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米企業内のセクハラ、リモートワークでも減っていない…監視が困難になった面も

職場でハラスメントを受けるリスクは大きくなっているようだが、雇用主はあまり注意を払わなくなっている。

職場でハラスメントを受けるリスクは大きくなっているようだが、雇用主はあまり注意を払わなくなっている。

MARK RALSTON/Getty Images

  • セクシャル・ハラスメントは、アメリカの労働者の幸福度にとって、これまで以上に大きな脅威になるかもしれない、と人事専門家は指摘している。
  • その一因は、リモートやハイブリッドの労働環境での加害行為の監視が難しいことにある。
  • にもかかわらず、2017年に大きな注目を集めた#MeTooムーブメントは、多くのCEOの行動計画からこぼれ落ちるようになっている。

サイバーセキュリティ企業エクサビーム(Exabeam)の最高人事責任者、ジャンナ・ドライバー(Gianna Driver)は、性暴力の加害者が職場で標的を見つけやすくなっているのではないかと懸念している。

「#MeToo(ミートゥー)」ムーブメントや、パンデミックとリモートワークを経てもなお、ハラスメントはなくなっていないとドライバーは言う。

「まったく衰えていない」とドライバーは話す。

「変化し、違う形になっただけだ」

従業員がリモートとオフィスの両方で働くモデルへ移行する組織が増えるのに伴い、性的なハラスメントは、アメリカの労働者のウェルビーイング(幸福)をこれまで以上に大きく脅かそうとしていると、ドライバーをはじめとする人事の専門家は指摘している。

そうした主張については数々の根拠が挙げられているが、そのひとつが、オンラインと対面の両方で、ハラスメントの機会が存在することだ。勤務場所にあまり人けがなく、休憩室も閑散としているオフィスでは、性犯罪者が見とがめられずに加害行為を犯しやすい。

その一方で、#MeTooムーブメントが大きく注目されてから5年が過ぎた今、最高経営責任者(CEO)の多くは、インフレ率の高さ、いまだ厳しい労働市場、景気後退の脅威といった経済的な難局を乗り切るのに忙しい。ハラスメント対策に関しては、多くのビジネスリーダーが「もう終わったもの」として次の課題へ移行している。

「#MeTooムーブメントには、成熟するだけの時間がなかった」と語るのは、人事コンサルタント会社リープジェン(Leapgen)のクライアントパートナーでチーム責任者のアレクサンドラ・ジー(Alexandra Zea)だ。

さらにジーによれば、2020年のジョージ・フロイド(George Floyd)殺害をきっかけに人種問題の解決を求める声が最高潮に達した後、#MeTooムーブメントは、DEI(多様性、平等性、包括性)といった、より大きな議論に吸収されたという。そうした優先すべき重要課題が統合されることは必ずしも悪いことではないが、近年の社会問題に関しては、大多数のCEOが口先だけの支持にとどまってきたとジーは指摘している。

リモートワークにより、ハラスメントが変化。リスクが消えたわけではない

人事分野で20年を超える経験を持つマギー・スミス(Maggie Smith)は、一部の雇用主がハラスメントに無関心になりつつあるようだと述べている。

「今、多くの人が『ビジネスが平常運転になった』と考えているように感じる」

オンライン・コンプライアンスに関するトレーニングを提供するトラリアント(Traliant)で人事担当バイスプレジデントを務めるスミスはそう話す。

ジーもそれに同意し、性犯罪やハラスメントについて発言するCEOが減っていると述べた。

「(前述の)より大きな議論が始まって2年になるが、大きな影響力のある実行可能な計画は、まだ目にしていない」とジーは言う。

2017年10月には、活動家のタラナ・バーク(Tarana Burke)が発案したハッシュタグ「#MeToo」が口コミで広がり、それ以降、無数の女性と一部の男性が、不安な職場環境や攻撃をめぐる自らの体験を打ち明けた。それにより、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)やビル・コスビー(Bill Cosby)などの各業界の大物や数十人の企業幹部が訴訟、失脚、さらには収監に直面した。

この問題への注目が高まった結果と見られる、アメリカ政府に提出された職場でのセクシャルハラスメントの報告数は、2018年におよそ1万3000件と、そのピークに達した。しかしそれ以後、この数字は毎年減り続け、2021年はおよそ1万件だった。

だが、企業の人事責任者によれば、報告数の減少はハラスメント件数の減少を意味するものではないという。実際、一部の調査では、状況の悪化が指摘されている。

全世界の3000人近い労働者を対象とした調査では、回答者の26%が、リモートワーク中に自身のジェンダーを理由とするハラスメントを受けることが増えたと報告した。この調査は、2020年9月から2021年1月にかけて、非営利団体「Project Include」が実施したものだ。

従業員フィードバック・プラットフォームの「AllVoices」が800人超の米国人を対象に実施した別の調査では、リモートワーク中もハラスメントが続いている、もしくは悪化していると考えている人が回答者の24%にのぼった。

また、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)がアメリカ人を対象として2021年に実施した調査では、オンラインでなんらかの形でのハラスメントを経験した人が回答者の41%にのぼり、オンラインでのセクシャルハラスメントを報告した人の割合も、前年と比べて増加した。

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