SNSで拡散された「気象レーダーの切れ目はミサイルの軌道」は誤り。専門家「誤情報にお気をつけください」【Jアラート/北朝鮮ミサイル発射】

10月4日早朝、Jアラートが発出された。

10月4日早朝、Jアラートが発出された。

撮影:吉川慧

10月4日、午前7時27分、防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルのようなものが発射されたと発表した。

政府は、7時29分頃に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発出して「国民保護に関する情報」を通知。北海道、青森を対象に避難を呼びかけた。

松野官房長官は、8時過ぎに緊急会見を開催し、7時22分ごろに北朝鮮が発射した弾道ミサイルが、東北地方上空を通過した後、7時44分ごろに、日本の排他的経済水域(EEZ)外の太平洋上に落下したとみられると発表した。

Jアラートの発出後、Twitter上では、北海道南部(道南)に位置する渡島(おしま)半島にかけてみられる雨雲レーダーの切れ目が、「ミサイルの軌道ではないか?」と拡散している。

ただ、これは誤りだ。

Twitter上では、北海道南部渡島(おしま)半島にかけて見られる雨雲の切れ目が「弾道ミサイルの軌道なのでは?」との情報が拡散している。

Twitter上では、北海道南部渡島(おしま)半島にかけて見られる雨雲の切れ目が「弾道ミサイルの軌道なのでは?」との情報が複数のTwitterアカウントで拡散している。

出典:Twitter

この雨雲の切れ間は、弾道ミサイルが発射される以前から存在しており、弾道ミサイルの軌道を捉えたものではない。

雲研究者として知られる、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎さんも、

「雨雲レーダーで北海道に空白帯が見られるのは、レーダーの電波が山で遮られているためです。ミサイルによるものではありません。誤情報にお気をつけください。」

と注意喚起を促している。

実際に地図で確認すると、雲の切れ目が発生している地点は、北海道七飯町にある横津岳の山頂付近だ。

函館地方気象台によると、北海道最初の気象レーダーとして函館山に設置されていた施設が、平成4年10月に横津岳の山頂近くへ移設。平成19年11月に、気象ドップラーレーダーに更新されている。

地図で見てみると、横津岳の気象レーダーは、山頂から南東約1キロメートルの距離に位置している。つまり、山頂との高度差によって電波が遮られ、その先にある雨雲を観測できないことから、雨雲レーダーの画像には切れ目が発生しているとみられる。

10月4日午前5時40分の気象レーダーの画像。ミサイル発射前だが、雨雲の切れ目が見える。

10月4日午前5時40分の気象レーダーの画像。ミサイル発射前だが、雨雲の切れ目が見える。

画像:気象庁

民間気象会社ウェザーニューズの広報は、Business Insider Japanの取材に対して

「この雨雲の切れ目は地形的な影響です。気象レーダーが山頂より低い位置にあり、山の影になる部分で電波が遮られているため、切れ目が現れてしまっています」

と回答。千葉県・柏市には、高い建物の影響で「2本切れ目」ができる地域があるとも語った。

(文・三ツ村崇志

編集部注:ウェザーニューズのコメントを追記しました。2022年10月4日 13:00

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