無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


投資家なら無視できない、「ヘルスケア」セクターの魅力とリスク。比類なき分散効果をもたらす巨大市場

5ff390946056b60018721de2

医療分野は、バイオテクノロジー企業や製薬企業から保険企業や薬局まで、非常に多様化している。

Hinterhaus Productions/Getty Images

  • 市場規模が大きく多様性に富むヘルスケア産業は、分散型のポートフォリオを構築しようとする、ほぼすべての投資家に適している。
  • ヘルスケア関連銘柄は、製薬、バイオテクノロジー、医療用品、販売、医療保険、医療施設という6つのカテゴリーに分類される。
  • ヘルスケア産業は今後の成長が期待され、景気に左右されづらい一方、投資には特有のリスクもある。

ヘルスケア産業への投資は魅力的だ。結局のところ、誰もが人生のどこかで医療を必要とする。どんな人でも何かしらの医療サービスを利用している。「自分が知っているものに投資せよ」という格言に従うなら、製薬企業から保険企業までを幅広く含むヘルスケア関連株は確かにそこに当てはまる。

経済面から見ても条件はいい。何年も前から医療費の増加はインフレ率をはるかに上回っている。現在アメリカのGDPの5分の1近くを占める国民医療費は、2028年までに6兆2000億ドル(約836兆円)に達すると予測されている。

この10年、多くのヘルスケア関連企業が収益と株価を着実に成長させてきた。また、多くの経済学者やアナリストは今後も成長が続くと予測する。

ヘルスケア関連株に投資すべき理由

むしろ、ヘルスケア株に投資しない理由はあるのか、と問うべきかもしれない。実際、投資するうえでヘルスケア産業を避けるほうが難しいのだ。以下にその理由を挙げる。

  • ヘルスケアはスタンダード・アンド・プアーズ500種指数(S&P500)の中で2番目に大きなセクター(産業のグループ)である
  • ヘルスケア株はナスダック総合指数の10%以上を占めている
  • ダウ平均を構成する30銘柄のうち5つがヘルスケア関連企業である

分散投資をするなら、ヘルスケア関連株をまったく含まないポートフォリオを組むことは難しいかもしれない。

しかし、普遍性だけが投資すべき理由ではない。ロボット製造企業から保険企業まで、100年以上の歴史を持つ製薬企業から完成したばかりの大麻農園までと、多種多様な銘柄を含むこともヘルスケアセクターを重要な投資先にしている。このセクターには、成長株、バリュー株、不景気に強いディフェンシブ株、伸びしろのある小型株、より安全な大型株がすべて含まれるので、ヘルスケア銘柄だけでもポートフォリオをかなり分散化できる。

ヘルスケア分野への投資法についてはのちほど説明する。その前にまず、ヘルスケア産業がいかに構成され、どの業種の企業が含まれ、それら業種にどういった特徴があるのかを詳しく見てみよう。

投資対象としてのヘルスケア関連銘柄の種類

ヘルスケアセクターに投資すると言っても、実際には幅広い業種が対象に入る。製造業や生産業もあれば、サービス業もあるのだ。

ヘルスケアセクターの各構成要素はそれぞれが小セクターとして機能しているとも言え、消費者層、政府による規制、コストの償還方式、科学技術の革新などによってボラティリティの程度やパフォーマンスは異なってくる。

ヘルスケアセクターは一般に6つのサブセクターに分けられるとされ、各々が異なる特徴を持つ。

スクリーンショット2022-09-2322.33.00

ヘルスケアセクターを構成する6業種。

Shayanne Gal/Business Insider

製薬

「ビッグ・ファーマ」とも呼ばれる大手製薬企業は、処方薬および市販の医薬品を製造・販売し、それらの継続的な売上から安定した収益を得ている。新薬の研究開発にも取り組み、承認されることを最終目標に臨床試験を行っている。こうした努力の結果、コレステロール低下剤や糖尿病の治療薬など、何年にもわたって収益源となる「大ヒット」薬品が生まれることもある。

しかし、特許期間が終了してジェネリック医薬品との競争が売上に影響したり、より優れた薬物療法が新たに承認されて既存のブランドよりも優位に立つと、製薬会社の運命は衰退する。

大手製薬会社の例としては、ノバルティスAG(Novartis AG)、グラクソ・スミスクラインPLC(GlaxoSmithKline PLC)、バイオンテック(BioNTech)と共同で新型コロナウイルスワクチンを開発したファイザー(Pfizer)などがある。

ジェネリック医薬品メーカーも製薬サブセクターの重要な構成員だ。これらの会社は、先発医薬品の特許が切れた後に、より安価な類似の医薬品を製造する。保険会社や政府は安価なジェネリック医薬品の使用を奨励するので、メーカーは低価格の代替医薬品に対する需要増加から恩恵を受けられる。

一方、ジェネリック医薬品は低価格であるゆえメーカーが得る利益率は低くなる。さらに、多くのメーカーが処方の不備や品質基準をめぐって批判を浴びてきた。

バイオテクノロジー

バイオテクノロジー企業も新しい薬や治療法を生み出すために研究開発を行う。ただし、1つや2つの「画期的な」製品や治療法の開発に焦点を絞っていることが多い。

バイオテック企業は製薬サブセクターに分類されることもあるが、株価の動きは大手製薬企業と同じとは限らない。大手製薬株は安定したリターンや配当をもたらすことが多いのに対し、バイオテック企業はどちらかと言えば不安定な成長株に近い。バイオテック企業は開発パイプラインが集中していることと、有望な新製品が米国食品医薬品局(FDA)の承認を得るまでに何年もかかる場合もあることから、投資家に利益が出るまでにも長くかかる可能性はある。

バイオテック企業には、規模の小さなスタートアップも、アムジェン(Amgen)やバイオジェン(Biogen)のような大手医薬品メーカーも含まれる。バイオンテック(BioNTech)はコロナウイルスワクチン開発におけるファイザーのパートナーとして名を上げたバイオテック企業だ。

医療用品

医療品メーカーには、包帯や手袋などの一般的な製品を作る企業から、MRI装置や手術ロボットなどの高価なハイテク機器を製造する企業までが幅広く含まれる。

医療関連消費の拡大が続く今、適切な製品カテゴリーを見極めれば医療品関連株は長期的な伸びを期待できる。医療品株を検討する場合には、製品の革新性、特許、政府の承認と償還、市場の需要などを考慮する必要がある。

大手の医療用品メーカーとしては、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)やメドトロニックPLC(Medtronic PLC)などがある。

販売・流通

この分野には、薬局およびヘルスケア製品の小売業者と卸売業者が含まれる。この業種は一般的な小売の動向に左右されることに加え、医療・健康関連商品に対する消費者の需要や、ヘルスケア産業に関わる規制からも影響を受ける。

ヘルスケア製品と医薬品の生産量および使用量の増加に伴い、近年はその流通網が著しい成長を見せており、マケッソン(McKesson)やアメリソースバーゲン(AmerisourceBergen)が率いるヘルスケア関連の流通は成長産業と言える。

マネージドヘルスケア(医療保険)

マネージドヘルスケア企業とは、つまり医療保険会社のことである。この分野には、雇用者支援保険、民間保険、医療費負担適正化法 (Affordable Care Act)の 取引所、メディケアやメディケイド(低所得者向け医療保険制度)といった社会化プログラムなど、医療保険を提供するあらゆる企業が含まれる。

医療保険は人々の生活に欠かせないものであることから、マネージドケア株のリターンは安定しやすい。また、アメリカにおいては、この分野が5つの大企業によって支配されていることもプラスに働いている。以下の5社は「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる。

  • ユナイテッドヘルス・グループ(UnitedHealth Group Inc.)
  • アンセム(Anthem Inc.)
  • エトナ(Aetna Inc.)
  • ヒューマナ(Humana Inc.)
  • シグナ(Cigna Corp.)

バイオテクノロジーなど他のヘルスケアセクターの企業とは異なり、これらビッグ・ファイブが業界を揺るがす新参者などとの競争にさらされることは多くない。しかし、保険会社の利益は消費者の需要および政府の動きの両方から影響を受けるものだ。新しい法律が成立したり、法律の変更が見込まれたりすると、市場は「それが保険会社にとって何を意味するのか」を見極めようとするので、株価に波紋を広げることも多い。

医療施設

医療施設関連企業は、病院、診療所、研究所、個人医院、精神科施設、介護ホームなどを運営している。大手では、病院を運営するHCAヘルスケア(HCA Healthcare)や、ラボラトリー・コーポレーション・オブ・アメリカ(Laboratory Corp. of America)などがある。

人口統計の面では有利なこのサブセクターだが、過去にはビジネスモデルをうまく機能させられず、収益性に問題があった。また、不動産市場の動向にもいくらか左右される。

新型コロナの影響で消費者が普段のような通院をしなくなり、病院がパンデミックの対応に奮闘した2020年、この業種はとりわけ大きな打撃を受けた。

ヘルスケア銘柄の長所と短所

ヘルスケア銘柄に投資する最大のメリットとは何か? それは、経済全体よりも速いスピードで拡大している産業の成長に便乗できることだ。

メモ:アメリカは世界のどの国よりも医療支出が多く、経済全体に占める割合は2028年までに19.7%に増えると予測されている

ヘルスケア関連株は一般的にディフェンシブ株という投資カテゴリーに属する。つまり、株式市場や経済の状態に関わらず安定したリターンを提供するということだ。しかし当然ながら、他の企業より優れたパフォーマンスを見せる企業もある。ヘルスケア産業に投資する際には、成長を促進する以下のような基本原理をうまく利用できる態勢が整っている企業を探そう。

  • 人口の高齢化
  • 肥満や糖尿病などの慢性的な疾患および症状に対する治療の進歩
  • 遠隔医療や遠隔患者モニタリングなどの技術進歩

ヘルスケア銘柄の弱点

ヘルスケア銘柄は安定していると言われるが、もちろんリスクは存在する。そのリスクは投資において一般的なものもあれば、産業特有のものもある。

  • 規制:製薬やマネージド・ケアなどのサブセクターは政府の厳しい規制下にある。そのため、FDAの基準、メディケアやメディケイドなどのプログラムにおける規則の追加および変更、医療費管理などのすべてが株価に影響を与えうる。
  • 政治的要因:世論の影響をまったく受けない業界はないが、ヘルスケアは特に争点になりやすい分野だ。費用削減を求める消費者のニーズ、国民皆保険制度や医療制度改革について絶えず繰り広げられている議論などはすべて、ヘルスケア企業の利益と株価の見通しに影響を与える力を持ち、実際に与えている。
  • 経済的要因:業界全体としては高い成長可能性を持つが、多くの組織や施設は激しい競争下にあり、事業統合が増えている。統合が続くと、価格が低下して企業の利益も減少しかねない。

ヘルスケア産業への投資方法

ヘルスケア銘柄への投資を始める手段はいくつかある。

個別銘柄

米国企業だけでなく、バイエルAG(Bayer AG)のような国際的な企業も含めあらゆる種類のグローバルなヘルスケア銘柄が取引所に上場している。まずはどのサブセクターが自分の投資ポートフォリオに最も適しているかを判断し、その中から、株価の値上がり益や配当収入など自分の投資目標達成に最も貢献してくれそうな企業を選ぼう。

投資信託とETF

ヘルスケアセクターの投資信託やETFはいくつもあり、その多くはインデックスファンドである。S&P 500ヘルスケア・インデックスなどの指標を通じてセクター全体と連動するものもあれば、S&Pファーマスーティカルズ・セレクト・インダストリー・インデックスやラッセル2000バイオテクノロジー・インデックスのようなサブセクター指標もある。 一方でアクティブ運用型の商品においては、ファンドマネージャーが各企業の業績や今後の見通しなどを基準にヘルスケアセクター内の個別銘柄を選択して運用する。

ヘルスケアファンドの例を以下に挙げる。

  • フィデリティ・セレクト・ヘルスケア・ポートフォリオ
  • バンガード・ヘルスケア・ファンド
  • バンガード・ヘルスケアETF
  • フィデリティMSCIヘルスケア・インデックスETF

不動産投資信託(REIT)

不動産投資信託とは不動産を中心に運用する上場ファンドで、病院、診療所、老人ホームなどのヘルスケア施設が入った建物を専門に扱うものもある。間接的なアプローチではあるが、このようなヘルスケアREITは不動産とヘルスケア産業に同時に投資する手段となる。

まとめ

ヘルスケア関連株には極めて多くの多様な選択肢がある。成長株、バリュー株、アグレッシブ株、ローリスク株など、この広大なセクターならあらゆる特徴の銘柄が見つかる。ヘルスケア産業規模の大きさそのものと消費の伸びを考えると、分散投資を目指すならこのセクターを無視することは難しい。 医療消費と医療支出に関する予測を見ると、この産業が今後も成長していくだろうことが伺える。しかし、他のあらゆる投資対象と同様、ヘルスケア産業にもマイナス面はあり、政府の規制や政治状況に影響されやすいなど特有のリスクもある。だからこそ、ヘルスケア産業に投資するうえでは徹底したリサーチが重要となる。

[原文:How to invest in healthcare, a massive market sector that offers unparalleled diversification for portfolios

(翻訳・長尾莉紗/LIBER、編集・長田真)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み