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ネットフリックス(Netflix)とディズニープラス(Disney+)は、相次いで広告付きストリーミングプランを年内に立ち上げる計画を打ち出している。低価格を武器に加入者を増やし、広告から新たな収入を得るためだ。
新しいサービスが成功するためには、企業に「広告出稿する価値あり」と思わせるに足るだけの加入者を集める必要がある。ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、ネットフリックスは広告主に対し、広告付きプラン導入の初年度には全世界で4000万人がこのプランに加入するとの見込みを伝えているという。
アナリストたちは、ネットフリックスの広告付きプランがどの程度普及するか、また、既存のサービス加入者が広告付きプランに変更するリスクがどの程度あるかを分析している。
サンバTV(Samba TV)とハリスX(HarrisX)がアメリカの成人2500人を対象に行った最近の調査では、ネットフリックスとディズニープラスの広告付きプランに対する関心の高さが浮き彫りになった。どちらのサービスも、現在の加入者の約半数が広告付きプランへの乗り換えを検討すると答えている。
以降では、この調査から明らかになった重要ポイントを紹介する。
広告の最適な長さは5分間
同調査では、ネットフリックスの加入者に対して広告に対する許容度を尋ねている。
一般的に、ストリーミングサービスは従来のテレビよりも広告が少ない。ネットフリックスに関して回答者の45%の支持を集めて一番人気だったのは、広告の上限は1時間あたり5分、料金は現在の半額程度というものだった。
他の調査でも結果は同様で、ケーガン(Kagan)の分析では、「ネットフリックスでもディズニープラスでも、新規加入者と既存加入者の相当数が広告付きプランを選択する」ことが示唆されている。
なお、ネットフリックスはまだ広告付きプランの価格設定を発表していないが、ブルームバーグは月額7〜9ドルと、人気の標準プラン(月額16ドル)の約半額になるだろうと、予想している。
年齢が高く低所得ほど広告付きプランに興味
サンバTVとハリスXの調査では、年齢が高い人ほど、また所得が低い人ほどネットフリックスの広告付きプランに高い関心を寄せていることが分かった。具体的には、ベビーブーマー世代の52%が安価なサービスへの乗り換えを検討しているのに対し、Z世代では38%に留まっている。また、年収7万5000ドル(約1080万円、1ドル=145円換算)未満のネットフリックス利用者の48%が広告付きプランに興味を示したが、年収7万5000ドル以上の層では44%に減少した。
年齢がより高く、かつ所得がより低い人ほどネットフリックスの低価格プランを利用する可能性が高いとすれば、ネットフリックスは加入者収入の減少分を広告収入で補えるかもしれない。広告主は若い消費者や購買力のある消費者を好むからだ。
しかしディズニープラスに比べてネットフリックスは、一部のユーザー層で他プランとの加入者の奪い合いが起こる可能性がある。この調査では、広告が少ない(あるいはアドフリーの)ストリーミングサービスに慣れ親しんだZ世代の回答者のうち、ネットフリックス利用者の38%が広告付きプランに興味を持っていると答えた。なお、ディズニープラスのZ世代利用者で広告付きプランに興味があると答えたのはわずか7%だった。
非加入者も潜在的な関心は高い
サンバTVとハリスXの調査では、ネットフリックスやディズニープラスの広告付きプランは、未加入者も高い関心を寄せていることが分かった。ネットフリックスを利用していない92%、ディズニープラスを利用していない90%もの人たちが「広告付きストリーミングサービスを視聴する」と回答しており、コンテンツと引き換えに広告を視聴することに寛容な層が多くいることを示唆している。
サンバTVのCEOで共同創業者のアシュウィン・ナヴィン(Ashwin Navin)は次のように言う。
「広告付きプランは、ネットフリックスの現利用者だけでなく、ここが重要なのですが、未加入の人、あるいはすでに解約してしまった人たちからも大きな関心を集めているようです」
(編集・常盤亜由子)