給与交渉は電話ですること、メールは絶対にNG(画像はイメージ)。
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- マンディ・ウッドラフ=サントスは、転職時の面接における給与交渉のエキスパートだ。
- 自身も10年のあいだに6回の転職を経て、総計約3000万円の昇給を果たしている。
- そんな彼女が実体験から導き出した、給与アップ実現のための交渉術を紹介しよう。
給料は、会社にとっての社員の価値を示す指標であり、実績を出している人が自分はもっと高い給料に値すると考えるのはごく当然のことだ。
給料を上げる方法は2つある——現職で昇給をリクエストするか、転職時に給与交渉をするかだ。
マンディ・ウッドラフ=サントス(Mandi Woodruff-Santos)氏は、転職時の面接における給与交渉のエキスパートだ。
「初めてフルタイムの仕事に就いたのは2010年、22歳の時でした。それ以来、6回転職し、年俸は最初の仕事の年俸に比べて、19万4000ドル(約2800万円)近く上がりました。転職の度に毎回平均39%アップしています」と、CNBC Make itの取材に対し、彼女は話す。
彼女の基本給は10年で3万1200ドル(450万円)から22万5000ドル(約3250万円)に上がったのだ。同じ期間のボーナスを考慮すると、さらに16万ドル(約2300万円)上乗せされる。
ウッドラフ=サントス氏は現在、ファイナンス&キャリアコーチとして働いている。
自身の経験から彼女が推奨する、給与アップ実現のための交渉術を紹介しよう。
1. 給与アップだけを目的に転職しないこと
給料の良い求人は魅力的に見えがちだが、それが本当に自分がやりたい仕事かどうか、長期的に見てその仕事が自分のスキルを磨き、キャリアに活かせるものであるかどうかを考えることも、給料と同じくらい重要だ。
2. 希望年俸を明かさないこと
転職の面接を受けると、どこかのタイミングで採用担当者から現在の年俸と希望の年俸を聞かれるだろう。しかし、即座に答えてしまうとチャンスを逃してしまうことになる可能性がある。
ウッドラフ=サントス氏によれば、希望年俸を伝えるのは業務内容やチームについてもっとよく知るまで待つのが得策だ。
「条件についてのお話は、このポジションの業務内容やどんなことを期待されているかなどをもっと伺ってからさせていただけませんか?部署の方とお話させていただいて、私の適性を確かめた後でこのお話ができたら幸いです」などと伝えよう。
現在の年俸についても、採用担当者に回答するのは避けた方が良いと彼女は補足する。
「現時点では回答を控えさせていただけますでしょうか。私のスキルやチームにどんな貢献ができるか、御社の福利厚生などに基づいて、もっと総合的に条件面のお話をさせていただきたいと思っております。もしこのポジションの年俸に、ある程度ご予算があるのでしたら教えていただけますか?」というように答えれば印象が悪くならないだろう。
3. 緊張感の少ないシチュエーションで交渉の練習をしてみよう
給与交渉は緊張感の高いシチュエーションであり、緊張により誤解が生じてしまう場合もあるので、失うものがほぼない状況でできるだけ練習しておくことをお勧めする。
例えばレストランで注文していない料理が誤って出された時に実際オーダーした料理を出し直してもらったり、値引きを交渉したりするのも給与交渉の良い練習になる。
そしてこれは職場で実践しよう——いつもより責任のあるタスクを任されていると気付いたら、その分を反映した昇給を要求すること。
4. 最初に提示された給与額に対してすぐに返事をしないこと
内定をもらっても、すぐに回答してはいけない。
その立場を利用して希望の条件を交渉できるからだ。
ウッドラフ=サントス氏だったら「内定をもらい給与額を提示されたら、ひとまずお礼の一言を伝え、いただいたオファー内容を検討し24時間以内に返答しますと伝えます。その後でアポを取り、さらに金額を上げられるよう交渉します」。
そして自分の要望を「時間をかけて検討してもらって構わないということを最後に丁寧に伝えること」も大切だ。
5. 給与交渉は電話で。絶対にメールで行ってはいけない
給与交渉は可能な限り直接会って話すようにしよう。もしそれが不可能なら、メールより電話の方が良い。
電話なら「難しい話もこなすことができる資質と、目的のために戦うことを恐れない姿勢も伝わる」とウッドラフ=サントス氏は指摘する。
彼女は電話で給与交渉したおかげで入社時の契約金額を2倍にすることに成功したことがあると言う。その時の会話の始まりはこんな感じだ。
「内定をいただきありがとうございます。とても嬉しいのですが、残念ながらご提示の年俸額は私が御社に貢献できるパフォーマンスに見合っているとは言えません。私のスキルと任された責務を考えると、◯◯◯ドルの方が妥当だと思うのですが」
6. 報酬の全体をパッケージとして考えよう
給与交渉は必ずしも型通りとは限らない。
ウッドラフ=サントス氏は以前、電話で基本給のアップを要求したら、採用担当者がやや渋々ながら、上司と相談してまたかけ直すと約束したことがあった。
結局、その後の電話で基本給は上げられないが契約金を上げて彼女の要望にマッチさせることはできるという返事があったという。
「報酬全体をパッケージとして見ると、基本給がすべてではないのです。契約金や年次賞与、福利厚生など、他の部分で交渉することも一つの方法です」と彼女は推奨する。
7. 最終的なオファー内容は信頼できる人と相談しよう
最終的に、内定オファーに対してイエスと回答する前に、身近な人にアドバイスを求めることを躊躇する必要はない。
ウッドラフ=サントス氏は「私は転職の内定をもらうたび、少なくとも2人の信頼できる知人に相談しました。給与交渉はどれくらいの金額幅が適切だと思うか、どんな福利厚生の特典をリクエストすべきか、最終オファーが妥当だと思うか、などについて意見を聞きました」と明かす。
ネットワーキングも転職の有効なツールだ。業界で経験のある人とつながりを持ち、支援やアドバイスをお願いしよう。
[原文:A job coach who raised her salary by $194,000 revealed the 7 rules she followed]
(翻訳・小森谷美江子、編集・長田真)