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安倍元首相の「国葬」終わる。会場周辺では反対デモと献花に並ぶ列(写真)

安倍元首相の「国葬」の様子と菅前首相。会場近くではデモ活動も。

安倍元首相の「国葬」の様子と菅前首相。会場近くではデモ活動も。

REUTERS、吉川慧

安倍晋三元首相の「国葬」が9月27日午後2時ごろから日本武道館(東京・千代田区)で始まった。戦後に「国葬令」が廃されて以降、政治家の国葬は1967年の吉田茂元首相以来となる。


安倍元首相の「国葬」式場。

安倍元首相の「国葬」式場。

REUTERS

午後1時56分ごろ:喪服姿の安倍昭恵氏が日本武道館に到着。自衛隊による19発の弔砲が撃たれ、中央音楽隊の演奏と儀仗隊長の先導のもと岸田文雄首相、昭恵氏ほか遺族らが日本武道館の中へ入った。

Kiyoshi Ota/Pool via REUTERS

REUTERS

午後2時3分ごろ:自衛隊の儀仗隊長の先導で岸田文雄首相、安倍元首相の遺骨を抱いた昭恵氏が式場に入場した。

入場後、安倍元首相の遺骨は岸田首相、自衛隊の儀仗隊長、特別儀仗隊員へと順に手渡されて式壇中央に安置された。

Eugene Hoshiko/Pool via REUTERS


FRANCK ROBICHON/Pool via REUTERS

午後2時8分ごろ:秋篠宮ご夫妻と次女・佳子さまら7人の皇族方がご入場。続いて上皇ご夫妻、天皇皇后両陛下の使いとして侍従らが入場した。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon/Pool

午後2時12分ごろ:松野博一官房長官が開式の辞を述べた後、国歌が演奏された。

午後2時15分ごろ:自衛隊の特別儀仗隊が入場。「捧げ銃(ささげつつ)」の号令の後、1分間の黙祷があった。

Takashi Aoyama/Pool via REUTERS

午後2時17分ごろ:政府が制作した安倍元首相の首相時代の動静や発言をまとめた映像が上映された。

午後2時26分ごろ:岸田首相が「追悼の辞」を述べた。

岸田氏は安倍元首相の生前の業績や発言を振り返りつつ「あなたはまだまだ長く生きてもらわなければならない人でした」と、その死を悼んだ。同じ時代を生きてきた「盟友」とも述べた。

続いて細田博之衆院議長、尾辻秀久参院議長、戸倉三郎最高裁長官ら三権の長が追悼の辞を述べた。

PHILIP FONG/Pool via REUTERS

午後2時間48分ごろ:第二次安倍政権で官房長官を務めた菅義偉前首相が友人代表として追悼の辞を述べた。

菅氏は冒頭で以下のようにと銃撃事件の日を振り返った。

「信じられない一報を耳にし、とにかく一命をとりとめてほしい。あなたにお目にかかりたい。同じ空間で同じ空気をともにしたい。その一心で現地に向かい、そしてあなたならではの暖かな微笑み、最期の一瞬に接することができました。あの運命の日から80日が経ってしまいました」

「天はなぜよりにもよって、このような悲劇を現実にし、命を失ってはならない人から生命を召し上げてしまったのか」

「悲しみと怒りを交互に感じながら、今日のこの日を迎えました」

また、第一次政権を退いた安倍氏に2度目の自民党総裁選へ出馬するよう東京・銀座の焼鳥店で3時間にわたって説得したエピソードも明かした。

菅氏は「総理大臣官邸で共に過ごし、あらゆる苦楽を共にした7年8か月。私は本当に幸せでした」と述べつつ、スピーチの終盤で安倍氏の議員会館の事務所の机にあった読みかけの本、明治期の元勲の一人・山縣有朋の伝記(岡義武著『山県有朋』)から山縣が盟友・伊藤博文に先立たれて詠んだ短歌を引用した。

「かたりあひて 尽くしし人は先立ちぬ 今より後の世をいかにせむ」

Takashi Aoyama/Pool via REUTERS

REUTERS

午後3時ごろ:天皇皇后両陛下と上皇ご夫妻の使いが拝礼。会場を後にした。その後、秋篠宮ご夫妻ら皇族方が供花をされた。

午後3時15分ごろ:岸田首相ら参列者の献花が始まった。その後、各国代表や日本に駐在する大使らの献花が始まった。

午後4時10分ごろ:各政党の代表らが献花。その後、他の参列者の献花が始まった。

REUTERS

午後5時54分ごろ:全参列者の献花が終了。

午後6時07分ごろ:安倍元首相の遺骨が式壇からおろされ、儀仗隊員、儀仗隊長、岸田首相の手を経て昭恵夫人の元へ。儀仗隊長の先導のもと、岸田首相、昭恵氏ら遺族が退場。

午後6時18分ごろ:安倍元首相の「国葬」が終了。遺骨とともに昭恵氏が車で帰路に。儀仗隊の弔銃とともに岸田首相らが見送った。


海外から117代表が参列、ロシア大使の姿も

安倍元首相の「国葬」について、政府は当初国内外から最大6000人程度の参列を想定していたが、9月22日には4300人程度と発表していた。

外務省によると、22日時点で海外からは218の国・地域・国際機関などから参列の意向があり、このうち海外から代表が参列するのは117としている。このうち首脳級は30人ほど。

日・米・印・豪の協力枠組み「QUAD(クアッド)」からインドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相、アメリカのハリス副大統領が参列した。

インドのモディ首相とオーストラリアのアルバニージ首相。

インドのモディ首相とオーストラリアのアルバニージ首相。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon/Pool

アメリカのハリス副大統領。

Eugene Hoshiko/Pool via REUTERS

G7サミット(仏・米・英・独・日・伊・加の主要7カ国及びEU[欧州連合])の枠組みではEUのミシェル欧州理事会議長が参列したが、他のG7首脳級は来日しなかった。カナダのトルドー首相は国内の災害対応のため欠席した。

エリザベス女王の国葬があったイギリスからはクレバリー外相とメイ元首相、フランスからはサルコジ元大統領らが参列。

国連からは中満泉事務次長(兼軍縮担当上級代表)、IOC(国際オリンピック委員会)からはバッハ会長が出席した。

イギリスのメイ元首相。

イギリスのメイ元首相。

REUTERS


IOCのバッハ会長、フランスのサルコジ元大統領。

IOCのバッハ会長、フランスのサルコジ元大統領。

Eugene Hoshiko/Pool via REUTERS

アジア諸国ではカンボジアのフン・セン首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家出席などが参列した。

中国の習近平国家主席、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は来日しなかった。それぞれ弔問代表として中国は万鋼・全国政協商副主席、韓国は政権ナンバー2の韓悳洙首相を派遣した。

ウクライナに侵攻しているロシアからは、シュヴィトコイ大統領特別代表(国際文化協力担当)とガルージン駐日大使の姿もあった。

55年ぶりの「国葬」で議論、世論調査では「反対」拡大

戦後に「国葬令」が廃されて以降、1967年の吉田茂元首相以来となる「国葬」をめぐって国内では賛否が議論となった。

岸田首相は9月8日の閉会中審査で国葬を決めた理由について以下のように説明していた。

  • 民主主義の根幹たる国政選挙を6回にわたり勝利した。
  • 憲政史上最長の首相在任、東日本大震災からの復興や日本経済の再生に尽力した。
  • 日米関係を基軸とした戦略的な外交を主導し、平和秩序に貢献した。
  • 諸外国における議会の追悼決議や服喪の決定や、公共施設のライトアップを始め、各国で国全体を巻き込んでの敬意・弔意が示された。
  • 暴力には屈しない国としての姿勢を示す。

一方で、野党側は国葬実施の法的根拠が不十分だと指摘。「岸田首相は(自民党は)旧統一教会との関係を断つと言ったが、深い関わりを持ってきた安倍元首相を国葬にすることは矛盾していないか」と非難もあがった。

政党では自民、公明、維新、国民、NHK党、参政の各党党首が参列。立憲、共産、れいわ、社民の党首は欠席を表明していたが、立憲の野田佳彦元首相は参列した。

費用面も議論になった。松野博一官房長官は9月6日の記者会見で国葬に関わる費用について、総額で約16億6000万円程度になるとの概算を明らかにした。

このうち会場設営費やバス借り上げ料などの約2億4900億円のほか、警備費用として約8億円の、海外要人の接遇費用として約6億円、自衛隊の儀仗隊などの車両借り上げ費として約1000万円を概算費用として想定している。

世論調査でも国葬に否定的な意見が広がった。

東京新聞によると、大手5紙と2通信社・NHKなど計8媒体が実施した9月の世論調査で7月〜8月と比べていずれも「反対」の割合が増えた。9月の調査では全ての媒体で「反対」の割合が半数を超えた。

国葬当日、会場となった日本武道館にほど近い九段下では、国葬反対派と賛成派がデモに立っていた。

周辺では警官隊が警備にあたり、物々しい雰囲気だった。今回の国葬で警察は2万人規模で警備に臨んでいる。

国葬反対派のデモ。

国葬反対派のデモ。

撮影:吉川慧

国葬反対派のデモ。

国葬反対派のデモ。

撮影:吉川慧

国葬肯定派のデモ。

国葬肯定派のデモ。

撮影:吉川慧

九段下交差点は物々しい雰囲気に。

九段下交差点は物々しい雰囲気に。

撮影:吉川慧

献花台への列、待ち時間は「3時間以上」

日本武道館がある北の丸公園に隣接した九段坂公園には一般向けの献花台が設けられ、NHKによると献花希望者が3キロ以上の長い列をつくった。

政府は最寄り駅として半蔵門駅を案内していたが、内閣府によると午後1時現在で待機列は九段坂公園から2キロほど離れたJR四ツ谷駅周辺まで達した。

内閣府は午後2時現在で「今から並んでいただいても、どんなに少なく見積もっても献花まで3時間以上かかる見込み」とツイートした。

一般献花に並ぶ人の列。

一般献花に並ぶ人の列。

REUTERS/Issei Kato


Nicolas Datiche/Pool via REUTERS

※随時更新します。

(文・吉川慧

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