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暗号通貨で「ダマされない」ために、知っておきたい5つの詐欺手口

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暗号通貨市場はまだ比較的新しく規制も少ないため、市場操作の影響を受けやすい。

Hananeko_Studio/Shutterstock

  • 暗号通貨はほかのアセットに比べて規制が比較的ゆるい。そのため、詐欺やペテンに引っかかり、財政的な破綻に陥るおそれがある。
  • 暗号通貨の市場操作には「パンプ&ダンプ(価格をつりあげて売り逃げる手法)」や「ラグプル(資金持ち逃げ)」など、さまざまな形態がある。
  • 投資家は、取引前にデューデリジェンス(適正評価)を行なうことにより、よくある暗号通貨詐欺に引っかかることを防ぐことができる。

暗号通貨は、物品やサービスと交換可能なデジタルトークンだ。だが小口投資家や民間企業の多くは、暗号通貨を交換手段ではなく投資と考え、コインを購入してあとから売却することにより、利益を得ようと期待している。

どのアセットでも同じことだが、とくにこの大きく誤解されている暗号通貨というアセットに手を出す前に、投資家は十分注意を払ったほうがいい。

暗号通貨詐欺とは?

暗号通貨はそもそも投機的な性質のものであり、投資家が分析したり価値を付与したりできるような基本的原理をもっていない。そのため暗号通貨は非常に変動しやすく、ある日突然価格がとんでもなく上下することもありうる。

また、暗号通貨市場は一般的に規制がゆるく、悪意のある人間が恣意的に価格を操作したり、無防備な投資家を利用したりしやすい。

こういった理由により、投資家は暗号通貨への投資を始める前に、以下に述べるような暗号通貨詐欺について詳しく知っておくことを強くおすすめする。

暗号通貨詐欺の種類

1.市場操作

市場操作とは、アセットの価格を意図的に操ろうとしたり、価格に干渉しようとしたりする行為のことをいう。典型的な手法としては、詐欺師は取引の局面を自分たちの都合のいいように操作して、手っ取り早く利益を上げようとする。市場操作という総称のもとにくくられている不法な取引行為には、次のようなものがある。

  • なりすまし(Spoofing):これは嘘の売買を発注し、実際に取引があったように錯覚させたのち、取引が成立する前にキャンセルする行為のこと。詐欺師はダミーのアカウントやボットを使って大量の取引を発注し、ほかの投資家に対象のアセットの需要が高まっている、あるいは減っているという虚偽の印象を与える場合が多い。
  • フロントランニング(Front-running):これは将来の値動きの情報をあらかじめ知った上で取引を行なうこと。たとえば、マイナーやノード・オペレーターは自分が関わっている取引の実情を詳しく知ることができるため、その内部知識を利用して、大きな値動きがある前に自分に有利な取引を行なうことができる。
  • 過剰売買(Churning):これはブローカーが自分の懐に入る手数料を増やすため、顧客の暗号通貨アカウントを使って過剰に取引を行なうこと。アセットマネジメント会社は、暗号通貨の資産を管理する際に手数料を受け取る。したがって、悪質なブローカーは歩合制の支払い制度を悪用して、知識のあまりない顧客から不当な利益を得ようとする場合がある。さらにこの被害を受けた顧客は、不当な手数料を取られたうえ、過剰売買により不必要な税金まで課されるおそれもある。

暗号通貨市場はまだ比較的新しく、規制がゆきとどいていない部分があるため、市場操作も発生しやすい。だが、こういった詐欺にひっかからないようにする方法はもちろんある。

まず大事なのは、安全策と内部規制が確立された名のある大手取引所を利用することだ。また暗号通貨市場において違法な取引から自分を守るためには、どんな金銭的な決断を下す前にも、必ずコインやブローカーや取引所のことをしっかりとリサーチしておくこと。たとえば、きちんとした暗号通貨や取扱会社のウェブサイトには、暗号通貨について学ぶための教材が初心者の投資家向けにたくさん用意されている。

ヒント:多くの投資家が暗号通貨をデイトレーディングで扱っているが、市場操作が行なわれるのは短期取引の場であることが多い。したがって、長期的な展望に立つ(「HODL(買い持ち)」とも言われる)ことができれば、突然激しい値動きがあってもそれに惑わされずに済む。「HODL」とは「hold on for dear life(命をかけてしがみつく)」の頭文字をとったもので、短期的な値動きに左右されず暗号通貨をもち続ける戦略を指す。

2.パンプ&ダンプ

「パンプ&ダンプ(Pump-and-dump schemes)」とは、個人またはグループがアセットの価格を意図的につりあげて、その直後に売り逃げる手法のことをいう。

この手法はまず、「パンプ(釣り)」から始まる。詐欺師はSNSやフォーラムやオンライン・コミュニティなどを通じて嘘または誤解を生むような風説を流布させ、ほかの人たちにこのアセットは買いだと確信させる。こういったポストにはデューデリジェンス(「DD:適正評価」)が巧みに織りこまれており、今にも価値が急騰するような印象を与える。投稿には月やダイヤモンドに向かって飛ぶ宇宙ロケットの絵文字や大きく広げた両手の絵文字が使われ、この投資は間違いなく買いだと誘いかける。

次にくるのが「ダンプ(売り逃げ)」だ。売りの機運が盛り上がり、ほかの投資家がどんどん買いに入って価格が上がると、仕掛け人はアセットを売って早々に利益を手にする。そうしてこの盛り上がりが仕掛けられたものだったと市場が気づく頃には、投資家たちは損失を食い止めようと奔走するが、コインの価格は暴落の一途をたどる。

パンプ&ダンプを見分けるには、要は流布されている話の信憑性をどこまで確認できるかに尽きる。レディット(Reddit)やTwitterなどのSNSを使って暗号通貨の動向をチェックしているなら、投稿履歴のあまりない匿名のアカウントには注意したほうがいい。また、根拠のないパンプ(釣り)投稿の記録を追跡しておくことだ。こういった投稿は、詐欺師によるものである可能性が高い。

3.ラグプル

「ラグプル(Rug pulls)」は、暗号通貨の開発者がプロジェクトを廃棄しながら、投資家から集めた資金を保持し続けている状態のことをいう。悪意のある開発者が分散型取引所に新しいトークンを登録したうえで、既存の暗号通貨と連動させ、SNSで大々的な宣伝を打って投資家を呼びこむ。そして相当な金額が新トークンに流入したところで、開発者はそのプロジェクトを抹消し、投資家から集めた資金を持ったまま逃亡するのだ。

これは、将来有望な新しい暗号通貨の取引にいち早く参加できたと初期投資家に思わせておいて、じつは金を引きだすことだけが目的という詐欺だ。

「ちょっとありえないほどおいしい話と思ったら、実際ありえない話と思ったほうがいい」とコインマーケットキャップ(CoinMarketCap:仮想通貨の価格追跡でもっとも閲覧されているウェブサイトのひとつ)のグロース&オペレーションズ副社長ショーン・ヘン(Shaun Heng)氏は言う。「ウェブサイトや第三者の意見に細心の注意を払うべき。SNSで見たコメントには絶対に頼らないこと。たとえどんな人が、どれほど好意的なレビューをたくさん投稿していたとしてもだ。検証可能なレビューが見つからない場合は、詐欺である確率が非常に高くなる」

ヒント:中央集権型の暗号通貨取引所のほうが管理や規則が厳しいため、そちらのみに取引を絞れば、違法なプロジェクトに巻きこまれる危険性は低くなる。

4.昔ながらのハッキングと窃盗

暗号通貨市場はほかのアセット市場に比べてかなり独特な性質をもっているが、それでもアカウントのハッキングやID窃盗といった昔ながらの手口の被害にあうおそれもある。

投資家が暗号通貨を取引するには、デジタルあるいは現実の道具としてクリプトウォレットを用意する必要がある。このクリプトウォレットには、公的および私的なカギがある。公的なカギとは暗号通貨をウォレット内に貯めておくための公的なアドレスであり、銀行が送金経路と口座番号を使って預金を管理するシステムと同じようなものだ。私的なカギとは、オンライン・バンキングでのパスワードにあたる。そのパスワードを知っていれば、口座内にある資金を好きなように処分できるわけだ。

見知らぬ他人にクレジットカードの番号を教えたりしないのと同じように、私的なカギもどこか安全なところに隠しておく必要がある。詐欺師にその情報を知られたら、口座を乗っ取られたり、資金を引きだされたりするおそれがあるからだ。だが詐欺師は、あの手この手を使って、投資家から私的な情報を聞きだそうとする。

暗号通貨交換所やウォレットのプロバイダーを騙って送られてくるフィッシングメールに注意しよう。また、怪しげなサイトやなりすましアカウントから、唐突に送りつけられてくる宣伝にも気をつけること。詐欺師が有名人や大企業の社員を装い、いますぐ行動に移せば報酬が確実に手に入ると言ってくるのは常套手段だ。

ヒント:フィッシング・メールにうっかり引っかからないようにするためには、送信元のメールアドレスが有効なもの、あるいは認識可能なものか、きちんと確認することが重要だ。詐欺師はあまり聞いたことのないドメイン名や文字を適当に並べたアドレスを使っている場合が多い。

5.イニシャル・コイン・オファリング(ICO)詐欺

イニシャル・コイン・オファリングとは、株式市場でのイニシャル・パブリック・オファリング(IPO:新規株式公開:未上場企業が上場前に公開公募で証券を発行し資金を調達すること)に相当する暗号通貨市場の行為をいう。企業はICOを行なうことにより、トークンやアプリ、その関連サービスといったあらたな暗号通貨サービスを整備するための資金を募る。資金提供への見返りとして、投資家は新しくつくられたコインを受けとる。

IPOは安定した基盤をもつ民間企業によって実施される場合が多いが、ICOのほうはそうとは限らない。これまでになんの実績もないスタートアップ企業を実績があるように粉飾することもできるため、本当の資金調達を目指しているのか、詐欺なのか、見分けがつきにくい。ラグプルと同じように、ICO詐欺を行なう詐欺師は初期投資家から資金を集め、その直後にプロジェクトを放棄して姿をくらます。

ICO詐欺――あるいは企画チームの準備不足――を見抜く簡単な方法は、まずその企業のホワイトペーパーをよく読むことだ。ホワイトペーパーはそのプロジェクトの詳細を告知する企画書で、戦略や目標、市場分析などが詳しく記載されている。企業からホワイトペーパーが発行されていなければ、そのプロジェクトは危険なものとみて間違いない。

ヒント:ICOの企画者や経営チームの背景もチェックしておいたほうがいい。その企業の所有者が誰だかわからなかったり、暗号通貨の世界でたどれる記録がほとんどなかったりしたら、疑ってかかったほうがいいだろう。

まとめ

分散型金融は、つねに自由と危険が背中あわせの世界だ。一方では、単一の運営組織が存在しないため、コミュニティ全体の意思による決断が可能となり、さらなる新しい機会に道を開く可能性が生まれる。その一方で、規格化された管理システムがないため、悪意のある人間がさまざまな手法を駆使して詐欺をはたらき、無防備な投資家を騙そうとする。

しかし従来の資産市場とまったく同じように、詐欺の手口によく注意を払い、予防的な措置を講じることで、暗号資産の投資家も市場操作に巻きこまれる危険性を減らすことができる。それにはきちんとした評価の高い取引所を使うこと、そして投資上の決断をする前に必ず徹底的なリサーチを行なうことが必須だ。またもしも詐欺に気づいたら、連邦取引委員会(ReportFraud.ftc.gov.)に報告しておこう。

[原文:5 Common Cryptocurrency Scams & How to Avoid Them (businessinsider.com)

(翻訳・加藤輝美/LIBER、編集・長田真)

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