マクドナルドは木製のカトラリーと紙ストローを全国展開する。
撮影:三ツ村崇志
国内ハンバーガーチェーン最大手の日本マクドナルドは、現在神奈川県・京都府内の全店舗で展開していた木製のカトラリーと紙ストローを、10月7日より順次全国に展開することを発表した。
最大手のマックが脱プラ加速
マクドナルドは脱プラスチック戦略の一貫として、木製のカトラリーや紙製のストローを導入する。
撮影:三ツ村崇志
マクドナルドは、2021年12月に、脱プラスチック化への取り組みとして、プラスチックでできたスプーンなどの代わりに、木製のカトラリーと紙ストローの導入を始めることを発表。
その後、2022年2月に横浜エリアの30店舗での導入を開始し、消費者からの反応を踏まえて提供店舗を増やしていく方針を示していた。
12月に開催した記者会見の際には、木製のカトラリーについて、木でできた製品によく見られる「トゲ」や「割れ」などが生じないよう、厳しい検査を実施したほか、硬さを重視した原料選定をするなど、素材を変更したことで使い心地が悪くならないように徹底した商品設計を進めてきたことなどが明かされていた。
マクドナルドHDの広報担当は、先行導入によって
「『マクドナルドが、きちんと取り組んでいて好感がもてた』という声が多数よせられました。店頭ツールの掲示やクルーが環境への取り組みをご説明させていただくことで、多くのお客様にご理解いただいたと認識しております」
と、今回全国導入へと踏み切った経緯をBusiness Insider Japanの取材に対して語った。
木でできたフォーク、大人でも子どもでも使いやすいように設計されたという。
撮影:三ツ村崇志
マクドナルドの店舗数は、全国で約2900店舗。マクドナルドによると、全店舗でストロー・スプーン・フォーク・ナイフ・マドラーをプラスチックから紙製・木製に切り替えることによって、年間で約900トンのプラスチックを削減することができるとしている。
1店舗あたり1月に使用する木製カトラリーなどの量については、「個別の量は回答を控えさせていただいております」(マクドナルド広報)と、回答はなかった。
なお、マクドナルドが導入する紙製・木製のカトラリーなどで使われている紙・木材はすべて「FSC認証」と呼ばれる森林環境に配慮してつくられた木材資源を活用している。
プラスチック資源循環法で進む「脱プラ」
プラスチック資源循環法では、使い捨てプラスチック12品目について、年間5トン以上使用する事業者に対し、有料化や再利用などの対応を義務付けた
出典:環境省
日本では、2022年4月1日に「プラスチック資源循環法」(正式名称はプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が施行され、スプーンやストローなど指定された12品目を製造・活用する事業者に対して、脱プラスチック化に向けた「工夫」が求められている。
マクドナルドをはじめ、コンビニエンスストアなどで紙や木製のカトラリーの導入や、バイオマスプラスチックなどの再生可能な資源を活用した製品の導入が進んでいるのはそのためだ。
プラスチックリサイクルの基礎知識2022によると、日本の廃プラスチックの排出量は2020年段階で約800万トン。国としては、2030年までに使用後にすぐに捨てられてしまうワンウェイ(使い捨て)プラスチックの排出量を約25%削減する目標を掲げている。
なお、ほかのハンバーガーチェーンでは、モスバーガーを運営するモスフードサービスが、この10月より国産非食用米25%を配合したバイオマスプラスチック「ライスレジン」を原料としたカトラリー(テイクアウト用のスプーン、フォーク)の使用を全店舗に順次導入することを発表している。
(文・三ツ村崇志)