iPhone 14 Plus」が出るため、こちらを含めると「iPhone 14」シリーズの価値も上がると思います。
── それはなぜでしょうか。
石野:「14 Pro Max」と同規模のサイズですが「14 Plus」の方が30g程度軽くなります。
大きい画面サイズを求めているが、「14 Pro Max」のように重くて気になるという方には「14 Plus」が向いていると思います。
石野さんびオススメは「iPhone 14 Pro」
── 今回の新製品から1台選ぶとしたら、どれにしますか?
石野:「iPhone 14 Pro」ですね。Dynamic Islandをはじめとした機能やMaxと比べたときの軽さもあります。
iPhoneのUIは「手に収まるもの向き」というイメージがあり、MaxではなくノーマルなProを選びます。
後は、色も好きです。iPhone 13からだいぶ良くなりましたね。
── 石野さん、iPhone 13の色には辛口だったのですよね。
iPhone 13(奥)とiPhone 14(手前)の色を比較。
画像:番組よりキャプチャ
石野:そうですね(笑)。映像で見ると鮮やかだったのですが、実際に見ると暗く感じてしまいました。今回はそういったこともなかったです。
2022年9月21日(水)19時からは、リクルートの人事統括室で室長を務める蝦名秀俊さんをゲストに迎え「『週休3日』1年間やってみた」をお送りします。
「BEYOND」とは
毎週水曜日19時から配信予定。ビジネス、テクノロジー、SDGs、働き方……それぞれのテーマで、既成概念にとらわれず新しい未来を作ろうとチャレンジする人にBusiness Insider Japanの記者/編集者がインタビュー。記者との対話を通して、チャレンジの原点、現在の取り組みやつくりたい未来を深堀りします。
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