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「グロース投資」を持続可能な戦略に変えるには? その基礎知識と運用ポイント

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分散投資の手法を組み合わせれば、グロース投資は投資戦略の重要な要素になる。

chaponta/Shutterstock

  • グロース投資は市場平均より速い成長が期待できる銘柄に注目する。
  • グロース株は、新興市場やハイテクなど革新的な業界の新しい企業の株が多い。
  • グロース株は、リターンは大きいものの高リスクであるため、企業のファンダメンタルズと競争力の入念なリサーチが鍵となる。

グロース投資とは、平均リターン率が市場より大幅に高い銘柄をターゲットにする手法だ。

と聞いて、こんなふうに思ったかもしれない。

「でも、それって投資の基本なのでは?」

ある意味その通りである。だが、グロース投資は、急速に業績を伸ばしている企業とセクターにのみ着目する、というのが際立った特徴なのだ。

「グロース投資とは、リターン率が平均を上回り、投資家に資本を(ときに大幅に)増やす機会を与えることが可能な銘柄に投資することだ」と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)のチーフ・インベストメント・オフィスでポートフォリオ戦略部門の責任者を務めるニルダリ・ムカジー(Niladri Mukherjee)氏は語る。「広い意味では、エクイティのような資産クラス、あるいはプライベートマーケットにおける初期段階の企業への投資と言ってもいい」

初期段階の企業や高成長企業が中心の投資は、当然ながらリスクを伴う。しかし、分散投資の手法を組み合わせれば、グロース投資は投資戦略の重要な要素になる。

グロース投資の基本

主として持ち株から利益を得ようと考える投資家もなかにはいるが、ほとんどの投資家は株価の上昇、すなわちお金を増やすのが目的だ。グロース投資はそれを実現するための有効な方法のひとつなのだ。

「グロース投資では、市場の平均よりも急速かつ大幅な成長を続けている企業を見つけなければならない。たとえば、前年の一株当たりの利益が0.50ドルでも、今年1ドルの利益をあげることが見込まれているなら、その企業の業績はどんどん伸びていると言える。したがって、その株式は高い価格で販売される傾向があるのだ」と、ウェドブッシュ・セキュリティーズ(Wedbush Securities)のマネージング・ディレクター、スティーヴ・マソッカ氏(Steve Massocca)氏は述べる。

グロース株は、新興の市場や業界に生まれて間もない勢いのある企業の株が多く、そのため非常に評価は高い。一方で、グロース株には固有のリスクがある――購入・保有にお金がかかるのだ。それでも、グロース株に投資する人は、高い株価も将来の成長を見込んだ必要経費ととらえている。

もうひとつのリスクは、グロース企業はビジネスを成長させ、一層の拡大を加速させるために得られた収益を再投資する可能性が高いため、グロース株は成長が鈍化するまで配当金が支払われない場合が多いということだ。

その点を考えると、グロース投資はすぐにリターンがほしい、リスクを取りたがらない投資家にとっては理想的でないかもしれない。どちらかというと、リスク許容度が高く、長い投資期間を想定している投資家に向いていると言えるだろう。

優良なグロース株を見つけるには?

グロース投資を持続可能な戦略に変えるには、投資家はグロース株になるポテンシャルがもっとも大きい銘柄を見きわめる方法を知らなければならない。優良なグロース株を見つけるための重要な3つの原則は次の通りだ。

・右肩上がりの伸びを見せる新しい業界で探す:まず、平均よりも堅固な成長を示す新興の業界やセクターを見てみよう。

「グロース株は、当初きわめて低かった顧客の受容性が高まっている、新しい業界の銘柄が多い。最たる例がスマートフォンだ。グロース株かどうかを判断するには、収益や利益の成長が市場と比べてどれだけ速いかがポイントになる」とマソッカ氏は言う。

成長セクターを特定し、見つかった初期段階の企業に投資するだけでは十分でない。その企業の業務内容や、どんな点がその業界にふさわしいかを調べることも不可欠だ。

・将来的な収益力を評価する:もうひとつ、考慮すべき重要なポイントは企業の将来的な収益力、すなわち長期的に利益を生み出す能力である。これは、資産利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)、当期収益、流動資産、経常利益を調べればわかる。

「グロース株を選ぶとき、大事なのは将来の収益力[のほかに]、その企業のビジネスモデルを理解することだ」とムカジー氏は話す。

・経営幹部の能力を分析する:言うまでもないが、企業セクターと現在の財務状況をただ把握するだけでは不十分。将来に渡り本当に健全な成長を成し遂げられるかを正しく理解したければ、経営陣の力量を知る必要もあるだろう。

そのために、企業幹部を調べて、彼らの経験や実績を確認しよう。豊富な経験をもつ幹部がひとりもいなければ、その企業が今後もずっと好調な業績を維持できるはずだと思い込むのは危険かもしれない。

グロースファンドの力

新興市場のスタートアップや企業を探すほかに、ポートフォリオに多様な銘柄を保有し、グロース株やグロースセクターを投資対象とする投資信託や上場投資信託(ETF)を購入することもできる。

「ETFは、グロース株インデックスにエクスポージャーを得るためのコスト効率のよい方法だ」と、ムカジー氏は述べる。

人気の高いグロースETFには次のようなものがある。

  • iシェアーズ・ラッセル1000グロースETF(iShares Russell 1000 Growth ETF)
  • インベスコQQQ ETF(Invesco QQQ ETF)
  • バンガード米国情報技術セクターETF(Vanguard Information Technology ETF)
  • オーシェアーズ・グローバル・インターネット・ジャイアンツETF(O'Shares Global Internet Giants ETF)

iシェアーズ・ラッセル1000グロースETFは、およそ500銘柄の最優良大型米国株を運用する。2022年8月までの5年間に105%を上回る成長を見せた。これはS&P 500の70%の上昇、ダウ・ジョーンズ工業株価平均の50%の上昇と比べても遜色がない。

知名度が高く、パフォーマンスのよいグロース投資信託をいくつかあげておこう。

  • フィデリティ・トレンド・ファンド(Fidelity Trend Fund)
  • ゼーフェンベルゲン・グロース・ファンド(Zevenbergen Growth Fund)
  • Tロウ・プライス・ブルー・チップ・グロース・ファンド(T. Rowe Price Blue Chip Growth Fund)
  • フランクリン・ダイナテック・ファンド(Franklin DynaTech Fund)

グロース投資かバリュー投資か

価格上昇を重視する投資家は、グロース投資とバリュー投資の両方を好む。

投下資本に対して高いリターンを求める点はどちらも同じだ。だが、バリュー投資が内在する価値に比べて相対的に株価が割安な企業を探すのに対し、グロース投資は一層の上昇が確実に期待できそうな有望な企業に注目する。

株はたいてい「グロース」か「バリュー」かのどちらかに分類される。両者のちがいを見分けるのはひじょうに容易で、たいていはリターン率のほかに株価に基づいて区別される。

「バリュー投資家は、全般的な市場価格よりも株価が安く取引されている企業を探す。標準的な指標は株価収益率と株価純資産倍率だ。簿価より低い価格で売却される株は、いずれ市場がその安さに気がついて修正する方向に動くと想定するバリュー投資家を惹きつける」とマソッカ氏は述べた。

グロース株と比較して、バリュー株は企業の株価が1株当たりの利益の何倍になっているかを示す株価収益率が低い。通常S&P 500の平均株価が推移する範囲をふまえて、株価収益率は13~15を下回ると相対的に低いとみなされる。

バリュー株の場合、企業の業績が悪かったり、悪いニュースに直面したりしても、急激に株価が暴落するリスクは低い。また、価格上昇の余地も大きいとも考えられる。

「長いあいだ投資をしている人は、グロース投資はバリュー投資よりもハイリスクであると考える」と、マソッカ氏は指摘する。

「年齢を重ねていくと、投資家はグロースからバリューに移行する傾向があるのだ」

その反面、効率的市場仮説によると、安価でも優良な株式は非常に稀であるか、市場が価格を修正する方向に動くことは避けられないためにほんの短い期間しか存在しないはずだ。

そのため、バリュー投資とグロース投資をバランスよく行うことが重要になる。桁外れのリターンを手に入れられる簡単な方法など存在しないからだ。

グロース投資のための5つのヒント

グロース投資によって着実に利益を出し続けられると100%保証はできないが、その可能性を高めるためにできることはいくつかある。

1.分散投資

投資全般に言えることだが、分散化はグロース投資にとっても重要な戦略だ。正しく管理され、バランスのとれたポートフォリオなら、利益が得られる可能性は高まり、リスクエクスポージャーは低くなる。「グロース株に投資する場合は、業種、規模、流動性などの面でさまざまな企業に投資し、エクスポージャーの分散化を維持すべきだ。保有するグロース株がポートフォリオ全体に過度のリスクをもたらすおそれがあれば、投資家はそれらのポジションの規模を見直さなければならない」とムカジー氏は語った。

2.外国に目を向ける

賢明なグロース投資家は、外国の市場や新興市場にも関心をもち、株式のみならずさまざまな資産クラスに資本を投資しようと考えている。「投資家は国内外でバランスよく投資を続け、ほかの資産、たとえば債券や現金のように、価格の乱高下が起きたときや、株のようなリスク資産の価値が下がったときに、ポートフォリオを安定させることができるものをポートフォリオに組み込むべきだ」とムカジー氏は言う。

3.市場支配の潜在能力を見きわめる

グロース株が強い領域のひとつがテクノロジーセクターだ。主な理由は、テクノロジー業界ではほとんどあたりまえのように破壊的な製品が生み出されていて、その製造業者が市場で優位な立場に立つことができるからである。

「成長企業は収益の伸びが大きい、独自の製品またはビジネスモデルを有している、あるいは業界で支配的な立場にあるなどの理由から、グロース株は通常バリュエーションプレミアムがついた価格で売買される」とムカジー氏は話す。

4.優良ファンドを選び、辛抱強く待つ

分散投資は重要だが、多種多様な株式の中から自分で優良な銘柄をひとつひとつ選べるだけのリソースをもつ人はほとんどいない。したがって、分散投資を実践するには、ETFあるいは投資信託を購入するのがベストなやり方だ。

ただし、優良なファンドを決めたら、結果を急いではいけない。もっとも利回りのよいグロースファンドのほとんどは、中・長期的にプラスのリターンをもたらしている。よって、大幅な上昇まで最低でも1、2年は待つ必要があるかもしれない。卓越した成長企業のなかには利益が出るまでに何年もの歳月を要した企業がある(例:アマゾン)ことを考えると、グロース投資ではこの傾向がとくに顕著であると言える。

5.リサーチ、リサーチ、リサーチ

グロース投資でどれほどの利益が得られるかに関し、正しい情報をもとに理解したいなら、リサーチはきわめて重要だ。これには投資を考えている個々の企業のファンダメンタルズのリサーチだけでなく、経済全般に目を凝らして、グロース投資に有利な環境を示す指標(例:低金利)の動向を注視することも含まれる。

2番目のポイントは重要だ。特定の経済条件が満たされれば、グロース株は上昇――または下落――する可能性がある。たとえば、低金利は株式への投資意欲の高まりを示す重要な指標である。

まとめ

並外れた成長と収益性を示す企業に注目するグロース投資は、市場平均を上回るリターンを得る機会を投資家に与える。それと同時にグロース投資にはリスクも伴い、実際に投資家が損失を出したIPO投資も多い。

グロース株はおびただしい数のリスクをはらんでいるので、自称(それだけの能力があると仮定して)であれ、グロース重視の投資信託やETF管理の専門家であれ、投資家が投資マネージャーの力を借りるのは賢しいやり方かもしれない。

とはいえ、ポートフォリオマネージャーに頼らなくても、自らリサーチを行い、分散投資戦略を続ける限り、投資家は自分の力で有効なグロース投資を実践することができる。ほかの資産に加え、種類の異なるさまざまな株式を運用し、ポートフォリオのバランスをとることで、ほとんどの投資家はグロース投資を持続可能な戦略に変えることができるはずだ。

[原文:A growth investing strategy focuses on fast-growing companies in hopes of outsized returns

(翻訳・安藤貴子/LIBER、編集・長田真)

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