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[ BUSINESS INSIDER JAPAN Special Feature ]

What is your Purpose ? 一人ひとりの志で社会を創る

「松下幸之助に憧れ、15年越しにパナソニックへ」ある社員の物語

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パナソニックグループが事業会社制に移行した2022年4月1日。同じ日に、大手経営コンサルティングファームの執行役員からパナソニックホールディングスに転職した棚橋智氏。ヘッドハンティングでも人材エージェント経由でもなく、自ら門を叩いて入社した。

「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助が創業し、100年以上の歴史を持つ日本発グローバル企業、パナソニックグループ。モノづくりを強みとしてきたが「30年間成長できていなかった」と、パナソニックホールディングス 代表取締役社長の楠見雄規氏は述べている。

実際に売上高はここ30年間大きく変わらず、株式市場からの反応も芳しくない。
なぜ棚橋氏はこのタイミングでキャリア入社したのか、何を実現しようとしているのか。

コンサル会社の執行役員からパナソニックへ

棚橋さん

棚橋智(たなはし・さとる)氏/パナソニックホールディングス 事業創出部門 コーポレートイノベーション戦略室 General Manager。高校時代からパナソニックの創業者である松下幸之助に憧れ、商売人を志して上京し20歳で起業。東京・上海でスタートアップを6年間経営した後、2012年にデロイト トーマツ コンサルティングに入社。2020年から執行役員パートナーとしてイノベーション・新規事業領域の日本責任者を務める。2022年4月、パナソニックホールディングスに入社し、グループ成長領域の提案・投資意思決定のために飛び回る日々を送っている。

棚橋氏がパナソニックグループの創業者である松下幸之助を知ったのは、高校生の時。不登校気味だった棚橋氏は、小学校中退ながら世界的なビジネスを生み出し、物と心が共に豊かな理想の社会の実現を目指した松下幸之助に励まされ、強く憧れた。

そんな棚橋氏は、大学時代にパソコン1台で起業。パナソニックのモバイルパソコン「Let's note W2」が相棒だった。起業の傍ら、パナソニックの新卒採用面接を受けたが結果は不採用。その時は縁がなかったと諦め、本格的に起業。事業を軌道に乗せた後、事業売却を経てBIG4の一角である世界的な経営コンサルティングファームで働くことになる。

「私は、2020年からは戦略コンサルティング部門の執行役員となり、産業界を代表するお客さまを相手に新規事業関連のプロジェクトを複数リードし、成果を上げることができていました。

それは自分自身に特別な才能や能力があったからではなく、素晴らしいメンバーのお陰だったと言い切れます。

今振り返ると、それは松下幸之助の『人を活かす経営』を多少なりとも体現できていたからかもしれません」(棚橋氏)

コンサルティング会社は市場も拡大していて絶好調。10年間で社員の数は5倍に増えた。クライアントからは感謝の声をもらい日々充実していていたが、あくまでもクライアントからのフィービジネスにすぎない……。

「こうしている間にも日本の大企業の国際競争力は落ち続けるばかり。“日本はもはや先進国ではない”という言葉もささやかれる中、自分は日本の国際競争力の向上に何も貢献できていないのではないか、と忸怩たる思いが強くなっていきました」(棚橋氏)

そんな中、コンサルティング会社の責任者としてパナソニックの経営陣と議論をする機会があった。そこで、「憧れていた会社が困難な経営課題に直面し、大きな岐路に立っている」と痛感したと言う。

新卒採用面接を受けた時から10年以上が経っていたが、自らの生活に溶け込んでいるいくつものパナソニック製品を見つめ、改めて大好きな会社なのだという気持ちが湧いてきた。

「パナソニックグループに対してはメディアや有識者から色々なコメントが寄せられていますが、自分は『批判も真っ向から受ける当事者として挑みたい』と思いました」(棚橋氏)

2021年夏、パナソニックグループへの転職意思があることを伝えるも、パナソニックは2022年4月からスタートする事業会社制への移行準備の真っ只中。「今は採用はできない」と15年越しにまたしても断られてしまう。しかし、そこから対話を繰り返すうちに特例で入社が決まった。

「給与は?」「役職は?」周囲からの声

周囲からは「なぜ転職するのか」と不思議がられ、「給与は?」「役職は?」と質問攻めにあったと言う。

「30代半ばで家族がいて、待遇やポジションなど気になることをあげればきりがありません。しかし、自分が本当にやりたいことは何なのか?を突き詰めて考え、100%情熱を注げることに挑む決断をしました」(棚橋氏)

入社日である2022年4月1日、パナソニックグループは組織体制を新たにした。そして、創業者の想いに立ち返り『幸せの、チカラに。』を新しいブランドスローガンに掲げた。

「松下幸之助は私の中で最高の商売人。商売人の原点は『お客さまを幸せにしたい』という強い想い

もう一度、パナソニックグループとして原点に立ち返り未来を創っていく。その日に入社できたのは何か運命的なものを感じました。家電・住宅・モビリティなど……くらし全体に事業領域を持つパナソニックグループで、お客さまを幸せにすることは、自分の大切な家族や友達の幸せを追求することに他ならない。

『最近、パナソニックいいよね』『ワクワクするね』と世界中の人に思ってもらえる会社にしていきたいです」(棚橋氏)

幸せのチカラに.png

提供:パナソニック

パナソニックの未来を創る、2つのミッション

入社以来、棚橋氏が担当しているのは、パナソニックグループ全体のイノベーション推進。1つ目のミッションは、トップダウンでのグループ新規事業の創造だ。

「パナソニックグループが未来のお客さまにお役立ちしていく領域を定めて投資し、事業を作っていきます。

これまで培ってきた能力からの積み上げを中心に考えるのではなく、デジタル化していく社会の中で『未来のお客さまの幸せのチカラになるにはどのように進化していけばよいか』という長期的な展望で挑んでいます。

当グループの強みを活かせることと、未来のお客さまが求めていることの交差するところを探り、パナソニックグループの経営陣と日々討議して領域を絞り込んでいます」(棚橋氏)

2つ目のミッションは、パナソニックグループのイノベーションの加速だ。具体的には、社内に多く存在する新規事業の意思決定支援をチームで行っている。

「グループとして長年多数の新規事業に挑んできました。しかし、成果がお客さまの幸せとパナソニックグループの収益の両立につながっていないものもある。

一方で、リスクマネーの投入が出来ておらず、大きな飛躍のチャンスを逃してしまうものもありました。

大きな組織ゆえに、一度始めたものは『前年同様のリソースでやり続ける』となりがちで、お客さまの期待の変化に応じて軌道修正をするのが苦手な部分も……。

だからこそ、進めている取り組みをお客さまやベンチャーキャピタリストの目利き力なども活用しながら評価する。そして、本気で投資を集中させるべきプロジェクトを見出し、リソース配分の変更や時にはピボットや撤退の判断を通じて、新規事業投資全体の選択と集中を促していこうとしています」(棚橋氏)

社長にチャットで提案。10分後にはフィードバックが来て……

棚橋氏

入社して衝撃を受けたのは、経営陣との距離だ。20万人を超える大企業で経営層とやりとりするには相応の段取りが必要かと思ったが、入社後すぐにパナソニックホールディングスのあらゆる幹部から「いつでも自由に連絡してくれ」と言われたと話す。

「当社は『大企業病』『官僚的組織』と揶揄されることもありますし、社員もそう言われることで自らを卑下し行動できなくなっていることもあるかもしれない。しかし、そういったバイアスを自分の中から排除し、積極的に動いてみると現実は真逆でした。

例えば、提案内容をまとめて社内チャットツールを通じて社長(ホールディングスの社長である楠見氏)に送るとする──すると、10分後には資料を読んで深いコメントまでくれる。そして、『すぐにミーティングをしよう』と。そのスピード感にはいつも驚かされます」(棚橋氏)

社長だけでなくCXO、経営陣、組織長などとも同じようにコミュニケーションをとっている。良い意味で、経営陣からは遠慮なしの本質的なフィードバックがあると言う。過去に似た取り組みがをやっていたということも少なくないし、「構造的に難しい」「リスクを払拭できない」「今は進められない」といったことも当然ある。

「誰しも、こうしたらもっと良くなるという考えや想いはあるはず。それを勇気をもって伝えても、鋭いフィードバックにダメージを受け、くじけそうになってしまうこともあるでしょう。私も、もちろん経験があります。ですが、ひるまずに挑み続けることが大事。ある意味、鈍感力も必要かもしれません」(棚橋氏)

「真剣勝負」で挑み続け、誰もできていないことを実現したい

言葉

パナソニックグループと長い付き合いのある販売店との交流の中で、「僕らはもういないと思うけど、次世代や100年先に向けてパナソニックグループをよくしていってほしい」と言われ託された松下幸之助の言葉(写真左)と、大切にしている哲学(写真右)。

インタビュー中に何度も現れた「お客さまに向き合う」という言葉。一見当たり前に思える言葉だが、パナソニックに限らず巨大な組織ではセクショナリズムが起こり、自分の所属組織を中心とした個別最適に走ったり、上位者の顔色を伺って言われたことを忠実にやるだけになったりと、本当のお客さまが見えなくなりがちだ。

具体的にどのようにしてお客さま、顧客のニーズを捉えようとしているのか。

「例えば、当社のある社員が取り組んでいる、家の中に多数のセンサーを付けて認知症の高齢者のケア状態を見える化・改善するプロジェクトがあります。社会課題に真正面から向き合う取り組みなのですが、事業化に向けたハードルが多く、まだ社内ではあまり注目されておらずプロジェクトリーダーも孤立していました」(棚橋氏)

そこで、棚橋氏は経営指標やビジョン、戦略についてプロジェクトリーダーと数えきれない数の議論をしたと言う。

「お互いに遠慮せず本音で話し、連日対話を重ねました。時には想いが強すぎて、激しい言い争いになることもありました。

実際にサービスの実証実験の現場に赴いたとき、『本当に現場までやってきたのはあなたが初めてだ』と言われ、一気に距離が縮まりました。

目的はただ一つ、お客さまの幸せにつなげること。現場でのお客さまやパートナーの皆さまとの対話を通じて描き直した成長戦略は、日本だけではなくグローバル市場で大きな顧客ニーズを見出すことにつながりました。そして経営陣の注目を集め、活動の加速に必要なリソースを迅速に得ることができたのです」(棚橋氏)

棚橋氏が仕事をする上で大事にしているのは、表層的な付き合いやコミュニケーションで満足せず、摩擦を恐れずに常に真剣勝負をすること。「パナソニックには嫌われないため、傷つけないために、社内であっても遠慮・配慮を過度にし合うカルチャーがまだあるかもしれない。しかし、そこから脱却しないと顧客のニーズを捉えるまでに至らない」と話す。

「今の仕事に満足できていない人」と一緒に挑戦したい

社内外で走り回る棚橋氏。最後にパナソニックグループで一緒に働きたい人物像を聞いた。

「まずは、自分のアイデアやビジョンを全力で実現したい人です。上司から言われたからやるという受け身の姿勢ではなく、自分のアイデアや仮説を通じて『お客さまを驚かせたい、会社を良くしたい、日本企業・日本経済をもっと元気にしたい』と強い想いを持ち行動する方です。

松下幸之助は『愛嬌が大事』と言っています。私は、愛嬌とは人からの支援や恩義を忘れず、素直な心で挑むことだと思っています。例え上手くいかず壁にぶつかっても、『いつでも頼ってきていいよ』『一緒に考えよう』とお節介を焼いてくれる人がパナソニックには沢山います。 私もパナソニックグループの中で、所属組織も役職も関係なく、多くの仲間と“志“でつながり支えていただいています。 チャレンジする人を全力で支えたい人が多いのも、当社の特徴だと思っています。

他には、今の仕事に心からは満足出来ていない人。日本の大企業を再興させたい、日本から世界を驚かせたい、そのために自分の力をフルに注ぎたい、仕事を通じて自分の大切な人をもっと幸せにしたい……そういったことに情熱を注ぎたい方。

正直、難題ばかりで頭がパンクしそうになることもありますが、意義があることに情熱を注ぎたいという方に選んでもらい、一緒に走っていけたら嬉しいです」(棚橋氏)


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