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「富のリテラシー」から始めよう! 人種間格差も埋める、資産運用の5つのステップ

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ブラック・ウェルス・サミット創設者セドリック・ナッシュ氏。

Cedric Nash

  • セドリック・ナッシュ氏はアフリカ系アメリカ人の間で投資の原理を共有するため、ブラック・ウェルス・サミットという組織を立ち上げた。
  • 人種間に存在する富の格差を埋めるには、まず投資を始めるべきだとナッシュは考える——市場や不動産、ビジネスへの投資だ。
  • ナッシュの説く黒人が富を築くための道は、「富のリテラシー(富について知ること)」から始まるという。

富の人種間格差を埋めるために、アフリカ系アメリカ人はどうすべきか。このテーマについて語るとき、セドリック・ナッシュ(Cedric Nash)氏の口調は誰よりも熱を帯びる。「私は個人資産の問題に、ずっと情熱を注いできた」とナッシュ氏は言う。

その情熱につき動かされ、ブラック・ウェルス・サミット(Black Wealth Summit)を立ち上げたナッシュ氏は、その議長およびCEOとして活躍している。この組織の目的は「黒人の繁栄を推し進めていくことであると、はっきりと公言されて」おり、参加者は黒人の金融のプロたちが主催するセッションに参加して、投資に関するさまざまな知識を得ることができる。

ナッシュ氏が設立したコンサルティング会社は、いまでは300名の従業員を抱え、9000万ドル(約128億円)もの年間収益をあげているという。ここまで会社を大きくする間に、彼は不動産や株、その他のビジネスに投資しながら、みずから多くの金銭に関する教訓を学びとった。

そうして彼が手に入れた投資の原理のエキスを抽出してまとめたのが、「ミリオネア・マネー・ムーヴズ(ミリオネアの資金運用法)」というメソッドだ。この数段階のステップに分かれたメソッドはSNSで広く共有されているし、まもなく本としても発売されることになっている。

ナッシュ氏は私たちに、みずからの資金運用法と、構造的なレイシズムを克服する方法について語ってくれた。黒人が富を築くには、次に述べる5つの段階を踏んでいく必要があるという。

1. 富を理解する

ナッシュ氏によると、まず第一段階は、富を理解することだ。なぜ富を得ることが重要なのか、どうすれば手に入れられるのか、どうやって増やせばいいのか、どうすると減ってしまうのか。財政面の安全性を確保する方法を理解しておくことは、極めて重要だ。「自分の財政状況をコントロールできれば、自分の人生をどう生きるかを選ぶことができる」とナッシュ氏は言う。

例えば、高級車や高級ブランドといった富を象徴する装飾品にお金を使う代わりに、(あまり人目は引かないが)「投資勘定」のような資産を築くための手段にお金をつぎこんでおく。

もちろんナッシュ氏は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティでは、成功を誇示することが必要なのも十分理解している。黒人たちは奴隷であった過去を打ち消すかのように、富を手にした自分を見せびらかし、それによって自分が尊敬を集めていると思いたがるのだ。

「私たちは注目されて初めて、本物の成功を得たと感じる。たとえ富を手に入れても、誰にも知られなければ意味がない」とナッシュ氏は言う。

そこで必要なのは考え方の転換だと、ナッシュ氏は説明する。つまり「重要なのは、手にした利益を使ってしまうのではなく、運用していくこと」だと考えてみる。「裕福に見える」のではなく、「実際に裕福である」ことを目指そうというのだ。

その両方を同時に実現することはできないと、ナッシュ氏は言う。「裕福に見える」ためだけにお金を使っていると、お金を増やすために運用することなど考えられなくなるからだ。

ナッシュ氏の考えでは、アフリカ系アメリカ人に必要なのは金銭的リテラシー(すなわち複利が何かとか、帳簿のつけ方とかの知識)ではない。ブラックコミュニティに本当に必要なのは「富のリテラシー」——すなわち次第に価値を増し、収入を産んでくれる資産を積みあげていく方法を理解することなのだ。

2. 富の目標を定める

この富の目標とは、金銭的な余裕でも、独立した暮らしでも、ミリオネア(ナッシュ氏によると、今では100万ドル[約1.4億円]あったところで、大した価値にはならないらしいが)になることでもいいし、あるいは単に金持ちになること(ナッシュ氏の定義によると、純資産500万ドル[約7.1億円]以上を金持ちというらしい)でもかまわない。

大富豪になりたいとか、ビリオネアになりたいという野心を持つのもいい。だがとりあえず最低限の目標は、引退してから十分に独力でやっていける財産を築いておくことだ。何にせよ、具体的な目標を持っておけば、そこに到達するための計画を立てやすくなる。

3. 投資のための資金をつくる

「いくらか余剰のお金を用意して、それを投資することによって運用し、資産を増やしていくといい」とナッシュ氏は言う。今は毎日暮らしていくだけで精一杯という人は、もっと稼げる仕事を探したり、副業をしたり、アルバイトをしたりして、余剰のお金をつくる努力をしよう。

お金を借りたり誰かに出してもらったりして、余剰の資金を調達するという手もある。だがこの方法はどちらも、アフリカ系アメリカ人にとっては難しい。融資にも人種差別があるからだ。ベンチャーキャピタルから資金援助を受けるのにも、黒人の起業家は白人よりかなり苦労している。

富を築くためには、高収入である必要はないと、ナッシュ氏は言う。重要なのは、着実に節約を積み重ねていくことだ。

例えば、シングルマザーだった彼の祖母は、コインランドリーの店員で月200ドル(約2万8000円)しか稼げなかったが、コツコツ貯金をして家を買うための頭金をため、ローンを完済し、さらには車も手に入れたという。

「私たちにコントロールできるのは、いま自分が持っているものをどうするか、ということだけだ」と、ナッシュ氏は語る。「世の中が公平になるのを待っていたら、何も始めることはできない」

4. 着実かつ真剣に投資する

アフリカ系アメリカ人はもっと投資に取り組むべきだとナッシュ氏は考える。富を築くための資産に投入する金額の規模も真剣さも、もっともっと増やしていくべきだというのだ。最優先すべきは、一貫性をもって続けていくこと。収入の額の多少に関わらず、給与が支払われるたびに一定額を別にとりわけておこう。

この考え方には若い人たちのほうが適応しやすいようだ。黒人の投資家を調べた米ネット証券大手シュワブ(Schwab)の調査によると、年配の世代では黒人と白人の株の保有資産額にかなりの差があったが、40歳以下だとその差はかなり縮まっていた。

投資の真剣さを上げるといっても、一獲千金を狙うということではない。それは目先の手早い利益よりも、ゆっくりと着実な投資を選ぶということであり、7%の利率なら十分価値があると認めることだ。「手早い、簡単、無料、などという話が出たら、『これは怪しい』と警戒すべきだ」とナッシュ氏は言う。

まず株式市場から始めるというのがナッシュ氏の提案だ。ナッシュ氏のお気に入りはインデックスファンドだが、長期間安定を保っている実績のある企業の株を個別に買うこともおすすめだという。具体的には、複数の業種からそれぞれひとつの会社を選び、ウォーレン・バフェットを見習って、一旦買ったらその株を長く持ち続けることだ。

「ここでブラックコミュニティの人たちに理解してもらいたいのはただひとつ、投資は片手間に手を出す遊びではないということだ」と、ナッシュ氏は語る。「私たちは何よりも真剣に投資に取り組むべき——それこそが、富の人種間格差を埋める有効な方法だ」

またナッシュ氏は、不動産への投資もすすめている。不動産投資は、「太古の昔から」富を築くための手段だったからだ。「集合住宅などの複数世帯不動産への投資を積極的に考えてみよう」というのが、ナッシュ氏からのアドバイスだ。

5. 収入を増やすには起業を考える

「ミリオネアの大部分は、起業家出身だ」とナッシュ氏。自分で事業を起こしたほうが、収入を多く得られる可能性は増えるし、したがって富を築く能力も高まるとナッシュ氏は考えている。

だが同時に、黒人のビジネスオーナーが起業家として成功するには多くの障害があることも、リアリストであるナッシュ氏は十分承知している。事実、彼自身、1997年にコンサルティング会社を始めたとき、資金の融資を得られず、なんとか自己資金だけでビジネスを立ち上げざるを得なかった。そのため、会社の成長にもかなり時間がかかった。

この障害を乗り越えるためには、「じっくり時間をかけて取り組むこと、そして一にも二にもあきらめず自分を売りこむこと」だとナッシュ氏は言う。

ナッシュ氏の考えでは、誰もがビジネスオーナーになる能力を持っている。「起業家になるには、天賦の才能なんて必要ない。ビジネスを成功させるためのスキルは、誰もが学びとることができるものだ」

「大事なのは、気持ちの持ち方だ」と、ナッシュ氏は言う。多くのアフリカ系アメリカ人が繁栄に至る方法を理解し、本気で資産を築こうと心を決めれば、どんなことでも起こり得る。そして、今こそ黒人が富を築こうと本気で考えるべき時なのだと、ナッシュ氏は感じている。

「ぐずぐずしている暇はない。さあ、今すぐ『ミリオネア・マネー・ムーヴズ』を実行して、資産への投資を始めよう」

[原文:5 Steps to Building Black Wealth, According to a 'Millionaire Mentor'

(翻訳・加藤輝美/LIBER、編集・長田真)

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