無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


イーロン・マスクが結局Twitterの買収に応じた理由…「裁判で負けない男」が珍しく戦略を転換

専門家によると、イーロン・マスクのテフロン加工のように反発を避ける能力は、アメリカ例外主義、ファンのカルト的な熱狂、「億万長者崇拝」の文化が複雑に絡み合っているためだという。

専門家によると、イーロン・マスクのテフロン加工のように反発を避ける能力は、アメリカ例外主義、ファンのカルト的な熱狂、「億万長者崇拝」の文化が複雑に絡み合っているためだという。

Gotham/Getty Images

  • イーロン・マスクが結局Twitterを買うことにしたのは、裁判で負ける可能性が高いからだと専門家は指摘する。
  • 裁判前の「証拠開示手続き」で彼の勝算は低いことが示されたと専門家は付け加えた。
  • これまでマスクは法廷闘争から引き下がることはなかった。

イーロン・マスクは2022年10月3日、Twitterを当初の購入価格で買い取ると申し出た。これまで法廷闘争から一歩も引かなかった億万長者にとっては、珍しい行動だった。

ミシガン大学のエリック・ゴードン(Erik Gordon)教授(ビジネス法)はInsiderに、「マスクは裁判に負けるだろう」と語った。

「彼の弁護士はそれを知っていた。Twitterの弁護士も知っていた。彼の唯一の希望は、Twitterが屈することだったが、屈しなかったのだ」

先週、和解への期待が高まった。複数の法律専門家は、デラウェア州での裁判が迫っており、Twitterがマスクの主張に対して強く反論していたため、マスクにとってデメリットが多すぎたと述べている。もし裁判になったら、ほぼ確実に440億ドル、つまり当初合意した1株54.20ドルでTwitterを買収せざるを得なくなったはずだ。

戦術の転換

それでも、マスクが買取オファーをして値引き要求もしないで裁判を切り上げることにしたのは驚きだった。このニュースを受けて、Twitterの株価は22%以上上昇して52ドルになった。

ノースウェスタン大学の教授で、論争解決の専門家であるリー・トンプソン(Leigh Thompson)は、「人々がテーブルに戻り、以前に拒否した合意を受け入れることは非常にまれなことだ。これは誰にとっても社会的コストがかかることだが、面目を失うリスクのあるマスクにとっては特にそうだろう」と述べている。

これまでは、自身のコメントやツイート、買収に関する訴訟を起こされても、結果的に勝つことが多かったこの億万長者にとって、注目すべき戦術の変更といえるだろう。

2022年初めには、テスラ(Tesla)によるソーラーシティ(SolarCity)の買収をめぐり、Twitterとの係争が行われているデラウェア州裁判所に130億ドルの訴訟を起こし、マスクは勝訴している。このほかにも、悪名高い「ペド野郎」訴訟などにも、マスクが勝訴してきており、証券取引委員会(SEC)、全米自動車労働組合アメリカ大統領など、著名な公人や機関と公然と争っている。

買収法とデラウェアの訴訟の専門家であるロバート・ミラー(Robert Miller)教授は、マスクはソーラーシティとはいい戦いをしたが、Twitterはそうはいかなかったと述べている。

CFRAリサーチのアナリスト、アンジェロ・ジーノ(Angelo Zino)は、マスクが値引きを要求しなかったことに「少し驚いた」と語った。しかし、億万長者は「醜い法廷闘争」が結局買収を余儀なくされる資産を毀損するだけだと気づいたのかもしれない。

「マスクはおそらく、勝算がほとんどないことを悟ったのだろう」とジーノは付け加えた。

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み