2022年9月23日~25日、東京ビッグサイトにて「GOOD LIFEフェア」が開催された。
撮影:加藤肇
同フェアのコンセプトは「さまざまなモノ・コト・トキを通じて、SDGsを知り、体験し、楽しむ、参加型のフェスティバル」。台風接近による悪天候にもかかわらず、3日間で約1万9000名(主催者発表)が会場を訪れた。
筆者は会期初日に取材したが、予想以上に家族連れの来場者が多く、子どもたちが熱心にブースを見学・体験する様子が印象的だった。取材する中で複数の出展者からも同様の感想を聞いており、この分野の盛り上がりは確かなもののように感じられた。
以下、会場で見つけた「GOOD LIFE」につながるフードやドリンクを紹介する。
アサヒユウアス UPCYCLE B&森のタンブラー
撮影:加藤肇
UPCYCLE Bは、何らかの理由でやむなく廃棄されてしまう食材をアップサイクルしたクラフトビール。テスト焙煎の余りのコーヒー豆を使った「蔵前BLACK」、サンドイッチ製造の過程で生まれるパン耳を使った「蔵前WHITE」、狭山茶のケバ茶(お茶の茎の皮)を使用した「狭山GREEN」、千葉県山武市のイチゴ観光農園で余剰となったイチゴを冷凍して活用した「さんむRED」の4種類がラインアップされている。
森のタンブラーは、アサヒビールがパナソニックと共同開発。国産のヒノキ間伐材、アサヒビールモルトの麦芽副産物、和歌山県のアドベンチャーワールドで飼育されるパンダが食べ残した竹、狭山茶の製造工程で発生する茶の粉などをアップサイクルしてリユース可能なカップを製造。プラスチック使用量を削減している。
綜合警備保障 ALSOKのジビエ
撮影:加藤肇
防犯対策・セキュリティサービス企業の綜合警備保障は、実はジビエ肉の加工・販売も事業として行なっている。
そのきっかけは、有害鳥獣の捕獲・回収事業への参入(2016年)だという。農家や猟師が捕獲したイノシシやシカを回収・運搬し行政への手続きも無償で代行するものだが、参入当初は捕獲された害獣は廃棄処理されるだけだった。
これに「野生動物の命をムダにしているのではないか」と疑問を抱いた同社は、捕獲したイノシシやシカをジビエ肉として有効活用することを決断。2020年7月には、千葉県茂原市にジビエ肉専門の加工施設を開設し、食品事業に参入した。
現在は、千葉県内の飲食店への販売が中心だが、一般向けにも販売されている。会場でイノシシのソーセージを試食させてもらったが、臭みもなく、とても美味しかった。
KIKKA 酒粕甘酒&酒粕グラノーラ
撮影:加藤肇
日本酒製造の副産物であり豊富な栄養素を含むものの、廃棄されてしまうことの多い酒粕をアップサイクル。現代のライフスタイルに合った製品に生まれ変わらせているのがKIKKAだ。
ベースになるのは、酒粕の酵素を壊さないように低温乾燥し粉末に仕上げた酒粕パウダー。これを米こうじと合わせると酒粕甘酒(ノンアルコール)、有機オーツ麦などと焼き上げると酒粕グラノーラとなる。酒粕パウダーは単体でも販売されており、菓子作りに利用する人もいるそうだ。
今回、会場で販売されていた酒粕甘酒スムージーのプレーンフレーバーを購入し、自宅で試飲してみた。こちらは生酒粕が使われており、甘酒特有の風味と自然な甘味が楽しめる。内容量は200グラムで飲み応えがあるので、ダイエット中の食事代わりにしてもいいかもしれない。
※酒粕甘酒スムージーはアルコール分1%未満のため、運転時などには注意が必要。
HAKKO GINGER
撮影:加藤肇
ショウガ、レモン、唐辛子などの国産有機原材料を使用した“ジンジャービア”であるHAKKO GINGER。ジンジャービアは日本ではまだ馴染みがないものの、英国やオーストラリアなどではポピュラーな健康飲料。名称にビアという言葉が含まれるが、ノンアルコールだ。HAKKO GINGERは日本初の自社製造ジンジャービアだという。
同じくショウガを原料とするジンジャーエールとの違いは、発酵の有無。HAKKO GINGERはショウガ、レモン、唐辛子に、北海道に自生する蝦夷山桜の酵母を加えて発酵させている。北海道産のビートからとれる糖蜜が使われており、飲み続けることで腸内環境を整えてくれる。また、ジンジャーオールやカプサイシン、ビタミンCによるアンチエイジング効果も期待できる。
こちらも会場で購入し、試飲してみた。思っていたよりもショウガの辛みがガツンとくるが、爽やかな酸味もあって、最後はやさしい甘味が口に広がる。仕事中に気分転換したい時や食事中にお酒代わりに飲むとよさそうだ。
MAMANO CHOCOLATE
撮影:加藤肇
MAMANO CHOCOLATEは、エクアドル産の貴重なアリバカカオのみを使用したチョコレート専門店。アリバカカオで作るチョコレートは華やかな香りが特徴で、国際的に高い評価を得ているそうだ。
MAMANO CHOCOLATEが提携する現地組合は、農薬や化学肥料を使用しない自然農法でカカオを栽培。他のさまざまな果実や作物と一緒に栽培することでアマゾンの生態系を維持しつつ、持続的な生産活動を続けている。
生産者の貧困や児童労働など、チョコレートの背後には深刻な問題が山積する現実もある。MAMANO CHOCOLATEでは、現地組合との公平で透明な取引により、カカオ生産者もチョコレートの消費者もともに喜びを享受できる世の中を目指しているという。
(文・加藤肇)