小田急新宿店が“アパレルほぼゼロ”で改装オープン、デパ地下グルメに行列も【写真ルポ】

小田急百貨店新宿店のリニューアルオープンで挨拶する林幸一店長(2022年10月4日、東京都新宿区)

小田急百貨店新宿店のリニューアルオープンで挨拶する林幸一店長。(2022年10月4日、東京都新宿区)

撮影:吉川慧

大手デパート「小田急百貨店」の新宿店が10月4日にリニューアルオープンした。

新宿店は1967年に本館がオープン。長らく新宿駅西口の顔として親しまれてきたが、西口エリアの再開発計画を受けて10月2日に本館での営業を終了。10月4日から改装した新宿西口ハルクの地下2階〜地上2階・7階で営業を継続する。

売り場面積は本館のおよそ2割(約6000平米)に縮小されるため、商品展開は食品・化粧品・ラグジュアリーブランドの3カテゴリを中心に据える。

リニューアルオープン当日の新宿店の様子をレポートする。

リニューアルオープンする小田急新宿店が入る新宿西口ハルク。(2022年9月25日)

リニューアルオープンする小田急新宿店が入る新宿西口ハルク。(2022年9月25日)

撮影:吉川慧

地下2階:生鮮食品、惣菜、弁当、パン、リカーショップなど

これまで中心だった生鮮食品に加えて、本館から惣菜・弁当・パンなどのショップを移設し合計45ショップ展開。本館同様に催事スペースも設け、実演販売なども実施する。

4日はリニューアルオープンを記念した商品構成を各ショップが展開。開店早々に売り切れるお弁当もあった。生鮮食品の集合レジも午前中から行列ができる盛況ぶりだった。

実演販売をしていた神奈川県川崎市の寿司割烹「すし将」

実演販売をしていた神奈川県川崎市の寿司割烹「すし将」

撮影:吉川慧

神奈川県川崎市の寿司割烹「すし将」の実演販売。

神奈川県川崎市の寿司割烹「すし将」の実演販売。

撮影:吉川慧

人気のパン店「ル ビアン」

人気のパン店「ル ビアン」

撮影:吉川慧

新宿地区では初出店となる「西洋銀座」。牛フィレ肉を使ったカツサンド、ステーキ重などを販売。

新宿地区では初出店となる「西洋銀座」。牛フィレ肉を使ったカツサンド、ステーキ重などを販売。

撮影:吉川慧

本店から引き続き展開する「まい泉」。とんかつやコロッケなどを提供。

本店から引き続き展開する「まい泉」。とんかつやコロッケなどを提供。

撮影:吉川慧

焼肉KINTANが展開する「キンタン イン ザ ハウス」も新宿地区では初出店。「KINTAN焼肉弁当」「トリプル焼肉弁当」は開店早々に売り切れる人気ぶり。

焼肉KINTANが展開する「キンタン イン ザ ハウス」も新宿地区では初出店。「KINTAN焼肉弁当」「トリプル焼肉弁当」は開店早々に売り切れる人気ぶり。

撮影:吉川慧

鮮魚では専門店の「北辰」が展開。

鮮魚では専門店の「北辰」が展開。

撮影:吉川慧

子どもや高齢者が食べやすいように予め骨を取り除いた魚の切り身も用意。

子どもや高齢者が食べやすいようにあらかじめ骨を取り除いた魚の切り身も用意。

撮影:吉川慧

精肉では「東京鶏肉本舗」「MEAT MEET ME」「ニュー・クイック」が展開。

撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

野菜・果物では九州屋が展開。10月4日〜7日まで提供するシャインマスカット(1房・税込1080円)が人気だった。

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撮影:吉川慧

地下1階:化粧品、和洋菓子など

地下1階は化粧品売り場と和菓子・洋菓子売り場をワンフロアで展開する。

新宿店の林幸一店長(小田急百貨店取締役)は「データをみると化粧品をお買い求めになってスイーツをお買い求めになる女性のお客様が非常に多くいらっしゃる。お客様のお買い物の利便性をより高めるため同じフロアで展開することにしました」と狙いを語る。

化粧品売り場では本店の約8割となる46ショップ(51ブランド)が入る。環境に配慮した素材を使用した店装のショップも展開する。新出店は「ジョー マローン ロンドン」「アヴェダ」「belif」「フレグランス」(リニューアル)。

「メイクアップソリューション」では卵の殻から生まれたタイル状の壁紙をショップ装飾に使用。

「メイクアップソリューション」では卵の殻から生まれたタイル状の壁紙をショップ装飾に使用。

撮影:吉川慧

和洋菓子売り場では「普通の毎日をちょっと彩る“プチハレ”」をテーマに25ショップが展開。週替りでバイヤーが選んだ旬のスイーツを紹介するコーナーや、フードロス削減につながる商品も販売する。新出店は「銀座甘楽」「深川伊勢屋」「Made in ピエール・エルメ」。

新出店の「銀座甘楽」。

新出店の「銀座甘楽」。

撮影:吉川慧

新出店となる「Made in ピエール・エルメ」。

新出店となる「Made in ピエール・エルメ」。

撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

「おかし日和」は小田急のバイヤーが選んだ旬のスイーツを紹介する。

「おかし日和」は小田急のバイヤーが選んだ旬のスイーツを紹介する。

撮影:吉川慧

地下1階も開店早々から混雑する盛況ぶりだった。

地下1階も開店早々から混雑する盛況ぶりだった。

撮影:吉川慧

おかきで知られる「赤坂柿山」の行列。

おかきで知られる「赤坂柿山」の行列。

撮影:吉川慧

鳩サブレーで知られる「豊島屋」。鳩型のルームランプ「鳩の灯」がついたセットを求める人が行列をなしていた。

鳩サブレーで知られる「豊島屋」。鳩型のルームランプ「鳩の灯」がついたセットを求める人が行列をなしていた。

撮影:吉川慧

焼き菓子で知られる「ビスキュイテリエ ブルトンヌ」も盛況。

焼き菓子で知られる「ビスキュイテリエ ブルトンヌ」も盛況。

撮影:吉川慧

福岡発のカヌレ専門店「ラ・スール」のカヌレは色とりどりで目にも楽しい。

福岡発のカヌレ専門店「ラ・スール」のカヌレは色とりどりで目にも楽しい。

撮影:吉川慧

1階:インターナショナルブティック、アクセサリー、雑貨など

百貨店の顔となる1階にはインターナショナルブティックを中心に展開。コロナ禍でも好調だった高級時計の売り場もこのフロアへ。

広報担当者によると、特に時計の売上は「非常に好調」で「ウォッチ、インターナショナルブティックの売上げはコロナ前の2019年の実績を上回るくらい数字が付いてきている」と話す。

「フランク・ミュラー」と「グランドセイコー」。

「フランク・ミュラー」と「グランドセイコー」。

撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

和光サイトは百貨店初出店。

和光サイトは百貨店初出店。

撮影:吉川慧

1階外周の路面区画にはゴルフ洋品店「有賀園ゴルフ eStand+」とベーカリーが展開する。

「ゴントラン シェリエ」ではクロワッサンを中心にコーヒーも展開。

「ゴントラン シェリエ」ではクロワッサンを中心にコーヒーも展開。

撮影:吉川慧

中2階:ゴルフウェア、カフェ

これまで小田急ハルクで展開していたスポーツアイテムのうち、ゴルフウェア9ブランドを展開。AR、サイネージでバーチャル試着が体験できるショップも。

撮影:吉川慧

2階:バッグ、婦人靴、服飾雑貨、ポップアップスペース

「自分の目と手で選ぶ楽しさ」「フィッティングによる安心感」を提供するフロアとして展開する。婦人靴売り場の一部コーナーでは3D計測器による足型測定による提案も。

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撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

エスカレーター正面のポップアップスペースはシーズンごとでブランドを紹介したり、物販などのプロモーションに活用する予定。

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撮影:吉川慧

7階:イベントスペース、宝飾・眼鏡、ギフトサロン、学生服・ランドセルなど

イベントスペースでは小〜中規模の催事を開く。「食品・美容・健康を強化カテゴリー」としつつ、近年トレンドの“特化型”のグルメ催事などを企画する。またバレンタインや中元・歳暮などシーズン企画も展開する予定。

リニューアルオープン後初のイベントは“あんこ”を用いたスイーツ特集「あんこにトキメク スウィーツ博」を10日まで実施。

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撮影:吉川慧

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撮影:吉川慧

ギフトサロンはECと連携した売り場構成に。商品ごとにQRコードを付け、ECサイトで詳細な商品説明を読んだり、購入できるようにする。

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撮影:吉川慧

食品・化粧品・ラグジュアリーブランドが中心。アパレル“ほぼなし”は「苦渋の決断」

林幸一店長(2022年10月4日、東京都新宿区)

林幸一店長(2022年10月4日、東京都新宿区)

撮影:吉川慧

リニューアルオープンを受けて、新宿店の林幸一店長(小田急百貨店取締役)が報道陣の囲み取材に応じた。

林氏によると、リニューアル後のメインターゲットは「新宿駅を利用されるお客様や新宿周辺にで働く女性のお客様」だ。

新店舗では婦人服や紳士服などのアパレルをほぼ取り扱わないことについて、林氏は「私どもとしては苦渋の決断。限られた面積でのアパレル展開ではお客様に満足いただけるだけの内容にならないため展開しないことにした」と語る。

一方で「コンパクトな売り場だが、それによって見やすく買いやすい売り場へ。重点的にブランド配置などを考えた」とし、実店舗に来店しなくとも電話注文やオンライン決済ができる「リモート注文サービス」などECとの連携を拡充する「Smart(スマート)な百貨店」を目指す。

新宿店はInstagramで「デパ地下/スイーツ&グルメ」(1.4万フォロー)と「コスメ&ビューティー」(1.3万フォロワー)のアカウントを運用。特に若年層への広報に力を入れている。

本館と比べると小田急線やJR線の改札から離れた場所になるが、今後もSNSやLINEなどを通じて「日々新しい情報を発信し、少しでも多くのお客様に足を運んでいただけるように工夫する」と意気込む。

なお、リニューアル後の売上目標は「控えさせて頂く」とした。

撮影:吉川慧

新宿店本館の営業終了とハルク移転が告知されたのは2021年7月。5月には本館の最終営業日が「10月2日」になることが発表されたが「新宿店自体が閉店する」といった誤解も広まった。

小田急百貨店では本館の大階段などに「小田急百貨店新宿店は、閉店しません。」と記したポスターを掲示。「秋になったらハルクでお会いしましょう」と周知していた。

本館は再開発計画を受けて解体される。跡地には地上48階の超高層ビルが2029年度に建てられる予定。新しいビルに小田急百貨店が入居するかは「現段階では全くの白紙」(林店長)としている。

(文・吉川慧

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