森永乳業が10月にスタートした「産後パパ育休」中の給与を100%保証すると発表した。同社ではかねてより女性の産休も100%給与保証していたため、それに合わせた形だ。加えて背景には、男性育休が普及しない理由として「給与面の不安」をあげる声がある。
男性育休50%から100%への秘策
森永乳業が「産後パパ育休」中の給与を100%支払うと発表しました。気になる背景を聞きました。
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「産後パパ育休」は男性が従来の育児休業とは別に、子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得可能な新たな育休制度だ。休業中は出生時育児休業給付金として、休業開始時賃金月額の67%相当額が支給される。
そんな中、森永乳業は産後パパ育休を「100%有給」、つまり100%給与が支払われた上で休業できる独自の制度として導入した。
育児・介護休業法の改正で、男性がさらに育休を取りやすくなった。女性の産休にあたるのが「産後パパ育休」だ。
出典:厚生労働省「育児休業ミニリーフレット」
2030年度までに男性の育休取得率100%という目標を掲げる同社。2021年度の取得率は57.7%(60人)で、期間は1週間から1カ月ほどだ。森永乳業の担当者は、
「男性が育休を取らない理由を調査したところ、給与面を懸念する人が一定数いました。産後パパ育休を100%の有給扱いにしたのは、性別にかかわらず安心して育休を取ってもらうためです。
まずは男性育休の取得率を上げて、次に期間の長期化も目指していきたいと考えています」
森永乳業ではかねてより、女性の産前産後休暇も「100%の給与」で休業できる独自の制度を運用してきた(通常は健康保険から1日につき賃金の3分の2相当額が出産手当金として支給される)。
今回の施策で、従業員の子育て支援策としては男女平等になったと言えるだろう。
(文・竹下郁子)