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男性育休、企業のアピール合戦が過熱【10月からの制度変更をポイント解説】

育児する男性

育休制度をアピールする企業が増えてきている。

マネーフォワード、shutterstock

10月から男性育休の制度が変更され、男性育休の取り組みを発信する企業も増えています。

マネーフォワードやユーザベースなどは、社員向けに育休に関するガイドブックを作成し、男性育休の取得率も明記しました。またガイドブックは社外にも公開し、育休取得の取り組みを対外的にもアピールする目的もあります。

男性育休の制度はどう変わったのか、そして企業はどう情報発信しているのか?知っておきたいポイントをまとめました。

1. 産後8週間に取りやすく、分割取得可能に

point1

最も大きな変更点の一つが「産後パパ育休」の新設だ。

出典:厚生労働省

10月からは新しく「産後パパ育休」が加わりました。育児のスタートとなる大事な出産直後に、男性育休を取りやすくするための制度です。 出産日から8週間以内に、4週間の育休を取得できます。

計4週間を2回に分けて取得することもできるため、「長期間休むことが難しい」、「繁忙期に重なってしまう」という場合でも、取得しやすいように配慮されています。

2. 「産後パパ育休」に働いてもOK

「産後パパ育休」の期間中は、育休取得日数の半分を上限に、仕事をすることも認められます(労使合意が必要)。

「育休中の収入が厳しい」という場合には、家計としては収入の上乗せが望めます。また、在宅ワークが普及する中で「育休中でもある程度、仕事ができる」という形なので、いままで男性育休を取得しにくかった職場でも、育休を取得しやすくなることが期待されます。

3. 申請期限を2週間前に、非正規も取りやすく

赤ちゃん

育休を取得できる条件も緩和されている。

shutterstock

10月以降、育休の制度も一部変更され、子どもが1歳になるまでに女性は2回、男性の場合は「産後パパ育休」も含めると最大4回に分けて育休を取得できるようになりました。

「産後パパ育休」は申請期限についても、「原則休業の2週間前まで」となっており、従来の育休の「1カ月前まで」よりも緩和されました。

またこれまで育休を取得できなかった「働いて1年未満の非正規雇用」についても、育休を取得できるように変更されました(有期雇用者の要件緩和は2022年4月から)。

4. 大企業は男性育休の取得率公表マストに

2023年4月には、さらに制度が変更になります。

従業員が1001人以上の大企業では、男性の育休取得率の公表が義務付けられます。育休取得率を公表することで、各企業がどれだけ男性育休の取得促進に力を入れているのかが一目でわかる目安となるため、優秀な人材を獲得する企業では意識改革が進むと期待されています。

5. 「言い出しにくい……」解消へ、企業から確認義務化

ビル群

企業側に求められる役割は大きくなっている。

撮影:今村拓馬

2022年4月からすでに変更になっている点を確認していきます。

子供が生まれる予定の社員ら育休取得対象の男性に対して、育休制度について説明し、取得の意向を個別に確認することが、企業側に義務化されます。

これまで男性の育休取得が進まなかった原因の一つが、職場の空気感です。育休を取得しなかった理由に関する調査では、5人に1人が「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だった」と回答しています。

企業への確認義務化は、こうした事態を解消することが目的です。

ちなみに育休中の収入については、これまでと同様に休業給付金がハローワークから支給されます。金額は育児休業開始時の賃金の67%(開始から7カ月以降は50%)ですが、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料が免除されます。よって、手取りは収入の8割程度が育休中も保障されることになります。ただし支給額には上限があり、最初の6カ月では約30万円。7カ月以降では約22万円です。

ベンチャーが「ガイドブック」続々公開

育休ガイドブック

企業が育休制度などについて情報発信するケースが増えている。

出典:マネーフォワード『産休育休ガイドブック』

男性の育休取得率

マネーフォワードはガイドブックで、自主的に男性の育休取得率を公開している。

出典:マネーフォワード『産休育休ガイドブック』

男性育休制度が生まれ変わるタイミングで、会社の内外に育休制度をアピール企業も続々と出てきています。

マネーフォワードでは2022年9月20日、社員向けに「産休育休ガイドブック」を作成しました。ガイドブックでは、制度の説明はもちろん、妊娠が分かった時にどう行動すればいいのか、メンバーから報告を受けたらどうしたらいいのか、復帰までのプロセスなどを解説しています。

社員へのインタビューも掲載されており、「想定外の妊娠発覚。まず頭をよぎった下期のKPI」「時短フレックス制度を活用。出産後後4カ月でスピード復帰」など、具体的なエピソードを紹介しています。

マネーフォワードの広報担当者はガイドブックを作成した狙いについて、次のように話しています。

「産休や育休を取る方やそのパートナー、チームメンバーのみなさんが安心できることを目指してこのハンドブック作成しました。

あわせて、取り組みを外に向かっても公開することで『マネーフォワードであればライフイベントの不安を持たずに自分らしく働けるのでは』と思ってくれたらいいなと考えています

他にもプロ人材のスキルシェアサービスを展開するサーキュレーションも、男性育休の事例などをまとめた『CIRCULATION’s parental leave Rules - 産休・育休ガイドブック』を作成・公表しています。

サーキュレーションのガイドブック

ベンチャー企業・サーキュレーションも、ガイドブックで男性育休について紹介している。

出典:CIRCULATION’s parental leave Rules - 産休・育休ガイドブック

また企業情報のプラットフォームサービス「SPEEDA」や「NewsPicks」を提供するユーザベースも、2021年12月に発表したガイドブックで男性育休の取得率を公表しています。

ユーザベースガイドブック

男性育休の取得率など様々な情報をまとめている。

出典:『Uzabase 産休・育休ハンドブック』

男性育休企の取得率については、大企業に限り2023年4月から公表義務が課されることはすでに紹介しましたが、義務化の対象ではない企業も積極的な開示を進めることで、さらに男性育休の取得が進むことが期待されます

法改正をきっかけに、この2022年10年から本格的に動き始めた新たな男性育休。新しい制度の真価が試されるのはこれからです。

(文・横山耕太郎

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