人工衛星や航空機から見えた強大な嵐の姿…フロリダを直撃した大型のハリケーン「イアン」

2022年9月28日、国際宇宙ステーションから見たハリケーン「イアン」。

2022年9月28日、国際宇宙ステーションから見たハリケーン「イアン」。

NASA

  • 宇宙からの画像はフロリダに上陸したハリケーン 「イアン」 を写し出している。
  • その「目」に飛び込んだハリケーンハンターは、嵐がとても激しく、稲妻に満ちていることに気づいた。
  • 「イアン」は、風速150マイル/h(秒速約67m)で、生命を脅かす高潮を伴うカテゴリー4のハリケーンだ。

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士は、2022年9月28日午後(アメリカ東部時間)にフロリダ州西海岸に上陸した巨大なハリケーン「イアン」を見ることができた。

ISSはその上空を飛行し、カテゴリー4のハリケーンによる高密度で渦巻く雲の壮大な、しかし恐ろしい光景を撮影している。

イアンは午後3時5分に上陸し、その暴風は風速150mph(秒速約67m)で、カテゴリー5をわずかに下回るレベルだった。

2022年9月28日、ハリケーン「イアン」の目の上空を飛ぶ国際宇宙ステーション。

2022年9月28日、ハリケーン「イアン」の目の上空を飛ぶ国際宇宙ステーション。

NASA

コロラド州立大学とアメリカ海洋大気庁(NOAA)の共同研究機関であるCooperative Institute for Research in the Atmosphereによって共有された映像の中で、人工衛星は地上を移動するハリケーンの「目」を捉えていた。

人工衛星で撮影された画像は、ハリケーンがフロリダ州のほぼ全域を覆っていることを示している。

2022年9月28日、フロリダ上空を移動するハリケーン「イアン」の衛星画像。

2022年9月28日、フロリダ上空を移動するハリケーン「イアン」の衛星画像。

NOAA GOES-East

イアンは、メキシコ湾の温暖な海域を移動しながら成長し、強力な風を発生させている。単一の暴風雨を気候危機を結びつけるにはさらなる研究が必要だが、大気と海洋の温暖化に伴い、ハリケーン全体がこれまでより勢力が強く、速度は遅く、より強い雨を降らせるようになっている。

嵐の目を通過する危険なフライト

空軍のハリケーン・ハンターがハリケーン「イアン」の「目」に飛び込んだとき、驚くほどの強風に見舞われた。空軍の気象学者の一人によれば、乱気流によって飛行機はおよそ700フィート(約213m)も落下したという(彼はフライトには参加していない)。

同行したウェザー・チャンネルデイブ・マルコフ(Dave Malkoff)は1000フィート(約304m)以上落下したと報告している。また、雹(ひょう)も降っていたという。

「『目』の中でさえ、穏やかではなかった」とマルコフは着陸時にツイートした

NOAAの調査機、カーミットも、イアンの「目」を通過する際に同様の乱気流に遭遇している。この飛行機に乗っていたエンジニアのニック・アンダーウッド(Nick Underwood)は、飛行機が揺れたときに2段ベッドからマットレスが落ちる様子を映したビデオを公開した

アンダーウッドはニューヨーク・タイムズに「我々は、上下するジェットコースターのような感覚には慣れているが、今回は横方向の動きが多かった」と語っている。

「だから、いつもより不安だった」

彼はまた、ハリケーンの中心部が稲妻に照らされている写真も公開した。

「今は夜であることを理解してほしい。この光は稲妻によるものだ」とアンダーウッドは書いている

「今回のカーミットのハリケーン『イアン』へのフライトは、今までで最悪のものだった。これほど多くの稲妻を目にしたことはない」とアンダーウッドは語った。

そして、このフライトが「まったくもってワイルド」であり、「1回しか通過しなくてよかった」とも語った。

上空の人工衛星もまた、上陸した嵐の「目」の近くの稲妻を捉えている。

ハリケーン「イアン」は、フロリダ州を北東に進み、29日遅くにはフロリダ半島を離れ、30日にはジョージア州かサウスカロライナ州へ進むと予想されている(いずれもアメリカ東部時間)。

[原文:Harrowing views of Hurricane Ian from air and space show how large and powerful the storm is

(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)

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