「肉を食べちゃダメ」などと言っても、気候危機の問題は解決しない —— ビル・ゲイツ氏が指摘

ビル・ゲイツ

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  • マイクロソフトの共同創業者でビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長でもあるビル・ゲイツ氏は、気候危機の問題を解決するにはイノベーションが欠かせないと語った。
  • ゲイツ氏は人々がその生活を根底から変えると期待するのは「非現実的」だと、ブルームバーグに語った。
  • 同氏は温室効果ガスの排出量削減につながるインフレ削減法の成立にも、自身が重要な役割を果たしたと話している。

マイクロソフトの共同創業者でビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長でもあるビル・ゲイツ氏は、環境問題を懸念して人々がその生活を根底から変えると期待するだけでは、気候危機は解決しないと語った。

「肉を食べたり、いい家を持ちたいと思うのを止めるよう人々に伝えれば、人間の欲望は基本的に変えられると言う人もいますが、わたしは難しいと思います」とゲイツ氏はブルームバーグのポッドキャスト『Zero』で語った

「それで変わる人もいるでしょう。ただ、それが中心的な役割を果たすと考えるのは現実的でないと思います」

ゲイツ氏はこのポッドキャストでアメリカの気候変動対策について話し、気候変動の問題はイノベーションなしに解決できないと語った。「わたしたちは航空燃料やセメント、鉄鋼の経済的な作り方を考案するといった突破口を開こうとすらしていません」

「既存のツールは発電といった分野にのみ適用されていて、大半の温室効果ガスの排出には適用されていません」

ゲイツ氏は気候変動にまつわるイノベーションを長年に渡って支援してきた。2015年には原子力ベンチャーの「テラパワー(TerraPower)」や投資ファンド「ブレークスルー・エナジー(Breakthrough Energy)」を立ち上げた。

他にも、エネルギー効率のいい電気モーターを作る「ターンタイド(Turntide)」やリチウム関連の「マングローブ・リチウム(Mangrove Lithium)」といったスタートアップも数々立ち上げてきた。2021年には気候危機にまつわるイノベーションを呼びかける『地球の未来のため僕が決断したこと:気候大災害は防げる』という著書も出した。

世界で5番目に裕福なゲイツ氏は今回のインタビューで、アメリカのインフレ削減法(Inflation Reduction Act)の成立にも、自身が重要な役割を果たしたと話している。この法律は今後8年間でアメリカの温室効果ガスの排出量を40%削減するために、約3700億ドル(約53兆6800億円)を計上している。

「わたしが政府をこの法案に関与させ、わたし自身もここに書かれていることに相当関わっています。最後の1カ月は、法案を成立させるために主だった上院議員とも協力してきました」とゲイツ氏は話している。

[原文:Bill Gates says telling people they can't eat meat or have a 'nice house' won't solve the climate crisis

(翻訳、編集:山口佳美)

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