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「買い物中毒」に要注意。なぜお金がなくても買ってしまうのか、その仕組みと対策を理解する

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買い物依存症は社会的に受け入れられやすいため、治療を受けることが難しくなっている。

Thomas Barwick/Getty

  • 買い物依存症は強迫性購買とも言われ、買い物をやめられない一種の行動中毒だ。
  • 買い物依存症は通常、ストレスやその他の問題の対処法として買い物する人に見られる。
  • 買い物依存症を克服するには、予算や買い物リストを作って出費に厳しいルールを課すことから始めよう。

買い物依存症はひょっとしたら社会的に最も受け入れられている依存症かもしれない。そのためにかえって治療を受けにくい、あるいは、そもそも自分が依存症であることに気づかない可能性がある。

この記事を読んでいるあなたは、自分が買い物依存症かもしれないと疑う幸運に恵まれたと言える。つまり、依存症克服の第一歩を踏み出したのだ。「自覚することが間違いなく第一段階」と、ファイナンシャルセラピストのラケーシャ・クレモンス(LaQuisha Clemons)氏は言う。

買い物依存症とは?

買い物依存症は医学的には強制性購買とか偏執狂(単一狂)と呼ばれ、思わず買い物してしまう一種の行動中毒だ。アメリカ精神医学会は、精神疾患の診断基準・診断分類を「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」(DSM)として発表している。最新版のDSM–Vで、ビデオゲームやインターネット、買い物などあらゆる行動中毒の中で公式に分類されている中毒症は、ギャンブル中毒だけだ。

どのようにして買い物依存症になるのか?

買い物依存症になる原因は人によって違うが、ストレスへの対処法として習慣的にショッピングをすることから発現することが多い。たいてい原因は他にあるとクレメンス氏は言う。実店舗ではなくオンラインで買い物ができるようになり、なおさらこの問題が深刻化している。

「配偶者と口論になっていま、とても動揺しているの」と、買い物依存症の人物の会話例を、クレモンス氏は演じてみせた。「とても素敵な財布の広告が目に入ったので、その財布を注文しようと思っただけなのに。だってそうしたらすごく気分がよくなるじゃない? 買い物すると気分が良くなるのよ」

依存症に苦しむ両親を目の当たりにしてきた子供も買い物依存症になることがある。子どもがお金を使う年齢になったときに、子どものお金に対する考え方が親の行動によって形成されてしまうのだ。「無意識のうちに、子どもは自分が見てきたのと同じ行動を取り続ける。だからその悪循環を断ち切らなければならない」

自分は買い物依存症か?

ショッピングを楽しんでいるからといって、必ずしも中毒だという訳ではない。「買い物好き」と「買い物依存症」との違いは、結局のところ、それが人生の別の部分にどう影響するかだ。買い物依存症の兆候を順番に挙げてみよう。

ショッピングが人間関係に影響する:人間関係にひびが入るとき、ショッピングは買い物依存症に変わるのかもしれない。これは、自分の大切な人に隠れてお金を使ったり、いくら使ったのか偽ったりする金融的不貞(financial infidelity)の形を取ることもある。

ショッピングが感情を掻き立てる:ショッピングをすると猛烈に感情的になるという人も、買い物依存症の可能性がある。この場合、ショッピング中に高揚感を覚えたり、買うたびに罪悪感が押し寄せたりという形で現れることがある。

理屈に合わない買い物をする習慣がある:一般的に優先順位とは違うものにお金を使う。生活必需品以外にお金を使う前に、家賃や光熱費など必要な費用の支払いが済んでいなければならない。だが、買い物依存症になるとこの優先順位が守れない。他の請求書の支払いに四苦八苦しているかもしれないのに、それでも買い物してしまう、とクレモンス氏は言う。必要のない物を買う余裕はないことを頭ではわかっていても、とにかく買わずにはいられないのだ。

買い物依存症を克服する方法

買い物は日常生活の一部なので、買い物依存症を克服するのは特に難しい。買い物をしない方法など実質的にないからだ。だから、依存症の克服に役立つようなツールや仕組みを見つけなければならない、とクレモンス氏は言う。こうしたツールには通常、買い物の習慣に厳しいルールを課すことが含まれる。だが、これらは明らかに言うは易く行うは難しなのだ。

買い物リストを作る:買い物リストはシンプルだが、買い物依存症に対する効果的な手段になりうる。こうした買い物リストを作るときは、欲しいものと必要なものを分けるのと同じ思考プロセスを辿らなければならない。

しかし、これは欲しい物リストを捨て去るということではない。「買い物のための買い物」と「本当に欲しい物のための買い物」を区別するために、どうしてそれが欲しいのか、いますぐ必要がないのに買おうとしているのはなぜかを自分に問いかけなければならないと、クレモンス氏は語る。欲しい物に一定額を支出する場合は、数日間買い物リストを寝かせておこう。これが次のツール、予算を立てるという手法につながる。

厳しい予算を立てる:とりわけ、住宅ローンや光熱費の支払いといった絶対に払わなければならない費用をないがしろにするような場合、買い物依存症は資金繰りや信用に深刻な打撃を与える。自分の資金状況を把握するためには、予算を立てて、実際に自由に使えるお金がいくらあるのか計算してみよう。

初めて予算を立てる人は、お金を「必要なもの」「欲しいもの」「貯蓄」の3つに分ける「50対30対20」「80対20」といった基本ルールを活用すると良い。どの予算案が自分に合っているかを判断するために、ファイナンシャルプランナーと話すことも効果的だ。

だが、予算を立てることと守ることは、まったく違う。自分が衝動買いをしない方法を見つけなければならない。例えば、クレジットカードではなくデビットカードを使う、一定の現金しか持ち歩かないといったことも考えられる。

ファイナンシャルセラピストに相談する:依存症は克服しにくく、特に一人では難しい。依存症の克服方法について書かれた数多くの記事を読んでもうまくいかないかもしれない。支援が必要なら、ファイナンシャルセラピストに相談してみよう。

ファイナンシャルセラピストとは、認定研修プログラムを終了し、人がお金のストレスに対処できるようサポートすることに特化した公認ソーシャルワーカーのことだ。ファイナンシャルセラピー連盟には、ファイナンシャルセラピストが名を連ねている。ただし、他のタイプのセラピストと同様、ライセンスが発行された州でしか業務ができないことは覚えてほしい。

[原文:Understanding shopping addiction and how it compels you to buy even if you can't afford it

(翻訳・中山桂、編集・長田真)

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