花王やライドオンエクスプレスホールディングス(銀のさら)が国際カミングアウトデーに無理解なツイートを投稿し、批判を集めている。
企業PRの日に改変しないで
花王がメリット公式アカウントでのLGBTQへの無理解ツイートをめぐって、謝罪した。一体何があったのか。
出典:花王HP
問題になっているのは、花王が販売するシャンプー・コンディショナーブランド「メリット」の公式Twitterアカウントの投稿だ。
国際カミングアウトデーである10月11日に、以下のツイートがなされた。
「#メリットってどんなシャンプーなのか知らんし。というあなたに話しかけています。実は…#ノンシリコーン シャンプーなんですよ。 #国際カミングアウトデー ということで、 みなさんが知らなそうなことをカミングアウトしてみました。。。」(原文ママ)
国際カミングアウトデーは、自身の性的指向や性自認をカミングアウトするLGBTQを祝う日だ。社会全体で性的マイノリティへの理解を深め、連帯する日でもある。
こうした本来の意味を無視し、商品PRにすり替えた企業姿勢に大きな批判が集まった。
「LGBTQの多くがなぜクローゼットなのか、想像力を働かせて欲しい 。カミングアウトは『秘密を誰かに言う』ぐらいの意味ではない。それをする/しない、できる/できないという日々の選択が、現実の彼|女らの生死につながっている。 製品宣伝のために、ことばを企業にとって都合よく改変する最低な行為」
「花王、あまりにも酷すぎる。#国際カミングアウトデーは、1980年代後半の米国発祥で、普段は社会の中で隠れながら生きているLGBTが自分らしく堂々と生きることを讃える日のことです。 私たちの人権のための言葉を、あなたたち企業が宣伝のために利用し、使い捨てることは止めてください」
「『カミングアウト』は性的マイノリティ特有の文脈の言葉だけど、今や『単に秘密を明かすこと』として使われるようになっている。この弊害がまさに以下のツイートのように、(残念ながら少し調べたらわかるはずの)『国際カミングアウトデー』すら、その意味や重みが奪われていく様子からわかる」
再発防止に取り組むと謝罪
こうした声を受けてか、12日、花王の公式アカウントは謝罪を投稿した。以下が投稿全文だ。
「このたびは、『国際カミングアウトデー』を正しく理解せず、思慮に欠けた投稿をしたことについて、深くお詫び申し上げます。 昨晩より多くのご意見をいただいており、それらを真摯に受け止め、社内の教育啓発を一層強化し、再発防止に取り組んでまいります。 大変申し訳ございませんでした」
花王はかねてよりLGBTQに関する社内研修を進めてきたが、なぜこのような投稿をしたのか。
編集部では10月11日から同社広報部に見解を問い合わせていたが、上記を以って回答とするとのことだった。
こうした事態は花王だけでなく、ライドオンエクスプレスホールディングスが運営するデリバリー事業「銀のさら」の公式Twitterアカウントでも起きていた。
2022年10月11日、銀のさらがカミングアウトデーにちなんで行った投稿。
出典:銀のさら公式Twitterの投稿を筆者キャプチャー
国際カミングアウトデーにあわせて、「銀のさらは、実はサンドイッチ店から始まった。#カミングアウトの日」(原文ママ)というツイートが投稿されたが、批判を受けてか、現在は閲覧できなくなっている。
その後、同アカウントによって謝罪がなされた。
(文・竹下郁子)