「耳が痛い」けど聞いておくべき、4つの金融アドバイス。FPがあえて進言

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「予算が必要だ」というのは、誰も聞きたくないアドバイスだろう。

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  • 金融アドバイスを無視すると、手痛い代償を払うことになる。金融知識の不足によって、アメリカ人は2020年、約62兆円もの損失を出したという。
  • 本記事で取材したFPは、「予算を立てるべき」など、誰もが敬遠しがちな、耳の痛い4つの提案をする。
  • また、両親や祖父母の教訓を大切にするのは良いが、それらは必ずしも現在に即しているとは言えない。

借金返済や住宅購入のための倹約、退職後の生活設計、その他の経済的目標に取り組む際に、質の高い金融アドバイスを受けることは、最も重要なステップだ。だが、それは、最も困難なことにもなりえる。

金融リテラシークイズの基本的な6つの問題に合格できたアメリカ人は3%以下だったと、2018年にCNBC(コンシューマー・ニュース・アンド・ビジネス・チャンネル)は報じている。経験を積んだ専門家から、金融アドバイスを受けることは、とても良いアイデアだが、彼らのアドバイスをすべて受け入れることは、必ずしも簡単ではない。特に、そのアドバイスが、自分のやりたいことや、分かっていると思っていることを否定している場合は、なおさらである。

「私たちの脳には、常に楽しみを求め、苦痛を避け、手軽な方法を取り入れようとする部分がある」と認定ファイナンシャル・プランナーのミスティー・リンチ氏はInsiderに語った。

ほとんどのアメリカ人は、金融アドバイスを拒否しているが、これはほとんどの場合、利益になるよりは、損失を被るケースが多い。このような金融リテラシーのために、2020年だけでも、アメリカ人は4150億ドル(約61兆円)の損失を出していると、一部では報じられている。

お金についての警告を、聞く気にならないというのであれば、少なくともリンチ氏が言及する、以下4つの対策について考えてもらいたい。彼女が語るのは、どこにでもある、賢いアドバイスである。それは、誰もが聞き入れがたいものであるが、恐らく聞いておくべきことである。

1. 予算を立てる必要がある

「予算は最も重要なものだ。だが、予算のことを考えると、楽しみがなくなってしまうと、多くの人は考える」と、リンチ氏は言う。「予算を立てなさい」 というのは、おそらく最も一般的で恐ろしい金銭的アドバイスだろう。なぜなら、予算は制限的で厳しく、維持するのが難しいと考えられているからだ。

しかし、予算は重要である。お金の管理のためだけでなく、お金の習慣を明らかにし、それを修正できるようにするためにだ。「多くの場合、(消費習慣は)彼らが本当に大切にしていると言っていることと一致しない」と、リンチ氏は説明する。自分が大切にしていることを行い、手に入れることができるように予算を立てることの重要性を、同氏は指摘しているのだ。

さらに、予算を立てたからと言って、過度に制限をかけなければならないというものでもない。何より、予算とは、自分のお金の計画である。計画とは通常、現在の状況から、成りたい状況へ向かうための、ベストな方法である。

2. 両親や祖父母の教訓は、必ずしも正しいわけではない

リンチ氏によると、両親や祖父母、あるいはプライベートな生活において尊敬しているメンターからの教訓を否定するアドバイスは、ほとんどの人にとって、聞き入れがたいものだという。しかし、「両親や祖父母は全く違った生活をしていた」とリンチ氏は言う。彼らの教えを大事にすることは良い。だが、彼らの教訓すべてが、現在の文化や経済においては、正論にはならないことも多いのだ。

借金や投資、お金にどれだけ積極的になるべきかという話をするときに、このような話題がよく出てくると、リンチ氏は言う。 「通常は、なぜそう信じているのかを突き止め、それが真実なのか、それとも単なる意見なのかというポイントを、少しだけつつくと理解してもらえる」。

3. リスクを取ることが、必ずしも賢明とは言えない

一方、クライアントがリスクの高い決断を出すときに、その決断が正しいとは言えないという場合でも、肯定してほしい人が、リンチ氏の元をよく訪れるという。

最近リンチ氏は、副業に集中するために、仕事を辞めるべきかという相談を受けたという。「そのクライアントは『とにかくやってみなさい』と言ってほしかったようだが、それは正しいアドバイスではなかった」とリンチ氏は語る。

これは、リスクの高い投資を考えている人にも言える場合が多い。「『仕事関係でいい話を聞いて、株取引に挑戦してみたいのだが…』という具体に、彼らは相談を持ちかけてくる」と彼女は言う。

「彼らは、私がそれを後押しすることを期待している。だが、彼らは(その仕事関係に対して)支払うべき請求書を抱えていたり、仕事で検討しなければならない計画があったりするかもしれない。または、いくつか違うタイプの取引をしている可能性もある」

4. 何もしないことが一番良い場合もある

別居や離婚、引っ越し、転職などの人生の大きな変化を迎えた人に、リンチ氏は、よくアドバイスしている事がある。それは、他にも大きな変化を控えているのであれば、その前にペースを落とすということだ。「大きな変化を控えているのなら、一度にひとつずつ」「実際に進める前に、時間をとったほうがいい」と彼女は言う。

人は生活を変化させる時、刺激や不安を感じるかもしれない。しかしリンチ氏は、刺激や不安を感じると人々は、生活のあらゆる側面を調整したいと思うようになると指摘する。「我々は、彼らが行っていることが、彼らのために機能することを確認しようとしている。それは単に『違う』と感じたり、『より良い』と感じたりするためのものではない」 。

耳の痛いアドバイスの受け取り方

パーソナルファイナンスは、個人的なものだ。だから、気に入らなかったり、納得できないアドバイスを耳にすることがよくある。リンチ氏はこのようなことがあった場合、考えを書き出し、なぜ気に入らないと思ったのか、その根本に至るまで時間をかけて探ることを勧める。

「何か引っかかる事があったのか? 状況を理解していなかったのか?」と、自分自身へ問いかけるべきと、リンチ氏。「それから、どうしていくのか決めるのだ」

「もし、あなたが他者の意見を求めていて、それが正しいアドバイスかどうかわからない場合、医者探しと同じように、セカンドオピニオンを求めるべきだ」とリンチ氏は言う。それによって、より自分の選択に、自信を持てるようになるのなら、なおさらだという。

しかし、何よりも重要のは、自分の決断を理解することである。盲目的に、アドバイスに従い、あるいは拒否することではないと、リンチ氏は言う。

「あなたが、何をしようとしているのか理解するまで、私は先へ進めない。もし、そのアドバイスにどういう効果があるのか、手がかりを得ていないのであれば、先へは進めないのだ」

[原文:4 smart money tips no one ever wants to hear, according to a financial planner

(翻訳・伊藤麻衣子、編集・長田真)

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