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リクルート流「週休3日」社員の使い方。妻と不妊治療、大学院で心理学…

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リクルートの「週休約3日」制度。社員4人に実際にどう使っているのか、取材した。

それぞれオンライン取材をキャプチャ

リクルートが「週休約3日」(※)の制度を導入してから、約1年半が経過した。

「週休約3日」では、年次有給休暇やその他休暇とは別に、自由に年間約15日取得できる「フレキシブル休日」を導入。年間の休日数が145日に増え、週で換算すると「週休2.8日」となるためリクルートでは「週休約3日」制度と呼んでいる。

実際にリクルートの社員たちは、この休日をどのように使っているのだろうか?

Business Insider Japanでは計4人社員にその使い方や、休みが増えたことで見えてきた課題について取材した。

2回にわたって取り上げる取材の前編は、「学び直し」「自分自身の休み方改革」に注目。30代社員2人に彼らの体験を聞いた。

※リクルートの週休約3日制度2021年4月に導入。1日の所定労働時間を7.5時間から8時間に延長することで年間の所定労働時間は変わらず、給与の変更はない。全社員約1万7000人が対象で、リクルートによると2021年前期には、半期ごとの「フレキシブル休日」の取得率は約98%だった。

「週休約3日」制度の詳細について、リクルート人事担当者に聞いたインタビュー動画はこちら。

コロナ禍でゲームの沼にはまる

ゲームする女性

リクルートの吹野さんは、仕事以外の時間はゲームに費やすようになったという(写真はイメージです)。

shutterstock/aijiro

コロナでリモートワークになって、人生で初めてゲームにはまりました。数カ月間、仕事以外はずっとゲームをしていたのですが、週休約3日の導入をきっかけに『このままではいけない』と奮起しました」

転職支援サービス「リクルートエージェント」で、CX(カスタマー・エクスペリエンス)推進や、ダイバシティー施策などを担当する吹野菜穂さん(33)はそう話す。

吹野さんは現在、筑波大学の大学院に通っており、週休約3日で増えた休日は大学院の課題などにあてている。

吹野さんは2016年にリクルートに転職。転職当時から「いつかは大学院で学びたい」と思っていたものの、仕事にのめり込みそんな余裕はなかったという。

「学び直し」のきっかけは、リモート勤務と「週休約3日」だった。

「ゲームにはまっていた頃、どう時間を使ったらいいかとモヤモヤしていました。そんな時に週休約3日の導入を知り、会社からの『社員も変わらなくてはいけない』というメッセージだと受け取りました

2021年5月には社会人向けの筑波大学大学院の説明会に出席し、心理学を学ぶことを決意。試験は約3カ月後だったが、週休約3日制で新設された「フレキシブル休日」を取得して、研究計画書の作成や筆記試験の対策にあてたという。

本業の仕事は忙しくて、勤務がある平日にはほとんど勉強できませんでした。なので週末は1日10時間ほど勉強して、受験前ラスト1カ月間は、夏休みとフレキシブル休日を使って追い込みました」

ハードな社会人学生の日常

吹野さん

大学前で記念撮影する吹野さん。

提供:吹野さん

無事に大学院に合格した吹野さんだが、普段の生活はハードスケジュールだ。

週に2〜3日は夜にオンライン授業があるため、午後6時頃には仕事を終わらせ、すぐに私用のパソコンを立ち上げて3時間ほどの講義に臨む。

「頭の使い方が全然違うので、スパッと切り替える癖がつきました。仕事とは関係なく興味があった心理学を選んだのですがで、結果的にはアンケート調査の統計処理などで仕事にも役立っています」

働き方も変わったという。

残業を含めた年間の労働時間は、週休約3日が始まる前と後で変化はないが、休日数が増えた分、1日あたりの労働時間は増えた。

「以前は10時ごろ始業していましたが、今は朝の8時くらいから働いています。授業がない日は、前よりも忙しくなりましたね」

順調にいけば、来年3月末に卒業を予定している。

「両立は思ったよりは辛くないのですが、運動不足が課題です(笑)」

妊活と相性がいい「週休約3日」

夫婦の写真

「週休約3日」を不妊治療にあてたという人もいる(写真はイメージです)。

shutterstock/buritora

「不妊治療は平日に通院を指定されることが多い。これまで有給を使っていたので、妻一人での通院も多かったのですが、週休約3日が始まってからは、2人で通院できるようになりました

結婚情報サービス「ゼクシィ」で首都圏エリアの営業を担当する佐々木翔一郎さん(31)はそう話す。

佐々木さん夫婦は約7年間、妊活を行っていた。

「もともと休暇も多い会社ですが、有給は緊急性が高い事態に備えて確保しておきたいと思っていました。フレキシブル休日は、計画的に取得するのが会社の方針だったので、先まで予約が決まっている通院との相性がよかった

「週休約3日」が導入された2021年4月の3カ月後には、妊娠が判明。2022年4月には長女が誕生。佐々木さんは、長女が9月に離乳食デビューした日にも、フレキシブル休日を取得した。

「初めて食べる時はアレルギーのリスクがあるので、病院が開いている平日が推奨されているんです」

当初は「しわ寄せ」を懸念

散歩する佐々木さん

子供を連れて散歩する佐々木さん。

提供:佐々木さん

しかし「週休約3日」について、当初は否定的な感情もあったという。

「ワーカーホリックと言われそうですが、長時間労働が苦にならないタイプでした。初めて週休約3日の導入を聞いた時は、『普段の業務にしわ寄せがくる』という不安が先行しました」

佐々木さんの部署は、結婚式場への営業がメイン。リクルート側の稼働が減ることは、営業の機会損失に直結する。

今年の春は特に業務量が増加したものの、それでも「休みの日は絶対に対応しない」と部署内で徹底したという。

「今回リクルートが週休約3日を導入したのは、『休みに働くことや残業は、そもそもいけてない』という社内の機運醸成もあったのではと思うんです。だから、計画的に業務を遂行して、みんなで休まないといけないと腹をくくりました」

佐々木さん自身も、働き方を変えた。朝8時から10時までは、事務処理などデスクワークの時間と決め、集中してパソコンに向かう。そして日中はクライアント対応だけに集中することにした。

「仕事では遠回りすることがイノベーションを生むという発想もあると思いますが、今は生産性を上げて空き時間を有効に使うことこそがイノベーションにつながると思っています」

休み方改革で「イノベーション期待」

佐々木さん

佐々木さんは「休み方の改革がプラスの効果を生む可能性がある」と話す。

オンラインでの取材をキャプチャ

佐々木さんは「社員の起業家精神」に魅力を感じ、2019年にリクルートに転職した。

しかし転職から1年後を待たずして、ウエディング市場を新型コロナウイルスが襲った。

2020年5月の緊急事態宣言後には、結婚式はキャンセル・延期が相次ぎ、ウエディング市場は大打撃を受けた

現在は、延期になった結婚式も含めて需要は復活してきているが、人口そのものが減少する日本において、市場は急激な変化にさらされているとも言えるだろう。

だからこそ、「週休約3日」など組織を上げた改革への期待も大きいと、佐々木さんは言う。

「週休約3日は、生産性向上やイノベーションにつなげられる可能性があると思っています。リクルートでは新規事業提案コンテストがありますが、例えば増えた休日をどう使ったのかを共有し取り入れる仕組みも作れると思っています。新しい働き方を実践することで、新しいビジネスや価値につながるはずです」

(文・横山耕太郎

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