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マスクの着用基準について注目が集まっている。岸田文雄首相がルールの見直しを10月6日の参議院代表質問の答弁で明言したほか、GMOインターネットグループが「脱マスク」に向けて社内の基準を大幅に緩和するなど、企業にも変化が起きつつある。
5月にマスクの基準を見直した日立製作所や、実は7月からマスク着用を「任意」にしていた楽天もある。コロナ対策過渡期の企業を追った。
オフィスのマスクは「任意」な楽天とGMO
「脱マスク」は企業によって大きな温度差があるようだ。
出典:Reuters、その他HPから編集部作成
まずは現在のマスク着用基準から振り返ろう。
厚生労働省は「屋外では原則不要」「屋内では身体的距離(目安は2m以上)を確保した上で、会話を行わない場合は不要。会話を行う場合は着用を推奨」している。
国に先駆けて「脱マスク」に動き出した民間企業が、GMOインターネットグループだ。同社は9月20日、従業員に対してオフィスの執務室内でのマスク着用を「任意」に変更した。取引先など社外の関係者が出入りする共有スペースや社外では引き続き「必須」とするほか、出社時の検温・消毒やパーテーション設置などの対策も継続するという。
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類似の取り組みを7月から進めていたのが、楽天グループだ。
(1)会議室やエレベーター内のような密室以外で(2)他の従業員と2m以上離れている場合のみ、マスクの着用を「任意」としている。
デスクは左右と前方をアクリルパーテーションで区切り、十分な換気もしているそうだ。
またオフィスに入る場合は、新型コロナウイルスワクチンの2回以上の接種が条件だ。未接種の場合は週1回のPCR検査(会社で無料実施)を受け、陰性であれば可能だという。
これらの基準は従業員も外部からの訪問者も同様だ。
マスク緩和の先駆け、日立の現在は
日立製作所のマスク着用ガイドライン。
提供:日立製作所
これらの企業に先駆け、5月からマスク着用基準の緩和を進めてきたのが日立製作所だ。
屋内外問わず、会話がなく周囲との距離を2m以上確保できる場合は、マスクを着用しなくても可としてきた。
詳しくは上記の図の通りだが、工場など製造現場のことも考慮した上で、政府方針を踏襲した形だ。
マスクを推奨する「屋内」には「公共交通機関」を含み、感染予防策として出社時だけでなく、昼休みの検温も実施しているという。
ある社員は「距離をとって静かに業務をしている時だけでもマスクをしなくてよいのは、やはり助かっています」と話す。
「マスク」をめぐる損保ジャパン、メルカリ、Metaの対応
メタの執務エリア。
撮影:小林優多郎
他の企業はどうだろうか。損害保険ジャパンでは、オフィス内では席を2m以上開けて座ること、そしてマスクの着用を推奨している。
メルカリはオフィス内に加え、従業員は通勤中もマスクを着用するようガイドラインで勧めている。また、社外からの訪問者は検温、消毒、マスクの着用が必要だ。
今後は「感染状況等を鑑み、将来的な緩和も視野に入れて検討を進めていきたい」(広報)という。
グローバル企業であるIT大手メタ社の日本法人・Facebook Japanもオフィスでのマスクの着用を推奨している。加えて、ワクチンを2回以上接種しなければ入室できないという厳しい条件も。
従業員は社員証(バッジ)に接種したことが分かるシールを貼り、出社時にそれを見せることで入室できる。
外部から訪問する場合は、政府または医療機関が発行したワクチン接種証明書(ワクチンパスポート含む)と写真付き身分証明書の提示が必要だ。
過渡期にある企業のコロナ対策。政府方針同様、注視したい。
(文・竹下郁子)