本記事の著者であるレイチェル・モーガン・カウテロ氏の両親は、手動式のゴミ箱(写真奥)を20年近く使った。
Rachel Morgan Cautero
- 私の両親は、長年同じゴミ箱を使っていた。きちんと使えていたので、買い替える必要はないと考えていたのだ。
- それは、私には「まだ使えるものを、買い替えても意味がない」という教訓となった。
- 私は「時代遅れ」の家財道具をたくさん持っている。そのおかげで数十万円の節約ができた。
私は、自分の節約術を気に入っている。それは両親が使い古した、青いゴミ箱から得られたものだ。
丸くて青い、目立った特徴もなく、何の変哲もないゴミ箱。蓋を開けるペダルもなく、使うたびに、手動で開け閉めしなければならない。しかし、きちんと使えるので、経済的に買い替える余裕はあったはずなのに、20年近く両親はそれを愛用し続けた。
その行為は、「まだ問題なく使えているのであれば、すでにあるものを買い替えるのは意味のないことだ」という教訓になり、私はこれに取りつかれている。
この教訓は、私の家に備え付けられた、古いビルダーの洗濯機や乾燥機などの家財道具にも表れている。ミキシングボールのセットは欠けてしまって、結婚した時から持っているベイキングトレイはボロボロ、ダイニングセットは子供たちがペンキやマーカー、時々パスタソースをこぼしたりして、めちゃくちゃだ。プレイルームに吊るされたテレビは、私と結婚する前の2009年頃、夫が初めて暮らしたニューヨークのアパートにいた時に購入したものである。これらの家財道具はまだ問題なく使えるのだから、買い替える必要はない。私は、これらの物を買い替えることに反対した。
このような倹約的な習慣を、やりすぎではないか、安っぽいとさえ思われるかもしれない。だが、数年の間に、数十万円の節約になった。
古い物を使うことで、どれだけ節約できたのか
インフレ前でさえ、新しいものへの買い替えは、出費がかさむものであった。
例えば、引っ越してきたとき、ビルダーの洗濯機と乾燥機がついていた。あまり好きではないけど、すでにあるものなので、家と一緒に「無料」でついてきたものと考えるようにした。新しい中型の洗濯機と乾燥機のセットと比べてみると、簡単に2000ドル(約28万円)ぐらい節約できる。結局のところ、いつか洗濯機と乾燥機を買い替えることになるのだろうか? たぶんそうだろう。どちらか一つ(あるいは両方)完全に使えなくなれば、買い替えるだろう。
同じことが、私の古いミキシングボールやベイキングトレイ、そしてダイニングルームセットにも言える。最初に挙げた2点については、買い替えても、せいぜい60ドル(約8000円)程度で、私の予算に大きな打撃とはならないだろう。新しいダイニングルームセットは、最低でも1500ドル(約21万円)ぐらいで、さらに税金と配送料がかかる。我が家には2歳と4歳の子供がおり、今使っているものを買い替えて、少し良い物を使うというのは、経済的に良策とは言えない。
プレイルームにある、2009年頃のパナソニックのテレビは、夫が初めて金融関係の職に就いた時に、ニューヨークのブロードウェイで購入したものだ。買い替えると、300ドル(約4万円)ぐらいになるが、13年経っても、買い替えていないので、その4万円は私の手元にある。
我が家では各種料金も節約
家具や家電製品など、大きな買い物をすると、無料で古いものを交換・回収してくれる会社はあるが、対応しないところもある。さらに、新品を購入するとなると、配送料や設置料として数万円程度、加算されることが多い。たとえば、コストコ(Costco)では、配送サービスを利用すると、50から200ドル(約7000から3万円)の料金がかかる。
中古品を購入した時でさえ、同じように料金が加算される。最近、中古のダイニングテーブルをFacebookのマーケットプレイスで探していたのだが、トラックのレンタル料とガソリン代が19.95ドル(約3000円)がかかること、引き取りについて出品者や夫と調整し、古いテーブルの回収にも料金が発生する可能性があることを考慮すると、中古品の購入という案を取り消した。
古くなっても使い続けることは、子供たちに大切な教訓を残す
私が育ち盛りの頃、おもちゃから洋服、祖母から2歳の誕生日にもらったドールハウス(今でも無傷で使える)など、物を大切にしなさいと言われた。だが、10代の頃は誰でも同じだと思うが、新しいアメリカンガールの人形や新しいスニーカーを買えなかったことに腹を立てることがあった。両親が新学期用の靴を買ってくれたにもかかわらずだ。
しかし大人になるにつれて、親から伝えられた大切なことを実感した。物を大切にするということは、長持ちさせるということなのだ。粗末に扱ってきたものでも、すぐに買い替えなければ、今あるものに感謝することになる。これは、自分の子供にも伝えている教訓だ。
私の予算管理スキルは、完璧ではない。誰にでもあるように、節約できるところはあるが、財布の紐が緩くなって、無駄遣いしてしまった例もある。もう少し良いものをと、今まで使っていた物を買い替えようとすると、いつも私は、親の使い古した、青いゴミ箱を思い出し、デビットカードをしまっておくのである。
(翻訳・伊藤麻衣子、編集・長田真)