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退職年齢のアメリカ人の半数は「蓄えなし」…Z世代とミレニアル世代の老後はさらに厳しくなる

オープンドアによる最新の調査によると、現時点で家を持っていないミレニアル世代のうち、「今すぐ家を購入できる」と回答した人の割合は12%だけだった。

オープンドアによる最新の調査によると、現時点で家を持っていないミレニアル世代のうち、「今すぐ家を購入できる」と回答した人は12%だけだった。

AntonioGuillem/Getty Images

  • Z世代とミレニアル世代の半数以上が「金銭的な蓄えが足りない状況で退職生活に入る可能性がある」とボストン大学の著名な経済学者が警鐘を鳴らしている。
  • インフレによる物価上昇で、退職後も何不自由なく暮らすために必要な資金の総額は300万ドル(約4億4500万円)の大台に近づきつつあるとの調査結果もある。
  • 蓄えの足りない分を補おうとして、一般的な退職年齢以降も働き続ける人もいるだろうが、これがすべての人にとって有効な解決策になるとは限らない。

ミレニアル世代(1981年から1990年代半ば頃生まれ)やZ世代(1997年から2012年頃生まれ)にとっては、退職は数十年後の話かもしれない。しかし、現時点ですでに、この世代が危機に瀕する可能性が着々と高まっている。

そう警告するのは、ボストン大学の経済学者、ローレンス・コトリコフ(Laurence Kotlikoff)だ。Insiderの取材に応じたコトリコフは、ベビーブーム世代(1946年から1964年頃生まれ)が退職後に直面する課題に関する自らの研究をもとに、この世代の少なくとも60%は、十分な蓄えがない状態で退職生活に入るだろうとの見方を示した。さらに同氏は、「ベビーブーム世代の後に続く世代の人々については、状況がさらに悪化すると考えるに足る理由が数多くある」と指摘した。

コトリコフは、退職後の貯蓄支出に関するさまざまな分析をもとに、「Z世代が将来に向けた蓄えを怠れば、ベビーブーム世代と同様の結果に至るだろう。退職の時点で、この世代が蓄えてきた資産の中央値は、生活費の中央値に換算すると3年分にしか満たないだろう」と述べた。

2022年1月に発表されたアメリカ国勢調査局の報告書によると、2017年の時点で、退職年齢になろうとする(55歳から66歳の)アメリカ人の49%が、退職後に備えた個人的な貯金をまったく持っていなかったという。さらに、今後この年齢に向かう世代については、状況はさらに厳しさを増すおそれがある。

そもそも、退職後に備えた蓄えの必要額は、人によって異なる。一般的には、アメリカ人が退職後に何不自由なく暮らすためには、少なくとも100万ドル(約1億4800万円)が必要だとされている

しかし、フィナンシャルプランニング・サービス企業のウェルスケア・フィナンシャル(Wealthcare Financial)が発表した最新の分析によると、Z世代やミレニアル世代では、退職後の生活に必要な金額は1年あたり12万~15万ドル(約1780万~2230万円)に達するとの結果が出ている。これを20年分に換算すると、退職後には平均で約300万ドル(約4億4500万円)が必要となる。

インフレによる物価の上昇が続く中で、現時点ですでに値上がりしている食料品の価格だけでなく、不自由ない退職生活を送るために必要な金額も上昇しているのだ。

アメリカの若者が、自分たちより前の世代と比べて長生きしそうだという予測は明るいニュースではあるが、一方で、退職後の生活にかかる総費用を押し上げる要因にもなる。人によっては、退職時期を遅らせることが解決策になる可能性もあるが、コトリコフは、これが広く通用するとの見方に懐疑的だ。

彼は比較的高齢の労働者の就労率に関するアメリカ労働統計局(BLS)の予測を根拠に、「退職年齢は上昇すると思われ、実際に上昇している」との見方を示したうえで、こう続けた。

「しかし、現時点までの上昇の程度は非常にわずかだ。働く気力を失ったり、年齢差別によって解雇されたり、あるいは健康状態が悪化する場合もある。退職時期を遅らせることを前提条件とするのには無理がある。ちょうどいいタイミングで死ぬことができないのと同様だ」

老後の見通しは、賃貸派ではさらに厳しくなる

この退職危機を加速させる要素のひとつが、多くの人が資産形成の入口と捉える「自宅の所有」にかかる費用が上昇していることだ。ここ数年のあいだに家を買ったアメリカ人は多いが、家を持てずにいる者も多く、さらにこうした人は今後も家を持てない可能性がある。

オープンドア(Opendoor)が5月に発表した、ミレニアル世代1000人以上を対象にした調査によると、「現時点で家を買える資金の当てがある」と回答した人はわずか12%だ。全体の約半数が、「今後のどの時点でも、買えるかどうか自信がない」と答えている。

コトリコフによれば、不動産の所有は「インフレに対する非常に効果的なヘッジ」となるという。税控除が受けられるほか、家賃や住宅価格の変動から買い手を守り、投資先を多様化できるからだ。

「誰もが、住宅ローンの頭金を払えるよう資金を貯め、住む場所を購入するよう努めるべきだ」と、コトリコフはアドバイスする。

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