新型iPad(第10世代)。ProやAirと共通のボディーデザインになり、丸型ボタンのTouch IDは消えた。
出典:アップル
アップルのiPadシリーズの最新世代から、ついにホームボタンの「Touch ID」を搭載したモデルが「消滅」した。
日本時間10月19日未明、アップルは新型iPadシリーズとして、ボディーを一新した「iPad (第10世代)」を発表した。
第10世代では、iPad ProやAirのデザインを受け継ぐ、フルディスプレイ型のデザインに一新された。価格は6万8800円(税込)から、10月26日に発売になる。
これで最新世代のiPadは、Pro、Air、mini、今回のスタンダードのiPadまで、デザインが統一されたことになる。
なお、アップルは上位モデルでチップを最新のM2にアップグレードした新型iPad Pro(12万4800円から)も同時発表。また、前世代にあたる第9世代モデル(4万9800円から)も併売するとアナウンスしている。
デザインが変わった新型iPadは、新世代を感じさせる上位モデルとの共通点と、意外な仕様を感じる部分もいくつかある。特徴を7つのポイントでまとめた。
1. 一新したボディー、Touch IDはminiと同じ電源ボタンに
4色のカラバリ(シルバーは見切れている)はかなり鮮烈な印象。Touch IDは電源ボタンを兼ねるタイプを採用している。
出典:アップル
iPad ProやAirなどと共通のデザインになり、見た目での判別は難しくなった。
カラーバリエーションの4色には、鮮やかな「イエロー」が含まれる。くすみ系カラーが多かったiPad Airと比べると、ビビッドさが際立つカラーバリエーションだ。
新型ボディーの採用にあたり、Touch IDはiPad miniと同じ、電源ボタン部分に内蔵するタイプに変わっている。
2. 画面は10.9インチ、iPad Airと同じサイズに
最新の第10世代iPad、上位モデルにあたるiPad Air、従来の第9世代モデルを比較。
出典:アップル
新型ボディーになったことで、液晶ディスプレイの画面サイズは従来の10.2インチから10.9インチへと大型化している。画面解像度は2360x1640ドット(従来は2160x1620ドット)とiPad Airと同じだ。
3. 手描きペン「Apple Pencil」は第1世代型のみに対応
Apple Pencilは第1世代のみ対応のため、公式サイトの画像も第1世代Apple Pencilが使われている。
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新型iPadのApple Pencilは、第1世代タイプのみの対応になる。iPad Airではボディーに磁石で吸着して充電できる第2世代タイプに対応していたことを思うと、意図的な差別化をしている可能性もある。
USB-Cアダプター。Apple Pencilに付属するほか、単体販売もされる。
出典:アップル
第1世代Apple Pencilは、本体のLightning端子と接続してペアリングと充電をする方式だったが、新しいiPadは接続端子がUSB Type-Cに変わった。そのため、第1世代Apple Pencilの新バージョンには、「USB-C - Apple Pencilアダプタ」が付属する。
4. 心臓部のチップはあえて「A14 Bionic」、Airと性能差あり
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見た目がほぼ同じになったAirとのもう1つの差別化要因が搭載する半導体チップだ。Airでは、Macにも搭載される高性能な「Apple M1」だったが、新型iPadでは、「Apple A14 Bionic」になっている。あえてiPad mini(A15)よりもさらに1世代古いチップとすることで、コストダウンとエントリーモデルとしての位置付けのバランスをとった形だ。
OSには最新のiPadOS 16を搭載する。
5. フロントカメラはiPad初の「横位置」に
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新しいiPadには「史上初」の装備もある。オンライン会議などで多用するフロントカメラは、Proも含めたiPadシリーズとして初めて、キーボードを装着した状態で正面の位置に搭載するように変わった。
この位置に搭載することで、「話者の視線が自然に見える」などのメリットがあるが、縦位置で持った場合にどんな写り方になるのかは興味深い。
6.「Magic Keyboard Folio」が登場
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付属品ではない別売だが、セットで利用するケースが多い持ち運び型のキーボードに、打鍵感が上質なMagic Keyboardの新型が登場した。
「Magic Keyboard Folio」は背面のキックスタンド部分とキーボード部分が分かれた設計になっている。手描きノートのように使う場合は気軽にキーボードを取り外して使うといったユースケースを想定しているようだ。価格は3万8800円。iPad本体と同じく10月26日に発売。
なお、Magic Keyboard Folio対応機種は第10世代モデルのみとなっており、同時発表の新型iPad Proでは使えない専用装備だ。
7. 価格は実質値上げ、セルラーモデルは9万2800円から
最新価格で3機種を比較。少し背伸びをすれば、上位にあたるiPad Airが選べるような戦略的な価格設定にされている印象を受ける。
出典:アップル
デザインの一新、性能の向上などのプラス要素が多いが、昨今の円安の為替状況も反映された結果、価格は実質値上げの状況だ。
第10世代と第9世代の発売時(2021年)の最廉価モデルの価格をみると、セルラーモデルで実質3万6800円アップ、最も安価なWi-Fiモデルでも2万9000円アップになっている。
スタンダードなiPadシリーズはエントリーモデルが安価なことも魅力の1つだったが、円安の前には致し方なしというところだろうか。
(文・伊藤有)