NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた「創造の柱」。
NASA, ESA, CSA, STScI; Joseph DePasquale (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI), Alyssa Pagan (STScI).
- NASAは10月19日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した「創造の柱」の新たな画像を公開した。
- この有名な星形成領域は、地球から6500光年離れた広大な「わし星雲」の中にある。
- JWSTの赤外線カメラは塵に遮られることがなく、ハッブル宇宙望遠鏡では捉えることのできなかった星が多い天空の一角を写し出している。
アメリカ航空宇宙局(NASA)はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えたガスと塵(ちり)の柱がそびえ立つ「創造の柱」の画像を2022年10月19日に公開した。この壮大な星形成領域は、地球から6500光年離れた「わし星雲」の中にある。
1995年にハッブル宇宙望遠鏡(HST)がこの領域を撮影した画像もよく知られている。2つの画像を比較すると、JWSTの赤外線カメラでは厚い塵の柱を突き抜け、HSTでは捉えることのできなかった何百もの星を写し出していることが分かる。
下に掲載したJWSTが撮影したばかりの画像には、約8光年の範囲にわたるガスの渦が写っており、特徴を際立たせるために彩色が施されている。NASAによると、JWSTの近赤外線カメラは特殊な赤外線フィルターを用いて塵の柱に遮られることなく撮影ができるが、この画像に遠くの銀河は写っていない。天の川銀河のディスク部分に密集するガスや星間物質が視界を遮っているからだ。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって驚くほど詳細に捉えられた「創造の柱」。
NASA, ESA, CSA, STScI; Joseph DePasquale (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI), Alyssa Pagan (STScI).
ジェームズ・ウェッブ望遠鏡は塵を切り裂き、星であふれる星形成領域を捉えた
HSTが1995年に撮影した「創造の柱」は宇宙を象徴するような写真になった。JWSTもHSTも宇宙に浮かぶ望遠鏡だが、さまざまな点で異なっている。HSTは紫外線、可視光線、そしてわずかな赤外線で宇宙を観測するが、JWSTは主に赤外線で観測している。
HSTの100倍の性能を持つJWSTは、HSTでは見ることのできない135億年以上前に発光した天体まで見ることができる。遠方にある天体は赤方偏移により光の波長が長くなる(赤色にずれる)ため、JWSTはその波長を捉えられるように設計されているのだ。
下に掲載した左の画像はHSTが可視光で撮影したもので、柱が茶色と黒に見える。右の画像はJWSTが近赤外線で撮影したもので、高密度の塵やガスでできた柱は透けており、その内側にある星まで輝いて見え、そこが新星誕生の場であることが分かる。柱の縁にある小さな赤い点は生まれてからまだ数十万年しか経っていない若い星だとJWST観測チームが説明している。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡が1995年に撮影した「創造の柱」(左)は大きな話題となった。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した新たな画像(右)は、塵の柱の奥にある星形成領域まで写し出している。
NASA, ESA, CSA, STScI; Joseph DePasquale (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI), Alyssa Pagan (STScI).