テスラ モデルY
Tim Levin/Insider
- テスラの先進運転支援システム「オートパイロット」を、テスラのSUV「モデルY」で試してみた。
- オートパイロットをオンにすると、道路のカーブに合わせて自動的にハンドルを切り、交通の流れに乗って走る。
- 退屈な高速道路の長距離ドライブでは、ありがたいツールになりそうだ。
イーロン・マスク(Elon Musk)が常に言っていることだが、テスラ(Elon Musk)は自動車メーカーであると同時にソフトウェア会社でもある。
あなたが肯定するかどうかは別として、テスラで最も話題を集め、最も議論を呼んだ技術が「オートパイロット(Autopilot)」であることは間違いないだろう。
テスラのオーナーの多くは、この半自動運転機能に信頼を寄せている。同時に、連邦政府はオートパイロット機能の付いた車が駐車中の緊急車両と衝突した事故の調査を行っている。安全装置の専門家の中には、「オートパイロット」という名称は、自動運転ではないにも関わらず、この機能に対して過度の信頼を招いてしまうと主張する者もいる。
言うまでもないが、筆者はテスラのモデルY(Tesla Model Y)を試乗した時、ぜひオートパイロットを実際に試してみたいと思った。
「オートパイロット」は自動運転なのか
テスラのモデルY。
Tim Levin/Insider
2014年に初めて発表されたオートパイロットは、複数のカメラを利用して周囲の交通状況を「見て」、運転の一部を担う先進的な運転支援システムである。基本的には、オートパイロットはクルーズコントロールの高性能バージョンで、先行車に合わせて速度を調整し、道路のカーブに沿ってハンドルを自動操作する。
イーロン・マスクは、何年も前から自動運転のテスラはすぐそこまで来ていると約束しているが、いまだに実現していない。オートパイロットは、他社の同様の機能と同じく、広く受け入れられている自動運転の5段階のレベルのうち、「レベル2」に位置付けられていて、人間による完全な監視が必要だ。ちなみに「レベル5」の自動車は、自動車が100%運転を行い、その間、乗っている人は昼寝ができる。
オートパイロットは、すべてのテスラ車に標準装備されている。これは同社の高価なオプションである「強化版オートパイロット(Enhanced Autopilot」」や「フル・セルフドライビング(Full Self-Driving)」とは異なるもので、いくつかの機能が搭載されているものの、まだ完全な自動運転を提供するものではない。
「オートパイロット」の使い勝手は
テスラのモデルY。
Tim Levin/Insider
中央分離帯のある高速道路と2車線の道路を数時間にわたって走行したところ、オートパイロットは印象的な走りを見せてくれた。なお、このテスト走行は理想的な天候条件下で日中に実施した。
ハンドルの右側にあるレバーを2回連続してカチカチと押すと、ほぼ毎回オートパイロットは瞬時に起動した。筆者が試した他のシステムでは数秒かかるものもあった。ちなみにブレーキをかけたり、レバーを上にあげればこのシステムは解除される。
オートパイロットでの運転中は揺れを感じることもなく、車は車線の中心を確実に走行した。道路のカーブにはうまく対応していたが、快適とは言えないほど速く走ったことも何度かあった。そんな時はハンドル右側にあるスクロールホイールを使えば、簡単に最高速度を設定できる。また、他の車が前に割り込んだことが数回あったが、オートパイロットはこれにもうまく対応した。
テスラのモデルY。
Tim Levin/Insider
大きなタッチスクリーンには、他の車や道路脇に置かれたコーンなどを視覚化する機能が搭載されている。オートパイロットをオンにすると、ディスプレイにハンドルのアイコンが青色で表示され、車線も青色になる。だが、ドライバーの目の前にディスプレイがあればもっとよかったと思う。目の前にあれば、設定速度や前の車を検知しているかどうかなど、オートパイロットの状態を道路から目を離さずに確認することができるからだ。
テスラのオーナーたちは、オートパイロットをオンにしている時、ハンドルから手を離さないように車からうるさく言われることによく苦情を言っているようだが、ハンドルを少し握っていれば車は運転していることを認識してくれるので、それほど問題だとは思わなかった。
「オートパイロット」への評価
テスラのモデルY。
Tim Levin/Insider
オートパイロットは高速道路での運転を見事にこなし、単調な長時間ドライブで大きな力を発揮するだろう。ちなみに、筆者はテスラ車のオーナーが報告している認識のエラーによる「ファントム・ブレーキ(原因不明の急ブレーキ)」は体験しないで済んだ。
それでも、このシステムの限界を理解することが重要だ。オートパイロットは技術的には車線のある道路ならどこでも作動するが、常にその使用が推奨されるわけではない。例えば、信号機のある道路では動作するものの、信号機には反応しない。高速道路以外の道でもオートパイロットを少し使ってみたが、予測不可能な環境で車を完全にコントロールできないことに不安を感じた。
フォード(Ford)とゼネラルモーターズ(General Motors)は、この機能を承認された高速道路に制限することで、自社のシステムが最適な状況下だけで使用できるようにしている。
いつかはテスラ車で本当に自動運転ができるようになるかもしれない(イーロン・マスクの言葉を信じるなら、2022年中に)。だが、そのような未来はまだまだ先になるだろう。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)