投資経験のある日本人は、約4割程度しかいない。
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- MMD研究所の調査によると、いかなる投資も「行っていない」日本人の割合は59.2%。
- この数値は、アメリカの38.3%、中国の26.8%に対して、1.5〜2倍にのぼる。
- しかし、世帯年収にも触れた同調査では、アメリカの格差社会を可視化した結果となった。
「資産所得倍増」の実現は、まだまだ遠そうだ。
株式や投信など、いかなる投資も「行っていない」日本人の割合は、いまだ59.2%も存在することが、MMD研究所の「日米中3カ国都市部スマートフォンユーザー比較調査」によって判明した。この割合は、アメリカだと38.3%、中国だと26.8%となっており、両国に対して先述の日本の数値は、1.5〜2倍以上にもなる。
現在いずれの金融商品にも投資していない人の割合は、日本59.2%、アメリカ38.3%、中国26.8%.
出典:MMD研究所の「日米中3ヶ国都市部スマートフォンユーザー比較調査」
なお、MMD研究所は、日本最大のモバイル専門調査機関。今回の調査は、 日本(東京、大阪)、アメリカ(ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ)、中国(北京、上海)に住む、15〜69歳のスマートフォンを所有する男女、各国約500人に対して実施されたものだ。ちなみに調査対象となった10代から60代までの各年代層は、それぞれほぼ均等に分布されている。
日本はいまだ投資後進国
組閣からちょうど1年目を迎えた岸田政権。その大きな目玉は、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと掲げられた資産所得倍増計画だ。これは、いまや2000兆円を超えると言われる日本の個人金融資産を、株式市場へより多く投入してもらうことをひとつの目標としている。
しかし、今回のMMD研究所の調査からすると、いわゆる投資家層の厚さは、アメリカや中国のレベルに全く及んでいない。実際、2022年8月に発表された日本銀行調査統計局の報告書でも、家計の金融資産における投資関連(「債務証券」「投資信託」「株式等」の合計)の割合は、日本16%、アメリカ55%となっている。この数値は、同調査の過去データと比較しても、ほとんど変わっておらず、いまだ日本は投資後進国と言えるだろう。
二極化するアメリカの世帯年収
その一方、アメリカのように高度に資本主義が発展した社会の弊害についても、MMDの研究所の調査は浮き彫りにした。そのなかには、日米中の3国における世帯年収について問う設問もあったのだ。
アメリカの世帯年収の偏りは、両極端な凹型を示している。
出典:MMD研究所の「日米中3ヶ国都市部スマートフォンユーザー比較調査」
その結果を見ると、日本は良くも悪くも、米中に対してどの価格帯でもあまり大きな差がない比較的平坦な分布となっている。中国は中間層が厚く、明らかに全体の底上げを感じさせる状態だ。それらに対して、いびつな分布となっているのがアメリカである。グラフの両極が際立つ凹型を示し、格差の広がりを可視化した結果となった。
もちろん、このアメリカの所得格差と、各家計の投資比率に、明確な相関関係があるわけではない。しかし、アメリカを投資先進国とするならば、その良いところ悪いところをしっかり見極めていく必要がありそうだ。
(文・長田真)